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VOL. 17 NO. 5
CHEMOTHERAPY
813
Clindamycin(7-Chloro-7-deoxylincomycin)に
三 木 文 雄
関 す る基 礎 的
東
朋 嗣
岩 崎峭
赤 尾
尾 崎達 郎 杉 山 浩 士 羽 田
大 阪帝立大学医学部第一内科
(主任:塩 田憲三教授)
7--Chloro-7--deoxy-iincomycin(Clindamycin,以
LMと
略 す 〉 に つ い て,基
ml以
下
上 を示 す もの4株 に対 して,LCMに
mcg/ml以
対 す る感 受
下 は3株,0.7∼6.25mcg/m!26
上 を 示 す もの15殊
CLMの
菌
同
株,12.5∼50mcg!ml3株,100mcg/mlま
の成
一
績 を 報 告す る。
L抗
満
性 分 布 は03mcg!ml以
礎 的 倹 討 を 行 な う と と も に,
C
内 科 系 感 染 症 に 対 す る 治 療 効 果 を 検 討 し た の で,そ
・臨 床 的 研 究
抗 菌 力 はLCMの
た1ま100
と ブ ドウ球 菌 に 対 す る
抗 菌 力 よ り強 い こ とを 示 す 。
力
同一
一菌 株 に対 す るCLMとLCMの
病 巣 分 離 ブ ドウ 球 菌47株(う
陽 性,25株
はCoagulase陰
桿 菌26株,変
形 菌3株,緑
計128株
agarを
ち22株
性),大
使 用 し,平
腸 菌27株,肺
膿 菌2株,赤
に 対 す るCLMの
度 を比 較 す る と,図1の
はCGagulase
な交 叉 耐 性 の存 在 を認 め るが,ほ とん どす べ て の菌 株 に
炎
つ い て,CLMの
痢 菌23殊,
抗 菌 力 をHeartinfusion
mcg/m1以
下LCMと
略 す)の
そ の 成 績 は 表1に
示 す ご と く,ブ
のCLM
下 が30株,0.7
優
対 して100
よ り発育 が 阻 止 され る菌 株 も存 在 す る。
m1以
ドウ 球 菌47株
か に は,LCMに
グ ラ ム陰 性 桿 菌 は,す べ てLCMに
抗 菌
者 の成 績 を比 較 検 討 した。
・
に 対 す る 感 受 性 分 布 は,0・3mcg/m1以
抗 菌 力 の4∼8倍
上 の耐 性 を 示 しなが ら0・39∼3・12mcg/m1の
CLMに
法 は 日本 化 学 療 法 学 会 試 案1>に 準 拠 した 。 ま た 同 時 に 同
力 を 測 定 し,両
抗 菌 力がLCMの
れ て い るこ とを 認 め,な
板 稀 釈 法 に よ り測 定 した 。 な お 測 定
様 の 方 法 に よ りLincomycin(以
最 小発 育 阻 止 濃
ごと く,両 抗 生 剤 間 に ほぼ 完 全
対 して100mcgl
上 の 耐 性 を 示 す が,CLMの50∼1OOmcg/mlに
よ り発 育 阻 止 をみ る もの が,大 腸 菌27株
中7株,肺
桿 菌26株
存 在 す る。
中2株,赤
痢 菌23株
中18株
炎
-∼6.25mcg/ml3株,25∼50mcg/mllO株,100mcg1
表1病
巣 分 離 菌 のClindamycinお
よ びLincomycinに
対 す る感 受 性 分 布
最!」 、 発i育
菌
種1菌
株 数1 抗生 剤
_
一
}
StaPh!loc.aureus
L
CLM
i22
StaPh1loc.epidermidis
25
E.coli
27
Proteus
CLM
LCM
Pseudomonas
・Shigella
CLM
LCM
7
}
1
3
1
il612
{!51
1
l
-
ill
21
l
ll4
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8h
il
1
lli
I!
