短期予報解説資料1

短期予報解説資料1 2016年 1月24日15時40分発表
気象庁 予報部
1.実況上の着目点
①寒冷渦の中心は日本海に進み、そ
こから西方に連なる深いトラフが黄
海をゆっくりと南下、西日本上空へ
の強い寒気の流れ込みが続いている。
24 日 9 時には、福岡上空で 700hPa・
-26.1℃、850hPa・-14.9℃を観測。12
時間比約 3~4℃の下降を示している。
②日本海や黄海、東シナ海を離岸距
離の小さい下層雲域が広く覆ってお
り、九州や山陰でも断続的な降雪と
なっている。また、南西諸島から九
州西岸、
山陰、
北陸では、
灯台で 20m/s
を超える風が継続、海上は大しけと
なっている。
③日本海に形成されている収束線付近で、対流活動が活発化している。09 時、低気圧性曲率をもった
下層渦付近に低気圧を解析。その延長線上の北陸を中心に雪が強まっており、局地的に 20cm/3h を超
える降雪となっている。また、山陰の山沿いでも多い所 5~10cm/3h 程度の降雪を観測している。
2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
①1 項①の寒冷渦やトラフの接近で日本付近では西南西流が強まり、日本のはるか東で低気圧が急速に
発達する。一方、大陸では高気圧が張り出しを強めており、日本付近は 24 日をピークに 25 日にかけ
て強い冬型の気圧配置が続く。西日本~東北の広い範囲で風が強まり、日本海側を中心に降雪が続く。
暴風や暴風雪、高波、大雪に引き続き警戒、着雪、なだれ、落雷、竜巻などの激しい突風に注意。
②1 項③の低気圧は、24 日夕方までに北陸地方に上陸し不明瞭となるが、下層シアーラインがゆっく
りと南下し 24 日夜には山陰地方に達する。引き続き、西日本上空には非常に強い寒気が流れ込み、24
日夜には850hPaで-12℃以下、
700hPaでは-21℃以下の寒気が太平洋岸まで南下する見込み。
このため、
25 日に前半にかけては、北陸から西日本の日本海側、九州北部で特に大雪に警戒が必要。また、強い
風とともに雪雲が太平洋側にも流れ込み、山地を中心に積雪が増えるおそれもある。
③南西諸島や九州では、24 日は非常に強い風とともに海上は大しけの状態が続く。高波に警戒。九州
では暴風や暴風雪にも警戒。西日本から東日本の太平洋沿岸でも、強風、高波に注意。1 項①の寒冷渦
が日本の東に抜ける 25 日には、冬型の気圧配置は次第に緩み始める。
3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とする。降水や風の局地的な予想には MSM
も参考にする。②波:風の強まりやうねりなど、実況の経過から適宜上方修正を検討。
4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雪ポテンシャル(18 時からの 24 時間):北陸 70、東北 60、東
海・近畿・中国 50、関東甲信・九州北部 40、北海道・四国・九州南部 20cm。②波浪(明日まで):九州・
奄美・沖縄 7、北陸・近畿・中国・小笠原諸島 6、東北・伊豆諸島 5、関東・東海・四国 4、北海道 3m。
③高潮(明日まで):大潮期間。北日本の太平洋側で注意報基準を超過する可能性がある。
5.全般気象情報発表の有無 「暴風雪・高波・大雪に関する全般気象情報」を 17 時頃発表予定。
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量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。