短期予報解説資料1 2016年 1月20日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①日本海の低気圧は、対応する寒冷渦 とともに東日本を通過し不明瞭化した が、背の高い雪雲が流れ込んだ東日本 で風下側に降雪域が拡大、15cm 前後の 3 時間降雪量を観測。 その西側の風速極 大域にあたる近畿~東海付近でも平地 や太平洋側へ降雪域が拡大したが、そ の後、全般に北よりの風が卓越し、北・ 東日本の日本海側を中心に10cm前後の 3 時間降雪量が持続中。発雷も検知。 ②東側の寒冷渦に対応する北海道東方 の低気圧は徐々に気圧が上がってきて いるが、東経 160 度付近で停滞中。引 き続き北~西日本の広範囲で強い風を 観測、海上は非常に強い風で、広く大しけやしけが継続。また、関東沖に達した①の寒冷渦はトラフ となってその東側で雲域が拡大中。 ③中国奥地ではトラフの深まる傾向がみられ、その東側で 500hPa5580m 付近の流れが強まり、華北に かけて雲バンドが明瞭化しつつある。また、華南から華中にかけて暖気移流が強まりつつあり、華北 を含めてトラフ東側は 700hPa で湿潤域が拡大中。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項②の低気圧は今後も徐々に弱まりながらゆっくり東進する。また、関東沖の雲域が寒冷渦の東側 にまわり込みながら 20 日夜には低気圧となり急速に発達する見込み。これらは全体として変化が小さ く、上中層の寒気の急速な後退も見込まれない北日本・東日本を中心に 21 日にかけて冬型の気圧配置 が続く。暴風雪、高波に警戒。風向の変化が小さいため、現在降雪の強い地方を中心に引き続き大雪 に警戒。積雪の大雪傾斜地ではなだれに注意。降雪の続く地方では着雪、落雷、突風にも注意。 ②1 項③の変化傾向により、21 日朝には華南沿岸から沖縄近海にかけて前線が発生し、夜には前線上 に低気圧が発生する。前線の付近には 850hPa に 327K 以上の暖湿気が流れ込み、大気の状態が不安定 となる。落雷や突風、短時間強雨に注意。この低気圧は 22 日にかけて発達や北上傾向はないが、 500hPa5580m 付近まで幅の広い傾圧帯が顕在化し、21 日には降水を伴う雲域が東シナ海に大きく広が り、夜には九州の一部にかかってくる。 3. 数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新の GSM による。 降水や風の予想は MSM を参考にする。 ②波浪:風の弱まる西日本からうねり過小分の上方修正が必要。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨・大雪ポテンシャル(18 時からの 24 時間):[雨]高い(100mm 以上)所はないが、2 項の短時間強雨に注意。[雪]北日本 50、東日本 10~40、西日本 5~25cm。②波浪(明 日まで):北日本・北陸・伊豆諸島・小笠原 6、近畿・中国 5m。その他 3~4m。③高潮(明日まで):北日本 を中心に注意報級。北海道では警報基準に近くなる地域がある。実況留意。 5.全般気象情報発表の有無 17 時頃に「暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報」を発表予定。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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