光を自在に操るナノ金属メタサーフェス Tailored light control by nano

光を自在に操るナノ金属メタサーフェス
Tailored light control by nano-metallic metasurface
(工学研究院/工学府・機械システム工学専攻)岩見健太郎*
*連絡先
1.はじめに
近年の微細加工技術の発展に伴って、
太さ一万分の1ミリ程度のごく小さな金
属構造を作ることができるようになって
きた。ガラス基板上にこのような金属の
構造があると、そこを透過してきた光の
状態(振幅・位相・偏光状態)は変化す
る。金属構造の形状・配置を工夫するこ
とで、透過する光の状態を自在に操るこ
とができる。このような構造はメタサー
フェスと呼ばれ、注目されている。
図1
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金属ナノスリット型メタサーフェス
2.研究内容
金
メタサーフェスの中でも、図1のよう
ガラス基板
なスリット構造に注目している。この構
造に光を照射すると、図2に示すコンピ
ュータシミュレーションようにスリット
入射光
の部分における光の速度が、光の偏光方
向によって大きく変わるため、透過した
断面図
光には位相差が生じる。
この構造の特徴として、厚みの割に得
図2 メタサーフェスの光機能の数値解析
られる位相差の大きさが非常に大きい、
ということが挙げられる。そこで我々は
実際にこのような金属構造をガラス基板
上に製作してみた。(図3)。また、これ
らを多数並べて撮影したのが図4である。
材料としては純金を用いている。金属ス
リット構造の周期が 500nm と非常に小
さいため、図 4 の写真では個々のスリッ
図3 メタサーフェスの電子顕微鏡写真
トを見分けることができない。
3.おわりに
本稿で述べた金属メタサーフェスの技
術は、将来の情報通信や光集積回路、立
体プロジェクタなどの実現のために役立
つことが期待されている。まずは光学実
験用の光変換素子の実現をめざし実験を
行っている。
400m
図4
メタサーフェスを多数配置した構造