産業アウトルック 2016年1~3月期 7.家電 糸井 寛貴 トピック: 大手電機メーカーによ る構造改革の動向が注 目される。 大手電機メーカーでは、不採算地域での事業縮小や採算改善に向けた製品見直 しなど構造改革の進捗状況により業績に格差がみられています。今後について も、コモディティ化によりメーカー間の価格競争が厳しい製品等を対象に、更 なる梃入れが講じられていくとみられるほか、こうした動きは業界再編に繋が る可能性もあり、引続き各社の動向が注目されます。 市場動向: 国内白物家電は底堅 く、新興国需要も堅 調。一方で、製品毎の 動向には留意が必要。 足元の家電需要は、国内ではエアコンや冷蔵庫等の白物家電が安定した買換え 需要に支えられて底堅く推移しており、海外でも、東南アジア等新興国の成長 を背景とした家電普及率の上昇を受けて拡大傾向が続いています。ただし、製 品別にみれば、高級機種の出荷増で一時反転したデジタルカメラが中国での需 要減により再びマイナスとなっているほか、薄型テレビの販売単価も未だ反転 に至っていません。先行きについても、グローバルベースでの需要増加は見込 まれますが、引続き製品ごとの動向には留意を要します。 国内メーカー業績: 2015年度上期の合算業 績は増益ながら、個社 ごとには斑模様。 国内主要メーカーの2015年度上期の家電部門合算業績をみれば、不採算事業の 見直しに伴う販売減影響はありましたが、海外販売の拡大等により売上高は概 ね前年同期並み、営業利益は採算改善に向けた高付加価値品へのシフトとコス ト削減により増益となりました。ただし個社ごとには、構造改革の進捗状況に より業績は斑模様となっています。2015年度通期では増益が計画されており、 今後も一段の選択と集中、コストコントロール等が進められるとみられます。 家庭用電気機器(白物家電)国内出荷推移 出荷金額(左軸) (兆円) 3.0 薄型テレビ世界出荷金額 (億ドル) +9% 1,200 +6% 2.5 1.0 800 0.8 600 0.6 -6% 400 0.4 -9% 200 0.2 +0% 1.5 -3% 1.0 0.5 0.0 11 12 13 14 14年 4-11月 0 -12% 15年 (年度) 4-11月 08 09 10 11 12 13 14 0.0 14年 15年 (年度) 4-9月 4-9月 (出所)IHSテクノロジーより弊行作成 (注)08年度単価を1.0として指数化 (出所)日本電機工業会より弊行作成 デジタルカメラ出荷額推移(海外生産含む) 出荷金額(左軸) (兆円) 1.2 1,000 +3% 2.0 10 出荷金額(左軸) 32型液晶テレビ単価(右軸)(注) 55型液晶テレビ単価(右軸)(注) 前年同期比(右軸) 国内大手電機メーカー家電部門合算業績推移 前年同期比(右軸) +30% 2.5 10 売上高(左軸) (兆円) 営業利益率(右軸) 10.0% +20% 2.0 8.0% 8 6.0% +10% 1.5 6 4.0% 4 2.0% +0% 1.0 -10% 0.5 0.0% 2 -20% 0.0 08 09 10 11 12 13 14 -2.0% 0 -30% 14年 15年 (年度) 4-10月 4-10月 11 12 13 14 14 (組替) 15 (予) 14年 上期 -4.0% 15年 (年度) 上期 (出所)各社決算短信より弊行作成(対象社:日立製作所、パナソニック、 ソニー、三菱電機、シャープの家電部門) ※セグメント変更により連続しない数値 (出所)カメラ映像機器工業会より弊行作成 本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行が一般に信頼できると思われる資料に基づい て作成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承 ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転 送等することを禁じております。 -1- Copyright © 2016 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved.
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