短期予報解説資料1

短期予報解説資料1 2016年 2月21日03時40分発表
気象庁 予報部
1.実況上の着目点
①発達中の低気圧は、一本化してい
ない上空の強風軸の影響で、当初予
想よりも北上傾向が小さく、トラフ
東側の流れに沿い、東日本の太平洋
沿岸から三陸沖を進んでいる。低気
圧付近の活発な対流雲は既に海上。
②低気圧の接近により北日本で非常
に強い風を観測しているほか、高気
圧が張り出してきた西日本や南西諸
島でも強風。全国的に高波。
③低気圧の接近に伴い、20 日夜から
北海道中心に雪が降っており、太平
洋側では強い雪で 10cm 以上の 3 時間
降雪量の続いている所がある。本州
は、太平洋沿岸で 24 時間 100mm を超えた地域があるほか、広く数十 mm の雨による 24 時間降水量。
④低気圧の通過に伴い、その近傍となった沿岸では潮位偏差が+30cm 程度まで上昇したが、低気圧北側
では、それ未満か天文潮並み。ガイダンス程度か低め。
2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
①1 項①の低気圧は、21 日は当面 500hPa5400m 付近の流れに沿って進み、夜には 5100m 付近でまとま
る寒冷渦に取り込まれるようにして 22 日朝にかけて減速しながら千島の東で発達が加速する。目先は
北海道太平洋側を中心に大雪や暴風雪による交通障害に警戒・注意。また、21 日は東北地方や東日本中
心に多雪地域で、なだれ、融雪による土砂災害や河川の増水に注意。
②21 日は、大陸から高気圧が張り出し冬型の気圧配置となる。また、夜には北日本を中心に通過する
トラフの影響で、北日本中心に 22 日初めにかけて寒気の吹き出しが強まり、風速が 35kt 級に再び強
まる所がある。北日本の一部では暴風や暴風雪に警戒。21 日は全国的に風が強く、海は波が高く、北
日本・東日本の一部と沖縄地方ではしけが残る。また、日本海側を中心に大雪、着雪、風雪、新雪に
よるなだれに注意。目先は、上中層の寒気トラフ到達による日本海側での西からの対流雲発達に留意。
③22 日は、寒気をもたらす上空の流れが北に後退し、本州付近をリッジに対応した高気圧が移動する。
これにおおわれて晴れる時もあるが、強い東西流の影響で、大陸のトラフ前面を東進してくる上中層
雲のかかる所が多い。また、上層正渦の影響が強まる中、850hPa9℃付近の傾圧帯が明瞭となり、夜ま
でには東シナ海で前線と波動が発生する。
3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とする。降水や風の予想は MSM も参考。
4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨・大雪ポテンシャル(06 時からの 24 時間):[雨]多い(100mm
以上)所はないが、積雪地域では、融雪による土壌雨量や河川流量の増加に留意。[雪]北海道 40・東北
30cm。②波浪(明日まで):北海道 5、東北・北陸・関東甲信・伊豆諸島・東海・沖縄 4、その他全国的に 3m。③
高潮(明日まで):北日本太平洋側で注意報基準程度が見込まれる地域がある。潮位偏差に留意。
5.全般気象情報発表の有無 「暴風と大雪に関する全般気象情報」を 5 時頃発表予定。
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量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。