平成26年度スマートコミュニティ構想普及支援事業 成果報告書(要約版) 1.補助事業者名 2.対象地域 復建調査設計株式会社・株式会社NTTデータ 広島県府中町 3.補助事業の名称 4.内 容 地方中枢都市圏における都市近郊型スマートコミュニティ事業化調査 対象地域の現状 電力供給に関する調査 2 県南西部に位置する府中町は、町域 10.45km で、 四方を広島市に囲まれたコンパクトなまちである。 「ひとがきらめき まちが輝く オアシス都市 あき ふちゅう」をめざす都市像とし、昭和 60 年代に人口 5万人を越えて以降、現在もこれを維持している。 大手自動車メーカー本社、大型ショッピングモール が立地した住商工が揃う町で生産世代、特に 20∼40 代の子育て世帯の割合も多い。一方で課題もある。 ① 現在も中心地の再開発需要が高いが、一方で、丘陵部 の団地ではオールドタウン化が懸念される。 府中町で有効な再エネは太陽光とバイオマスであ る。太陽光は住宅や公共・民間施設の屋根を活用し 小規模電源を集約する仕組みをつくる。また、バイ オマスは町の半分を森林が占めるものの林業が発達 していないので、家庭や事業所から出る厨芥系廃棄 物を利用したバイオガス発電を取り入れる。 ▼ スマートコミュニティで地域新電力が確保する地産電力量 発電規模 太陽光 発電 ② 経済成長期に、急激に開発が進んだ宅地は、家屋が密 集し、道路も狭あいなエリアも多く、災害リスクが高い。 また、再エネ分野では以下の課題がある。 ③ 構造物が密集し、大規模太陽光発電や風力発電施設が 導入できるような遊休地がない。 ④ エネルギーに関する取り組みは遅れており、創エネや省エ ネは個々の判断に任されている。 めざすスマートコミュニティ像 都市近郊型の代表的性格を持つ府中町でめざすス マートコミュニティ像は、以下のとおり、町内にさ まざまな『循環』を生み出す社会システムである。 そのカギは、再エネを確保しづらいという町の弱 点を克服し、エネルギーの地産地消を通じて域内消 費を活発化させることにある。これにより▽地域経 済の好循環化,▽地域競争力の強化,▽生活利便性 の向上,▽安全安心な環境づくりという効果の発現 により、多様化する地域課題の解決を試みる。 戸建・非戸建住宅の屋根を利用 町立小・中学校の屋根を利用 商業施設の屋根を利用 バイオマスガス発電 合 計 MW MW MW MW MW なお、現状として府中町では太陽光発電機器の導 入率が低く、多様な施策との組合せによる普及策の 検討が必須である。例えば、空き家に発電機器を設 け、安価な電力と子育て世帯向け ICT の付帯サービ スをもつ賃貸物件としてリフォームし、地産電力の 確保と定住促進を両輪で進めるなどが考えられる。 電力需要に関する調査 町内8世帯及び公共施設5校・2施設で電力需要 調査を実施したところ、家族構成別・施設別に時間 別の電力消費傾向が大きく異なることがわかった。 朝と夕以降の消費が多い子育て世帯をベースに、日 中の電力使用が多い小・中学校や公民館、高齢者世 帯等を組み合わせることで太陽からのエネルギー供 給が高い 6:00-20:00 の電力消費が平準化される。 子育て世帯(乳幼児居住) ×1,000世帯 (kWh) 500 めざす効果 0.99 0.08 0.20 0.35 1.62 高齢者世帯 ×200世帯 町立小中学校 ×7校 交流施設 ×3校 400 人 300 200 金 100 コミュニティ 0 0:00 2:00 4:00 6:00 8:00 10:00 12:00 14:00 16:00 18:00 20:00 22:00 24:00 事業化の方向性 めざすコミュニティ像と各種調査結果を踏まえ、 事業化の主たる方向性は下記のとおりとなった。 電力販売の自由化を見込み、需要家は子育て世帯 を主とした一般住宅とし、安価な電力販売と ICT を 活用した各種サービスを提供する。これにより新電 力の事業性を検証した結果、回避可能費用の上昇等 により採算性は厳しいものの、大規模な再エネの確 保が難しい都市近郊型の町でも事業化は図れること がわかった。ただし、事業性を安定させるには域外 からの調達電力も活用しながら需要家規模を拡大す ることが望ましい。また、都市近郊とはいえ、地方 であるが故の以下課題を解決していく必要がある。 ○町外からの安価で安定的な電力の確保 →地方の電力が市場価値の高い関東・関西へ流れている傾 向があり、地方都市では安価に調達をすることが難しい。 ○スマートコミュニティ事業を担うプレーヤーの育成 →西日本では未だエネルギーへの危機意識が低く、啓発を進 め各種事業主体となるプレーヤーを育成することが必要。
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