Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 ジュネーブから今を見る 今日のヘッドライン ジュネーブから今を見る 今日のヘッドライン 米国 2016年2月12日 イエレン議会証言の勘所 2016年2月10日、11日とイエレン米FRB議長が議会証言を行い、追加利上げのペースが緩和される可能性や、マイ ナス金利について合法性などの点を再検討していることが示されました。 イエレンFRB議長議会証言:追加利上げの時 期は先送りとの見方強まる イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、2016年2月 10日に下院金融委員会で、翌11日に上院銀行委員会で議 会証言と質疑応答を行いました。 議会証言の場でイエレン議長は、金融市場の動揺に伴う株 安やドル高、一部借り入れコストの上昇により金融が引き締 められた状況にあると指摘、そうした状況が続いた場合、経 済活動や労働市場の見通しを圧迫する可能性があると語り ました。イエレン議長は利上げの可能性を放棄する考えがな いことを示唆したものの、最近の金融市場の混乱を受けて、 米金融当局が従来想定していた追加利上げの時期を先送り するとの見方が強まり、市場では円高ドル安の急激な進行な どが見られました(図表1参照)。 どこに注目すべきか:景況感、マイナス金利 の再検討、金融政策の限界 2015年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の後、久々の 公式発言となる議会証言の場で、イエレン議長は、既に(他 の公式の場で)発言したフィッシャーFRB副議長やダドリーNY 連銀総裁と同じように、利上げペースを緩和させる可能性を 示唆しました。 イエレン議長の証言における注目点は以下の通りです。 まず、米国の景気判断については、2015年12月のFOMCに 比べトーンを引き下げた印象です。例えば、中国の経済と通 貨政策の不透明さが市場の変動要因となり、米国経済も株 安などの影響を受けたと述べています。また、上院銀行委員 会の質疑では原油価格の下落やドル高が予想外に進行した ことを素直に認めています。なお、ドル高は金融引き締めの 可能性を段階的に市場にアナウンスしてきたため「予想」はし ていたものの、2014年中頃からの上昇ペースは予想を超え ているとも述べています。 次に、マイナス金利の可能性について言及しています。イエ レン議長は当局が2010年にマイナス金利導入の可能性を検 ピクテ投信投資顧問株式会社 討、当時は効果の点で疑問が残ると判断したことを明らかに すると共に、足元、日欧でマイナス金利が導入されている現 状を踏まえ、(あくまで準備として)可能性の検討段階である ことも明らかにしています。なお、2016年2月11日にはス ウェーデンが政策金利を-0.35%から-0.5%へと市場予想を超 えたマイナス金利政策を拡大したことを受けて欧州の銀行セ クターの収益悪化懸念が見られ、マイナス金利政策は副作 用にも注意が必要なことが印象付けられています。 最後に、議員との質疑には、量的金融緩和後の利上げの難 しさ、FRBの立場の微妙さが映し出されました。例えば、FRB は超過準備預金(法定準備を超える当座預金)にフェデラル・ ファンド(FF)金利より高い金利を付与しています(IOER金利)。 この理由は、仮に金利を払わなければ、米国の銀行はFF金 利より低い金利で貸出をしてしまい、金融引き締めとならなく なる恐れがあります。しかし議会はこのIOER金利を「補助金」 とみなしてイエレン議長を追及しています。とはいえ、超過準 備預金の削減(保有国債の売却)となれば長期金利は急上 昇するリスクも考えられます。イエレン議長は現状維持を示 唆した模様ですが、今後の動向に注意は必要です。 米国の利上げペースに緩和の可能性が示唆されても、リスク 資産に落ち着きが見られないことや、マイナス金利の副作用 が懸念されていることは、金融政策頼みの現状に対する市 場からのメッセージとも考えられます。 図表1:ドル円相場の推移 (日次、期間:2015年2月12日∼2016年2月12日、日本時間15時) 126 円/ドル 122 118 114 110 15年2月12日 15年8月12日 16年2月12日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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