}
4
5
i27
1
,24
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一
lii
11
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一一'一
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一.一
一
{i
il
13
3
CLM
2
ii
LCM
2
l
CLM
LCM
9
一712・■
i…
CLM
23
31
LCM
LCM
2
度(mcg/ml)
CLM
l26i
{3
2
↓ヒ.i農
・・2i卿78ill56}3・12;6・ 塾 聖515・il・
LCM
l
Kleb5・idla
≦9・0『0・1
阻
185
;
23
CHEMOTHERAPY
814
図1病
巣 分 離 ブ ドウ 球 菌 のClindamycinお
Lincomycinに
JUNE1969
よび
図2C!indamyeinl回150mg経
対 す る感 受 性 比 較
口投 与 後 の 血清
中濃度の推移
斑
講
雛
d勿!
1
.2
3
4
6MM
5
ll7iil
例,慢 性 気 管 支炎1例,感
≦
鉾
コ
混 合 感 染1例,計12例
≦傭01α 鰯
じ コ
じ
編鑑 篇鮮
コ
へ
し へ
し らコ 伽 畷
ヨぬコ し コ
CLMの
染 性 気 管 支 喘 息1例,肺
にCLMを
投 与 は,1臼
結核
投 与 した 。
量 を4回 に 分 け,6時
間 ご とに
経 口投 与 した 。
II・ 吸 収 な らび に 排 泄
3例 の 健 康 成 人 に,空
表3に,投
腹 時1回150mgのCLMを
原 因菌 消失 を み た もの,あ
を検 定 菌 と した 重 層
消 失 し,投 与 中 止 後 も再 燃 をみ な い もの を著 効(紛
燐 酸 緩 衝 液 に て稀 釈 後重 層 し,標 準CLM
液 はpH7.0の
平 均 値 は,30分
後 また は1時 間 後 に 存 在 し,3例
後1.67mcg/ml,1時
2時 間 後L23mcg/ml,4時
た も の,あ
の
み た も の を有 効(十 〉,症 状 の 改 善 をみ ない もの を無 効
間後
(一)と
あ る。
CLM投
与6時
収 率 は平 均12.7%で
こ のCLM経
口投 与 後 の血 清 中CLM濃
全 例12症
あ る。
定 不 能2例
度 はLCM
l回 経 口投 与 後 の成 績2)に 比 較 して,か な り高 い 値 で あ
り,CLMはLCMに
比 較 して,消 化 管 よ りの 吸 収 が
床
急 性 咽 頭 炎3例,急
成
性別
体重
性 気 管 支 炎3
Q﹂
nj
1
りん
00
4露
0∂
αJ
00
平
効3例,判
で あ る。
中2例 は 糖 尿 病 合 併 例 であ るが,そ の
うち1例 はCLM投
与 後 急 速 に 症 状軽 快 著 効 の成 績 を収
の2症 例 は 有 効 の 成 績 に と ど まつ た 。
中,2例
は 副 作 用 の た め にCLM投
(mg)
分1
急 性 気 管 支 炎3例
清
1時 間
申
濃
6時 間 内 尿 中 排泄
度(mcglm1)
2時 間4時
剛6時
間
排泄 量
(mg>
回収率
(%)
ε6011501.8
1.8
1.3
0.9
trace
15.0
10.0
668i15・1.2
2.O
1.2
1.l
trace
28.l
18.8
l.6
1.2
l.0
