ブラザー工業が英印刷機会社を買収

NEWS RELEASE
2015年3月12日
ブラザー工業が英印刷機会社を買収――財務負担重いが格付は変えず
ブラザー工業(証券コード:6448、発行体格付=A)は 11 日、産業用印刷機とそれに付随するシステ
ムの製造・販売を手掛ける英国の Domino Printing Sciences の全株式を取得し完全子会社化すると発表
した。株式取得総額は約 10.3 億ポンド(約 1890 億円)を見込んでおり、手元現金と金融機関からの借
り入れで賄う方針。買収の効力発生は当局の承認などを条件に 6 月下旬を予定している。
ブラザー工業は M&A(合併・買収)を活用し収益基盤を拡げてきた歴史を持つ。現在は事務機を柱に、
ミシンや工作機械、通信カラオケ・コンテンツ、工業用部品などに展開、広範かつ強い収益基盤を構築
している。2015 年度を最終年度とする中期経営計画でも、事業ポートフォリオの拡充、成長の加速に向
けて新規事業の獲得を掲げている。今回の買収はそうした経営戦略に沿ったものといえる。
Domino はペットボトルや食品の包装に賞味期限やロット番号を印字するコーディング・マーキング分
野で世界的に競争優位にある。消耗品や保守サービスから安定して稼げるのが強みになっている。2014
年 10 月期の売上高は 3 億 5000 万ポンド、営業利益は 5600 万ポンドで、売上高営業利益率は 16%と高
い。フリーキャッシュフローは黒字を確保している。実質無借金と財務バランスも問題ない。
買収の財務的な負担は軽くはなく、買収により債務とキャッシュフローとのバランスや資本負債構成
の悪化は避けられない。しかし、2014 年末でネットキャッシュが約 850 億円に達するなど、財務の余裕
度が高まっていたうえ、既存事業の収益力・キャッシュフロー創出力が強いことから、さほど遠くない
時期に A ゾーンとして問題のない財務基盤を取り戻せる可能性が高いと R&I はみている。
このため、この買収をもってネガティブな格付アクションを取る必要はないと判断した。
今回の買収には Domino の取締役会も賛同している。ブラザー工業は自社の事務機事業の持つ技術力を
生かして Domino の製品ラインアップ拡充を進める方針だ。競争力を向上させて三つ巴の業界から頭一つ
抜け出す存在にし、グループの新たな収益の柱にしていけるかに注目していく。経営の一体性を強めシ
ナジー創出が順調に進めば、グループの収益基盤に厚みが増し、資本負債構成の改善にも弾みがつこう。
主任格付アナリスト:石野田
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