飼育下におけるインドゾウの夜間行動観察 〇藤澤加悦、古田洋、佐藤英雄、栗原幹尚、太田真琴、山本香織里 ( (公財)横浜市緑の協会よこはま動物園) 、田中正之(京都市動物園) 動物園動物を適切に飼育管理するためには、 彼らの行動特性を理解する必要がある。 飼育下では、 24 時間の観察が可能という利点がある。飼育下のゾウの実際の睡眠時間や、夜間から翌朝までに見 られる睡眠以外の行動を明らかにするためによこはま動物園で飼育しているインドゾウ(Elephas maximus indicus)を対象にして、夜間行動観察を実施しているので報告する。 対象は、よこはま動物園で飼育されている雄の個体(24 歳)1頭で、観察期間は 2011 年 8 月か ら 2014 年 3 月までとした。行動は寝室に収容後の 18 時から翌朝 8 時までの 14 時間分を記録し、記 録映像は 5 分間隔の瞬間サンプリング法で分析をした。 その結果、雄個体の平均的な行動割合を知ることができた。観察時間中、横臥睡眠、起立睡眠、 常同行動がそれぞれ約 3 割ずつ、採食・探索行動等のその他の行動が約 1 割となった。また、雄特 有のマスト期の観察より、マスト期は通常時と比較すると横臥睡眠が 1 割減少する代わりに起立睡 眠が 1 割増加するという結果となった。このように夜間行動観察を行うことで、生理的変化や行動 変化も明らかになり、健康管理を行う上で有効な情報を得ることが出来た。
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