次元回転血管撮影システムによる血管解剖 CG で

第回臨床解剖研究会記録 ..
次元回転血管撮影システムによる血管解剖
今西宣晶
相磯貞和
慶應義塾大学解剖
中嶋英雄
同大学形成外科
三鍋俊春 平野浩一
杏林大学形成外科
同大学耳鼻科
形成外科領域では,血管造影や屍体を用いた微小血
差を利用して立体視するシステム,を用いて処理し,
管造影を利用して皮膚皮下組織,筋肉,骨などの血管
血管の連続した 3 次元造影像を観察した.今回の 3
解剖や血行動態の研究が行われ,それを基に新しい皮
次元回転血管撮影システムでは,血管樹の立体構築を
弁が開発されてきた.しかし,従来の血管造影で得ら
120度の回転域で連続して観察することにより,各々
れる情報は 2 次元のものであり,血管構造を 3 次元
の血管の走行を明瞭に区別して読影することができ,
的に理解把握することは,さらなる皮弁の進歩に有用
今までイメージとして理解してきた血管樹を,回転す
なことと考えられた.そこで我々は,全身動脈あるい
る血管造影像として直接的視覚で理解可能となった.
は静脈造影を施した新鮮屍体を,連続回転血管撮影装
この情報および従来からの血管解剖の研究を基に形成
置( GE 社製 Advantex LU A )を用いて撮影し,そ
外科において臨床応用を行ってきた.今回は,システ
れで得られた連続した移動画像を,ソニーメディカル
ム準備の都合上, 3 次元画像としてお見せできない
社の立体画像処理技術移動画像をわずかな時間差を
が,細い血管まで造影された標本の回転血管像のビデ
もって重複して,一台のモニター上に描出し,両眼視
オを供覧したいと思う.
第回臨床解剖研究会記録 ..
CG で表現した皮膚皮下組織血管の立体構築
今西宣晶
相磯貞和
慶應義塾大学解剖
中嶋英雄
同大学形成外科
三鍋俊春

杏林大学形成外科
従来皮膚皮下組織を栄養する動脈の解剖は,2 次元
(皮膚,上層脂肪層,下層脂肪層)に剥離分割したり,
的な表示および理解にとどまっていた.皮膚皮下組織
また横断切片標本を作製し,軟 X 線撮影を行った.
を皮弁として取り扱う形成外科においては,皮下組織
これら情報を基に,皮膚皮下組織の栄養動脈の CG 像
を切除した薄い皮弁や脂肪組織の一部を用いる皮弁の
を PC を用いて作製した.この CG 像は走行を簡略化
開発が行われ,このような皮弁を理論的に作製するた
したものであるが,全身の皮膚皮下組織内の栄養動脈
めには,皮膚皮下組織の血管構築を立体的に解明する
を CG 化することにより,血管走行の立体的特徴を観
必要があった.3 次元回転血管撮影システムによる血
察することが可能となり,臨床的観点からも考慮し
管樹の観察は比較的深い部位の血管の立体的観察には
て,その立体構築を 6 つの型に分類整理することが
最適であったが,解像度に問題があった.そこで,我
できた.この分類およびその血管分布の情報をもと
々は,全身動脈造影を施した新鮮屍体から,皮膚皮下
に,皮膚皮下組織を理論的に分割することが可能とな
組織を一塊にして採取し,この標本をさらに 3 層
り,臨床にとって有用な情報となった.
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臨床解剖研究会記録
No. 3
2003. 2