PRE-21-155 手掌接地時における方形回内筋の活動特性 The deep head of pronator quaratus activity at grounding with hand ○大山峰生 (OT),小田桐正博 (OT),松澤翔太 (OT),中村雄一 (OT),豊栄 峻 (OT) 新潟医療福祉大学大学院作業療法学分野 Key words: Physical function 【目的】方形回内筋(PQ)の主機能は前腕回内運動とされている.近年,PQは浅頭と深頭で構成され た二層構造を成し,深頭は回内の他に遠位橈尺関節(DRUJ)の安定性に関与することが明らかにな りつつある.本研究の目的は,側方へ体幹を傾斜させ倒れた時に手掌を接地させる運動課題を実施 し,手掌接地前後の方形回内筋深頭(PQDH)の筋活動を導出し,その機能を明らかにすることとし た. 【方法】対象は,健常成人5名とした.課題動作は,右の等尺性最大前腕回内運動と右側方に倒れて 右手掌を接地する動作とした.手掌接地肢位は肘関節伸展,前腕回内位とした.筋電図測定は,PQDH は双極ワイヤー電極を用い,円回内筋(PT)は表面筋電図を用いて導出した.筋活動量は,手掌接地 時前の1000msec から接地後500msecまでを250msec間隔で解析した.尚,本研究は新潟医療福 祉大学倫理委員会の承認を得た. 【結果】PQDHの活動は,接地前750msecから出現し,接地前250msecでは最大前腕回内運動時の 30~50%の筋活動を認めた.接地後500msecでは,20~30%の活動であった.一方, 円回内筋の 活動は,接地前250msecでも0~5%程度に留まり,接地後500msecまでほとんど活動しなかっ た. 【考察】今回示したPQDHの活動は,PTとは異なって手掌接地前より高まり,独立した活動を示し た.このことから,転倒時に手掌を接地する前後のPQDHの活動は前腕回内運動の筋収縮ではなく, DRUJの動的支持機能としての役割を担っていると考えられた.
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