2016年 2月8日号 Vol.287 2月の見通し 日銀のマイナス金利政策の衝撃 過度に悲観的なので反発も!? 世界経済の減速懸念が強まるなか、2016年 の世界の金融市場は波乱の幕開けとなりま した。米国経済や中国経済への懸念に加え て、下げ止まらない原油相場がリスク資産の 下押し材料となっています。 その結果、世界株式の株価収益率(PER)は 14倍を下回る水準まで低下しました。しかし、 実体経済は、市場が織り込むほど悪化してい るとは思えません。過度に悲観的な見方を織 り込んでいる市場が反発する可能性は十分 にあると考えます。 日銀、マイナス金利導入 1月29日、日銀はマイナス金利政策の導入で 市場を驚かせました。 日銀は金利水準を引下げて融資や投資を促 進する狙いから、現在年間80兆円のペース で国債などの資産買入れ(=量的緩和)を行 っています。しかし実際にはその全てが融資 や投資に向かうわけではなく、残余分は結果 的に日銀の当座預金に超過準備として積み 上げられています。その額は2015年末時点 で220兆円を超えており、日銀はこの超過準 備のうち、昨年の平残を上回る部分(10兆円 程度)に0.1%のマイナス金利を課すことにし たのです。 マイナス金利をすでに適用しているスイスで も、当初は政策効果に懐疑的な見方がありま した。しかし、短期金融市場に効果的に働き かけることができ、為替市場でフラン高を抑 制する効果をもたらしました。一方、長期金利 は下げ渋り、結果としてイールドカーブ(利回 り曲線)はスティープ(傾斜)化しました。スイ スの事例を踏まえて考えると、今回の政策の 狙いの1つは、投機的な円買い圧力を抑制す ることにあると思われます。 戦わざる者は勝たず 日銀のマイナス金利導入により、個人の預金 金利までマイナスになることはなさそうです が、資産運用の選択肢は一気に狭まりそうで す。 個人向け国債の募集は停止され、公社債投 信の新規購入も中止されます。一時払い終 身保険など貯蓄性の高い保険商品も取り沙 汰されています。 こうしたなか、資産運用に目を向けてみると 高配当株式や不動産投資信託も適している といえます。特に通信や電力など公益性の高 い事業会社の場合、日本でも1∼2%程度の 配当利回りが見込まれるうえに、業績悪化に よる減配リスクが相対的に低い点も魅力で す。 マイナス金利は日本人が誰も経験したことの ない事態ですが、ここで立ち止まるわけには 行きません。「戦わざる者は勝たず」という格 言にもあるように、金融資産からリターンを期 待するには思い切って行動しなければ何も得 られない時代が来たようです。 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市 場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績 は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全 性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることが あります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護 機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかな る情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
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