未利用海藻を活用 した機能性飲料の開発 (Hー3~ー5)

平成 14年 度事業報告 。平成 15年 度事業計画 試 験研究 10
未利用海藻 を活用 した機能性飲料 の開発
加 工食 品部水産 食 品科
太 田智樹 田 中 彰
( H 1 3 ∼1 5 )
l l 修司
吉 り
研究 の 目的 と概 要
道 内には未利用 海藻資源 が 豊富に分布 してい るが、食品 へ の具体的 な利用 開発
例 は少 な い。海藻 は食物繊維や ミネ ラル な どをは じめ、健康 に役 立つ 成分 が豊富
に含 まれ るため 、健康機 能 の 高 い食 品へ の原料 としてその利 用 が期待 され る。本
研 究では未利用海 藻 の利用展 開 を図 るために健 康成分 の探 索 と飲料 へ の利用 開発
を 目指 し、本年度 は未利用 海藻であるス ジメ多糖成分 の免疫活性化作用 、またア
イヌ ワカメ 、 ス ジメの メタノール 抽 出物 の抗腫瘍活性 につい て検討 した。
予定 され る成果 】
【
未利用海藻か ら新 しい機能性 を見出 し、それ を活 か した機 能性飲料 を開発す る。
試験 研究の方法
(1)試 料 の調製
試 料 は 歯舞 漁 業協 同組 合 よ り供 与 され た 乾燥 あ る い は生 の ア イヌ ワカ メ 、 ス ジ
メを用 い た。試料重量 の 20倍 量 の O.lN塩 酸、0.lN水 酸化ナ トリウム溶液お よび
蒸 留水 を用 い て ス ジ メ多糖成 分 を抽 出 し、抽 出液 に対 して終濃度 80%にな るよ うに
エ タノー ル を加 え、得 られ た 多糖沈殿物 を減圧 ろ過 によ り分離 、乾固 して用いた。
また 、 メ タノー ル 抽 出に つ い ては ス ジメお よび アイヌ ワカ メに対 し 2.5倍 量 の メ
タノール を加 え、4℃で 2日 間抽 出 した。抽 出残 さに対 して 同量 の メタノール を加
えて 再抽 出 し、抽 出液 を合 一 して ろ過後 、 メ タ ノール を減圧 留 去 して実 験 に用 い
た。
(2)ス ジメ多糖成分 の貪食活性 の測定
免 疫活性 化作用 の 測 定 は マ ウスの樹 立 細胞株 を用 い 、」774.1細 胞 (マク ロ フ ァ
ー ジ)に よる貪食活性 につい て
検討 した。 多糖成分試料 を含 ん だ培地 で 」774.1細
胞 を培養 したの ち、蛍光 化 した大 腸 菌 を添加 して 30、90分 間に J774.1細 胞 が大
腸菌 を取 り込 んだ 量 を蛍光 プ レー トリー ダー に よ り測定 した。
(3)ア イヌ ワカメ 、 ス ジ メ由来 メタノール 抽 出物 の抗腫瘍活性 の測定
ア イヌ ワカ メ 、 ス ジメ各 メ タ ノー ル 抽 出物 の抗 腫 瘍活 性 の 測 定 は ヒ ト肺 癌細 胞
株 VA-13お よび ヒ ト胃癌細胞 株 MKN-45を 用 い た。各抽 出試料 をテ トラ ヒ ドロフ ラ
ン (THF)に溶解 し、THFの 最 終濃度 が 0。
5%と な る よ うに培 地 で希釈 した。 それ ぞ
れ の 細胞 を 1×105cel1/mlの密度 で 96穴 プ レー トに 100 μ
lず つ 分注 し、24時 間
前培養 (37℃、5%C02)し た後、試料溶液 を 10μ l添加 して 、更 に 24時 間培養 し、
生細胞数 を Cell counting Kit-8を
用 い て測 定 して細胞 生 存 率 を計算 し、腫瘍 細
胞 に対す る効果 を調 べ た。
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平成 14年 度事業報告 ・平成 15年 度事業計画 試 験研究 10
実験結 果
ス ジメか ら得 られ る多糖 成 分 の機 能 に つ い て免 疫 活性 化 の 指標 の 一 つ で あ る貪
食 活性 を検 討 した。 そ の結 果 、 ス ジメ 多糖成 分 は マ ク ロ フ ァー ジの貪 食 作 用 を活
性化 し、蒸留水抽 出 (中性抽 出)で 得 られ る多糖成分 が最 も貪食活性 を示 した (図
1)。また、 中性抽 出 の 多糖成分 は機 能性 多糖 の 一 つ で あ る β―グル カ ン よ りも高い
活性 を示 した。 次 にアイヌ ワカ メお よび ス ジメの メタ ノー ル 抽 出物 に つ い て 2種
類 の ヒ トガ ン細胞 に対す る作用 を検討 した結果 、肺 ガ ン細胞 (VA-13)に対 して ス ジ
メメ タノール 抽 出物 が β―カ ロテ ン と同程度 の強 い 致死作用 を示 した (図 2)。各 メ
タ ノー ル 抽 出物 中 には 抗腫 瘍性 を有す る とされ て い る フ コ キサ ン チ ンが 含 まれ て
お り、100g中 にアイヌ ワカ メで 5.3、スジメで 6.3mgで あ つたが 、同濃度 にお け
る致死活 性 に大 きな差 が あ り、 しか も フ コ キサ ンチ ン を多 く含 む (10.6mg)ワカ メ
よ りも活性 が 高 い こ とか らス ジメ には フ コ キサ ン チ ン以外 の抗 腫 瘍成 分 の 存在 が
示 唆 され た 。 以 上 の結 果 か ら未 利 用海 藻 で あ る ス ジ メに高機 能 な成分 が 多 く含 ま
れ てい る ことを見出 し、機 能性飲料 の有用 な素材 である ことを明 らかに した。
要
約
3,500
3,000
口VA-13
.
〇∞い 目い
い∞寺 X]︶
︵
楓 懇 ポ 類女 黒
2,500
︵
ゞ ︶4 拒 期 製 星
2,000
1,500
1,000
500
0
A
B
C
ス ジメ
D
ア イヌワカメ
フ カメ
β
―カロテン
試 料 ( 1 口g / 1 n l )
ー
図 1 」 7 7 4 . 1 細 胞 に よ る ス ジ メ水 抽 出 物 の 食 食 活 性
図 2 各 ガ ン細 胞 に お け る メ タ ノ ル 抽 出 物 の 影 響
1 の濃度 で測定 した
A : β―グルカン B : 酸性抽出物 C : 中性抽出働 D : ア ルカ リ性抽出物 培 地 中試料 1 0 0 μg / ■
アイ ヌ ワカ メお よび ス ジ メに つ いて 動物 細胞 に よ る機 能評価 を行 つた 結 果 、 ス
ジ メの 多糖成 分 お よび メ タ ノー ル 抽 出物 にそれ ぞれ免 疫活 性 化 作 用 、抗腫 瘍作 用
を認 め 、新 たな機能性成 分 の存在 を見出 した。
平成 15年 度 の研究計画
本 年度 の研 究結果 か ら得 られ た機 能 成 分 を活 か した具 体的 な飲 料 の 製 造 方 法 を
検討 し、飲料 の試作 を行 う。
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