9月の見通し 焦点は日米の金融政策

2016年
9月8日号
Vol.320
9月の見通し
焦点は日米の金融政策
 いよいよ利上げ、9月か12月か?
8月26日、イエレンFRB議長はワイオミング州
ジャクソンホールでの会合で堅調な米雇用市
場を背景に追加利上げの条件が整ってきた
と述べました。
また、フィッシャー副議長も経済指標の内容
次第では9月の利上げも有り得ると述べてお
り、米国の利上げ観測が高まる結果となりま
した。
こうしたなか、注目を集めていた8月の米雇用
統計は、非農業部門雇用者数が市場予想を
下回った他、賃金の伸びは鈍化し、失業率は
横ばいという内容でした。
一方、3ヵ月平均で見た雇用者数の増加は23
万2千人と「力強い改善」の目安である20万
人を越えており、米国の雇用市場が依然とし
て堅調であるという認識に変わりはありませ
ん。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で
利上げが実施されるか否かは不透明です
が、一つはっきりしているのは米国経済の改
善が続いているということでしょう。
 日銀の「総括的な検証」
9月の日銀金融政策決定会合における「総括
的な検証」について、市場では様々な憶測が
流れています。
こうしたなか、9月5日の講演で日銀の黒田総
裁は、総括的な検証は緩和縮小方向ではな
く、量、質、金利という各次元での緩和拡大は
依然として可能であると述べています。
つまり、マイナス金利の深掘りや国債購入の
拡大といった選択肢はまだあるといえます。
黒田総裁は、それ以外のアイデアも議論の
選択肢から外すべきでないと述べており、日
銀による外国債券の購入観測も出ています。
いずれにせよ、日銀緩和の「総括的な検証」
を巡って、様々な思惑が交錯する展開が予
想されます。
 ドタバタは避けよ
今月のFOMCと日銀の金融政策決定会合
は、現地時間で9月20、21日の同日開催とな
ります。
つまり、FOMCの決定内容が判明するのは、
日本時間では日銀会合の終了後です。
日本の当局者からFOMCの決定前に追加緩
和を行うことは差し控えた方がよいとの発言
が出た際に一時円高が進むなど、日銀の追
加緩和に対する思惑で相場が動く局面も見ら
れます。
また、今後発表される米経済指標の内容次
第では9月の米利上げ見通しが変化する可
能性もあり、不透明な相場環境が今しばらく
続くでしょう。
「ドタバタは避けよ」という相場の格言にもあ
る通り、冷静さを欠いて非合理な取引をして
しまっては元も子もありません。
思惑が外れた時にはどうすべきか、様々なシ
ナリオを想定しておくことが肝要です。
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