訪問リハにおける服薬管理獲得の予測 式の臨床的有用性~地域生活支援にお ける作業療法士の役割~ 【結 果】 服薬管理獲得と予想(P≧0.5)されたのは 3 症例だ った.症例①は 80 歳代男性.脳梗塞により右片麻痺 を発症.妻と二人暮らし.歩行,身辺動作は自立.服 薬管理は妻介助.FIM112 点.MMSE30 点.症例② 相澤病院 訪問リハビリテーションセンター は 70 歳代女性.脳内出血にて両側に軽度の片麻痺を 安藤 道彦,佐々木 美和 認めた.夫と二人暮らし.歩行は自立.身辺動作も概 Key word:服薬管理 MMSE ADL 訪問リハ 【はじめに】 点.症例③は 90 歳代女性.頚部骨折にて歩行低下を 高齢者は認知機能障害や視力低下により服薬管理 能力が低下している者が多い.そのため服薬過誤のリ スクから服薬管理の把握は重要とされている.先行研 究では,ADL 能力,認知機能は高齢者の服薬管理能 力との関連が高く,FIM,MMSE の評価により服薬 管理の可否の予測が可能になると報告されている. 【目 的】 際に高齢者の服薬管理指導に活用することで,その臨 床的有用性を検証することを目的とした. 動作も概ね自立.服薬管理は本人が実施していたが, 飲み忘れは多かった.FIM112 点.MMSE22 点. 症例①~③に対して訪問リハで実施した環境調整, 連携業務の内容,その後の服薬状況を表に示す.全症 例で介入により服薬自己管理が獲得可能となった. 察】 3 症例ではあるが,服薬管理の獲得により,予測式 の臨床的有用性が示されたと考えられる.全症例の共 通事項として,服薬の一包化と服薬カレンダーの導入 象】 があげられる.一包化や服薬カレンダーによって,手 当センターの訪問リハ利用者で,服薬管理に介助を 要し,服薬管理自立を希望している者を対象とした. 服薬管理自立の定義は,その場に介助者がいなくても 正しい時間に適量を服薬できることとした. 【方 認めた.娘と二人暮らし.歩行は伝え歩き自立.身辺 【考 先行研究で報告された服薬管理獲得の予測式を,実 【対 ね自立.服薬管理は夫介助.FIM103 点.MMSE29 順の簡略化,服薬状況の視覚化が高齢者の心身機能に 対する負担を軽減し,服薬管理が獲得されたと考える. こうした介入を行うに当たって,主治医,薬剤師,ケ アマネージャー,家族との連携は重要であった.また 法】 対象者の FIM,MMSE を評価し,下記の服薬管理 の予測式 P(的中率 90%)に数値を代入した.P 値が 0.5 以上であれば服薬自己管理が可能と予測した. 1 P 1 + exp(-(-30.277 + 0.187 × FIM + 0.459 × MMSE)) 服薬管理獲得と予測された者に対して,他職種と連 携を図りながら,環境調整,服薬管理指導を実施し, 服薬管理獲得をはかった.研究への参加については, 予測式により服薬管理困難と予想されるケース(P< 0.5)においても,リハによって認知機能や ADL の改 善をはかることで,服薬管理能力の獲得につながるこ とが示唆された. 本研究によって服薬管理指導における作業療法士 の有用性が示されたと考える.今後の課題として,予 測式を使用した服薬管理指導の症例数を増やすこと で,地域生活支援における作業療法士の専門性を示し ていく必要があると考える. 紙面にて承諾を得ている. 表 3 症例の服薬自立の予測と介入後の変化 No 介入前の服薬方法 FIM MMSE P値 介入の結果 環境調整と連携 介入後の服薬方法 自立獲得 服薬カレンダー導入 服薬カレンダーへの準 備・服用は本人で可能 自立獲得 服薬カレンダー導入 主治医に一包化依頼 夫は週 1 回の服薬カレ ンダーへの準備.服薬 は本人で可能 自立獲得 服薬カレンダー導入 主治医に一包化依頼 準備,服用は本人で可 能.娘は確認のみ ① 妻が一包化された薬を 取り出し本人に渡す 119 30 1.00 ⇒自立可 ② 夫が数種類の錠剤を取 り出して本人に渡す 100 29 0.85 ⇒自立可 ③ 本人が薬袋から直接服 用.飲み忘れが多い 112 22 0.68 ⇒自立可 注)予測式P値:0<P<0.5 のとき ⇒ 服薬管理が介助,0.5≦P<1 のとき 服薬管理が自立
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