O.9
I4.0
9.4
1.8
1・23}1・
19.0
12.7
δ66il5・2・
均
・
15011.67
1
与
中2例 は 著 効 を得 た が,他 の1例 は
口投 与 時 の血 清 中 濃 度 と尿 中排 泄
血
投与量
i3・
と して判 定 した 。
効4例,無
継 続 が 不 可 能 で,判 定 不 能,他 の1例 は 無 効 に終 つ た。
表2Clindamycinl回150mg経
年令
例 中,著 効3例,有
急 性 扁 桃 炎3例
績
性 扁 桃炎3例,急
作 用 な どの た め 治 療 継 続 が 不 可 能 で,効
急 性 咽 頭 炎3例
め た が,他
良好 で あ る こ とを示 して い る。
ilL臨
し,副
果 判 定 困難 な もの を 判 定 不 能(わ
間 内 の尿 中 排 泄 量 は14,0∼28・1mg,
平 均19mgで,回
るい は 原 因 菌 消 長 の 把 握 が 不 確実 な 症例 にお
い て も,薬 剤 投 与 後 自然 治 癒 の 程 度 を越 え て症 状 改 善 を
間 後1.8mcg!ml,
間 後Lomcg/m],6時
と
因 菌 消失 を み な い もの,
症 状 原 因菌 と もに 消 失 して も,薬 剤投 与 中 止 後 再燃 をみ
よび 図2に 示 す ご と くで,血 清 中 濃 度 の
ピー クは投 与30分
はtraceで
し,症 状 の 改 善 が 不 完 全 で,原
燐i酸緩 衝 液 に て 稀 釈 作 製 した。
成 績 は表2お
るい は 原 因 菌 消 長 の把 握 が不
確 実 な症 例 に お い て も,薬 剤 投 与 後,臨 床 症 状 が 急 速 に
法 に よ り測定 した 。 な お,血 清 は 稀 釈 せ ず そ の ま ま,尿
はpH7・0の
与 量,効 果 な らび に 副作
臨 床 効 果 の 判 定 に あ た つ て,臨 床 症 状 の 消 失 と と もに
経 口投 与 し,そ の 後 の血 清 中 濃 度 の推 移 と6時 間 ま で の
尿 中排 泄 量 を,枯 草 菌PCI-219株
与 対 象,CLM投
用 を一 括 表 示 した 。
・
trace
VOL. 17 NO. 5
CHEMOTHERAPY
臨
表3
症
例
番
号
年
性
令
別
1
55
♂
疾
患
名
合併症
床
効
1日
投与量
原因菌
(mg)
急性咽頭炎
糖 尿病
815
投
与
日
数
効
十
?
600
7
?
1200
600
7
7
2
56
♀
〃
3
60
♀
〃
?
600
7
4
27
♀
急性扁桃炎
?
600
7
〃
果
CLM投
副 作 用
果
24
♀
〃
?
600
3
?
6
31
♀
〃
?
600
2
?
悪 心 ・嘔 吐
7
67
δ
急性気管支炎
?
600
5
?
1200
600
7
7
猛 御ψ ゐゴ
伽
1200
600
3
4
600
7
46
6
〃
9
21
♀
〃
10
68
6
慢性気管支炎
糖 尿病
肺気腫
Hemoph蜘5
GPT
与後
12
12
9
9
8
8
9
8
45
58
42
58
i7
12
21
16
十
5
8
GOT
投与前 投与後 投与鰍
食欲 不 振 ・悪
心 ・嘔 吐
慢性肝 炎
与 前 後 の肝 機 能
井
1日1200mg
投 与 時 のみ 悪
心 ・嘔 吐
11
55
♀
感染性気管支喘 息
抽 魏ψ 観 郷
600
7
十
食欲 不 振
上 腹部 膨 満 感
12
45
♂
肺結核混合感 染
?
