日銀、追加金融緩和を決定

ご参考資料
2016年1月29日
日銀、追加金融緩和を決定
ポイント① 予想外のマイナス金利導入
図1:円の対米ドル為替レートと実質実効為替レート
日本銀行は、1月28、29日の金融政策決定会合で、
市中銀行が今後追加的に日本銀行に預金する際の金利
を0.1%から▲0.1%へと引き下げ、マイナス金利導入に踏
み切りました。
(円/米ドル、逆目盛)
100
市場では追加量的緩和の観測が一部にあったものの、マ
イナス金利は予想外のものでした。量的緩和策の限界の
議論が高まってきたことなどに対応した措置とも考えられます。
115
マイナス金利導入に踏み切った背景について、日銀は明
言していないものの、実質実効為替レートで見た円高があ
ると思われます。円/米ドルの為替レートは2014年10月
31日の追加金融緩和以降のレンジ内に収まっていますが、
人民元などの新興国通貨の下落で、円の実質実効為替
レートは追加金融緩和以前の水準にまで上昇しました。円
高が日本の景気、物価に悪影響を与える懸念が強まって
います。
ポイント② 景気鈍化の兆候
実際、2015年11、12月の日本の経済指標は全般的
に低調でした。12月の輸出額は前年比▲8.0%と、大きく
減少しました。鉱工業生産指数は11、12月と連続して前
月比で低下したほか、家計消費支出は12月に前月比で
は上昇したものの、11、12月と低水準でした。下落してい
るエネルギー価格を除いてもインフレ率は頭打ちとなり、日
銀が目標とする2%インフレの実現は遠のいています。
ポイント③ 金融政策の重点は量から金利へ
今回の措置で、日本の国債利回りは低下(価格は上
昇)し、一時残存期間8年の国債利回りまでマイナスとな
りました。また、日銀は日銀預金金利をさらに引き下げる可
能性にも言及しています。国債買取額を増やさなくても国
債利回りを押し下げる手段を得て、金融政策の重点は量
から金利に移ったと言えます。
ただ、人民元の下落懸念が残り、米景気にも陰りが見え
る中では、国債利回りの低下で実質実効為替レートベース
の円高をどこまで食い止められるかという点には注意が必要
でしょう。
2月15日
重要
イベント 2月17日
2月18日
GDP(国内総生産、10-12月期)
機械受注(12月)
期間:2014年1月1日~2016年1月28日、日次
(2010年=100)
78
円/米ドル為替レート(左軸)
76
円実質実効為替レート(右軸)
105
110
74
72
円高
120
125
70
68
円安
130
14/1
14/7
15/1
66
16/1
(年/月)
15/7
(出所)ブルームバーグデータより野村アセットマネジメント作成
図2:日本の輸出、生産、個人消費
期間:2012年1月~2015年12月、月次
(10億円)
7,200
6,800
6,400
(2010年=100)
114
景気後退
輸出額(左軸)
鉱工業生産指数(右軸)
家計消費支出指数(右軸)
110
106
6,000
102
5,600
98
5,200
94
4,800
2012
2013
2014
2015
90
2016 (年)
(出所)ブルームバーグデータより野村アセットマネジメント作成
図3:日本銀行の負債
(兆円)
400
360
320
280
240
期間:1999年1月末~2015年12月末、月次
その他負債、純資産
政府預金
その他預金
当座預金
銀行券
200
160
120
80
40
0
1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 (年)
(出所)日本銀行データより野村アセットマネジメント作成
貿易統計(1月)
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