楽天が電子書籍配信会社を約500億円で買収―格付に響かず

NEWS RELEASE
2015年3月19日
楽天が米国の電子書籍配信会社を約500億円で買収―格付に響かず
楽天(証券コード:4755、発行体格付=BBB+)は 19 日、米国を中心に公共図書館や教育機関などに電
子書籍やオーディオコンテンツを提供する OverDrive の全株を 4.1 億ドル(約 500 億円)で取得すると
発表した。買収に必要な資金は手元資金と有利子負債で賄う。株式の譲り受けは 4 月を予定している。
OverDrive のサービスは、図書館等の利用者が電子書籍、オーディオブック、音楽、ビデオ等のコン
テンツを借りたい場合に、当該図書館等の貸出 ID を使って OverDrive から配信を受けるもの。OverDrive
は図書館等から手数料を受け取る。約 5000 の出版社、3 万を超える公共図書館や教育機関とのネットワ
ークを擁し、250 万以上のタイトルを提供する。取り扱いは増加傾向で業績は安定している。
楽天は世界中に電子書籍・雑誌を販売する Rakuten Kobo(本拠地はカナダ・トロント市)を子会社に
抱えている。Kobo と OverDrive の間でシナジーを発揮できれば、Kobo との販売促進、OverDrive のサー
ビス地域拡大、両社の開発力の強化といった効果を期待できることから、買収を決めたとしている。
楽天は、利益成長により資本の蓄積こそ進んでいるものの、投資も拡大しており、資本負債構成は改
善していない。のれんの合計額は今回の買収による増加額を含めると、自己資本(2014 年 12 月末で 4280
億円)に匹敵する水準になるとみられる。ただ、OverDrive は収益の安定性が高く、株式の減損リスク
は小さいと R&I はみている。
楽天グループの信用力評価に当たっては、投資のリスクや保有株式の減損リスクを一定程度見込む一
方で、潤沢な営業キャッシュフローが見込めることや利益をテコに資本の蓄積が進むことを織り込んで
いる。今回の OverDrive の買収は投資額が特段大きくないうえ、事業リスクも小さいとみられることを
踏まえ、格付アクションを取る必要はないと判断した。引き続き投資の動向を注視していく。
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