600
5
十
上腹部痛
18
19
◎
CLMl日600mg投
与 で 無 効,1日1,200mgに
増量
前 後 の 肝 機 能 に も異 常 は認 め られ な か つ た 。
した と ころ 悪 心,嘔 吐 を きた した た め 中 止 した 。 な お ・
この症 例 のHemophilusはEM,TCに
し,CLM中
止 後,TC投
与 に よつ て 症 状 は 改 善 した 。
慢 性 気管 支 炎1例 に 対 し,CLMl日600mg7日
間
の投 与 を行 な つ た が,症 状 改 善 な く,原 因 菌 とみ られ た
肋 初ψ観 欝 も残 存 した 。
与 に よ り症 状改 善 を み た が,と
めCLMの
もに 副 作 用 の た
投 与 を 中止 した。
時 の血 中 濃度 よ りみ て,LCMよ
り優 れ た 臨床 効 果 が 期
待 され た が,今 回 私 共 の 投 与 した 対 象 例 に お け るCLM
の とは い え ない 成 績 であ る。
CLM投
与12症
例 中,5例
ほ う
り勝 る が,最
経 口投 与 に よ り,30分
1時 間 後 に 平 均1.8mcg/mlの
3>12例
小 発育 阻
下 を示 す 菌 は な い 。
∼
血 中 濃 度 を 示 し,約6時
間 で ほ ぼ 血 中 よ り消 失 す る 。6時
1)最
間 内 の尿 中回 収 率 は 平
示す。
の 呼 吸 器 感 染 症 にCLMを
効4例,無
効3例,判
投 与 し,著
定 不 能2例
効3
の成 績 を 得た 。
与中止を余儀な く
され た。
消化 管 障 害 の 他,特 に 副 作 用 は 認 め られ ずCLM投
献
小 発 育 阻 止 濃 度 測 定 法 。Chemotherapy16:
98,1968
与 時 のみ 副 作 用 出現,1日600mg
与 例 で あ り,CLM投
りCLMの
抗 菌 力 はLCMよ
止 濃 度25mcg/ml以
文
では 副作 用 が 認 め られ な か つ た が,他 の4例 は い ず れ も
1日600mg投
て もCLMの
心,嘔
吐,上 腹部 痛 な どの 消 化 管 障 害 が み とめ られ,う ち1例
は1日1,200mg投
発 育 阻 止 さ れ,LCMよ
強 い 抗 菌 力 を 認 め た。 グ ラ ム陰 性桿 菌 に おい
5例 に 消 化 管 障 害 が 認 め ら れ た 。
用
に 食 欲 不 振,悪
下 の成 績 を得 た。
巣 分 離 ブ ド ウ球 菌 の 約66%は0.78mcglml以
下 のCLMで
例,有
作
め
つ い て 検 討 を 加 え,以
1)病
均12。7%を
臨 床 成 績2・3)に
比 して,優 れ た も
IV・ 副
と
2>CLMl回150mgの
以 上 の ご と く,本 剤 の 試 験 管 内 抗 菌 力 お よび 経 口投 与
の臨 床 効果 はLCMの
CLMに
が4∼8倍
感 染 性 気 管 支 喘 息 お よ び 肺 結 核 混 合 感 染 の 各1例 は
CLM投
V.ま
中等 度 感 性 を有
与
2)塩
田 憲 三,他:Lincemycinに
関 す る基 礎 的 な らび
に 臨 床 的 研 究 。J.Antibiotics,Ser.BI8:98,1965
3)塩
田 憲 三,他:Lincomycinの
用 経 験,第2報
1967
内 科 領 域 に お け る使
。J.Antibiotics,ser.B24:277,
816
CHEMOTHERAPY
LABORATORY
AND
CLINICAL
STUDIES
JUNE 1969
OF CLINDAMYCIN
FUMIO MIKI, TOMOTSUGUHIGASHI, TAKASHI IWASAKI, MITSURU AKAO,
TATSUO OZAKI, HIROSHI SUGIYAMA& MEGURU HADA
Department of Internal Medicine, Osaka City University, Medical School
(Headed by: Prof. K. SHIOTA)
Summary
Laboratory and clinical studies of clindamycin were carried out with the following results:
1. The growth of approximately 66% of the Staphylococcusaureus strains isolated from pathological
specimens was inhibited at drug concentrations of 0.78 mcg/ml and less. Clindamycin was evaluated
4-8 times more potent in vitro than lincomycin against this organism. The former also proved leading the latter in the activity against gram-negative bacilli, though all strains tested were resistant to
clindamycin at the concentrations below 25 mcg/ml.
2. With a single oral dose of 150 mg, the blood level reached the peak of 1.8 mcg/ml on the
average at 0.5-1 hr., and almost cleared out at about 6 hr. The urinary recovery rate in 6 hours
was 12.7% on the average.
3. Clindamycin was orally administered to 12 patients with a respiratory infection. The clinical
response was excellent in 3 and good in 4. The rest had a gastrointestinal disturbance.