シュローダー 臨時レポート 2015年3⽉ ⽇本株式運⽤責任者に聞く 直近の⽇本株式市場の市況と今後の⾒通しについて ■ ⽇本株式市場の⾒通し ⽇本株式市場に対する⾒⽅は、2014年12⽉に⽰した2015年の市場⾒通しと⼤きく変わっ てはいません。確かに、⾜元の急速な株式市場の上昇により、バリュエーション⾯での割安感 は後退しています。また、短期的には、買われ過ぎ感と市場での⾼い変動性(ボラティリテ 前⽥正吾 取締役 ⽇本株式運⽤統括 ィ)がリスク要因になるかもしれません。しかしながら、⽇本経済の回復や円安、原油安を受 けて、⽇本企業が堅調に利益成⻑を続けるとみられ、加えてコーポレートガバナンス改善の 動きは⼤きなプラス要因になると⾒ています。また、国内投資家の⽇本株買いが継続する⾒ 込みです。世界的にも株式市場が上昇しており、PER(株価収益率)の拡⼤は⽇本固有ではありません。こうした観点か ら、バリュエーションで割安感がなくなってきたことを過度に悲観する必要はないかと思われます。 ■ 回復する⽇本経済 ⽇本経済の回復は着実に進んでいます。労働市場には引き続きひっ迫感があり、ベースアップに向けた議論も活発になるな ど、賃上げにも期待が持てます。継続的な賃上げは、実質ベースでの雇⽤者所得のプラス転換につながり、2015年の消費 を⽀えると⾒ています。さらには、円安による設備投資の国内回帰も⽬⽴ってきました。2012年後半から円安が進⾏しました が、輸出は伸び悩みました。その背景には、⽇本企業の海外進出が進んで現地⽣産が増えたこと、海外景気の弱含みや、 ⽇本製品の競争⼒の低下などが⾔われていますが、⼀つの要因は国内の⽣産⼒(キャパシティ)不⾜であり、⼀部の⼤⼿ 製造業では⽣産能⼒の拡張を⽬指す動きが出てきています。こうした設備投資の拡⼤も、⽇本経済をけん引するものと考 えています。 業績⾒通しとコーポレートガバナンス改善 ⽇本企業の業績⾒通しも良好です。2015年3⽉期の決算は12⽉までで⾒ても進捗状況は堅調であり、通期での増益が ⾒込まれます。来年度以降も、⽶国景気の堅調な伸びや国内では消費の回復や設備投資の増加などが業績を押し上げ ることに加えて、円安、原油安も⽇本企業の業績には全般的にプラス効果が強く働き、堅調な利益成⻑が期待されます。そ して、業績の伸びはコーポレートガバナンスの改善により株主リターンの向上につながります。2015年は、昨年の⽇本版スチュ ワードシップ・コード導⼊に続いて、企業側の⾏動規範となるコーポレートガバナンス・コードが導⼊され、⽇本企業のガバナン ス構造、投資家との対話、株主還元にとって画期的な年となる可能性があります。さらには議決権⾏使助⾔会社である、 ISS社による代表取締役選任におけるROE(⾃⼰資本利益率)基準の導⼊も影響⼒があると思われ、興味深い取り組 みです。⻑年、収益⼒の低さを問題視されていた⽇本企業が経営⽅針にROE⽔準を⼊れるケースも出てくるなど、収益性 を重視した経営には、⾮常に好感が持てます。結果として、余剰資⾦による⾃社株買いや配当増額なども株主リターンを⾼ めることとなり、⽇本市場の投資魅⼒度を⾼めると⾒込まれます。 こうした⽇本経済の回復と企業業績の堅調な伸び、そしてコーポレートガバナンスの改善による株主リターンの向上は、⽇本 独⾃のプラス要素として、今後の⽇本株式市場を下⽀えするものと思われます。 シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社 ⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第90号 加⼊協会: ⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会、⼀般社団法⼈投資信託協会 本資料はシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が作成したものです。本資料は投資に係る参考情報を提供することを⽬的とし、特定の有価証券や市場セクターの勧誘や 推奨を⽬的として作成したものではありません。また、当社が販売会社として直接説明するために作成したものではありません。当資料の⾒解は作成時点の当社の意⾒・⾒解を反映した ものであり、意⾒・⾒通しは市場環境や経済状況によって将来予告なく変更されることがあります。また、記載されている情報の正確性、完全性などについて保証するものではなく、それを 使⽤したことによる結果について何ら保証するものではありません。過去の実績は将来の投資成果を⽰唆・保証するものではありません。 1
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