Untitled

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東包材の厚生事業として毎年観劇会が行われてきたが、今
回は初の試みとして「新春浅草歌舞伎」であった。
一月十日午後二時過ぎの浅草はまだまだ正月気分いっぱ
いで、雷門から浅草寺へ向かう仲見世は観光客でごった返し
ていた。そんな中、浅草公会堂で新春浅草歌舞伎は行われた。
今回は当組合貸し切りではない為、一階入口で下尾崎事務
局長が組合関係者を三階へ誘導する。三階に上がれば、事務
局小島氏と白井理事長が笑顔で土産を交換してくれる。組合
の面々ともこのロビーで新年の挨拶を交して指定席へ。
この新春歌舞伎は尾上松也や坂東巳之助・中村隼人など次
世代を担う二十代の花形役者七人が終結し、エネルギー溢れ
る公演となっている。観劇会貸切恒例となっている理事長挨
拶は無かったのだが、中村米吉と中村歌昇による公演前のお
年玉〈年始ご挨拶〉口上と軽妙なトークがあり、お得感があ
った。
幕開きは『仮名手本忠臣蔵』全十一段内の五段と六段。討
ち入りの話とは直接関係無い挿入話といった感じ。それでも
見入ってしまったのだから歌舞伎は面白い。三十分の休憩後、
中国に伝わる霊獣が、酒を飲みながら上機嫌に舞う格調高い
松羽目物の舞踏『猩々』(しょうじょう)が演じられた。最
後の演目では賑やかな廓風情の中、鳶頭と芸者たちが登場し
て正月お目出たい一本締めを行い、浅草の地に相応しい江戸
っ子気質に溢れた粋な舞踏『俄獅子』が披露されて終演とな
った。