第 5 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会 in 広島 - 5th

 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会
第 5第
回日本リハビ
リテーション栄養研究会学術集会
LQ 名古屋
in 広島
プログラム・抄録集
プログラム・抄録集
テーマ
テーマ
リハビリテーション栄養と食支援~多職種で地域へ~
「食べたい」を支える
日 程:₂₀₁₅ 年 ₁₁ 月 ₂₈ 日(土)₁₀
開催日時~ ₁₇ 時 ₄₀ 分
年 月 日(土)~
会 場:県立広島大学 広島キャンパス(広島)
会場:ウインクあいち(愛知県産業労働センター)
(大ホール・小ホール①・小ホール②)
運営委員長:県立広島大学人間文化学部健康科学科 栢下 淳
当番世話人:坂元 隆一(静岡市立清水病院)
大 会 長:医療法人信愛会日比野病院リハビリテーション科 助金 淳
協賛:味の素ニュートリション株式会社
株式会社大塚製薬工場
株式会社クリニコ
ネスレ日本株式会社ネスレヘルスサイエンスカンパニー
( 音順)
1
大 会 長 挨 拶
第 5 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会に添えて
第 5 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会
大会長 助 金 淳
(医療法人信愛会日比野病院診療技術部リハビリテーション科主任 作業療法士)
謹啓
初夏の候、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。第 5 回日本リハビリテーション栄
養学術集会を 11 月 28 日㈯に広島で開催するにあたりご挨拶申し上げます。
第5回学術集会のテーマを「『食べたい』を支える」としました。人々の「生きること」を
ICF で評価し、「適切でしっかりした栄養管理を通して生きることを支える」を目指すリハ栄
養にとって、対象者の「食べたい」気持ちは、その積極的なパワーの源であり、まさに「生き
ることの根幹」をなすものであることを、現場にいるとひしひしと感じてきます。
だからこそ、この力が衰えてしまわないよう、私たちは支えることを職務として、対象者の
傍らに立ち、この「食べたい」を支えたい、これがこのテーマに託したメッセージです。
そこで、演題発表では、臨床現場で「食べたい」を支援する本研究会を代表する多職種のスタッ
フに指定演題としてそれぞれの立場で報告していただきます。一般演題では臨床経験 5 年未満
の皆さんと、5 年以上の皆さんのリハ栄養に関する自由応募とします。これらはすべてフロア
でのディスカッションを中心としたポスター発表にこだわって、「顔を突き合わせた議論を !!」
期待します。発表者のみならず、参加者の皆さんにも、しっかりと議論の輪に入っていただき、
ポスター発表の醍醐味を味わっていただけたらと思っています。その中から特に優秀な発表に
は 5 年未満の方には奨励賞を、ベテランには優秀賞を設けたいと思います。皆さん奮ってご応
募ください。
ワークショップは、「食べたい」を支援する実践体験として、NPO 法人口から食べる幸せを
守る会スタッフによるハンズオンセミナーを企画しました。
特別講演の講師には特別な思いでお願いをしました。特別講演①には、
「NPO 法人口から食
べる幸せを守る会」を立ち上げ、全国に「口から食べる」の実践の輪を広げておられる小山珠
美先生、特別講演②には日本静脈経腸栄養学会の理事長として、
“すべては対象者のために(All
for Patients!)”を掲げて世界の栄養療法を牽引し続けていらっしゃる東口髙志先生をお招きす
る事が出来ました。
また教育として、模型を通じて「飲み込む」メカニズムを解説する実践をされている広島大
学大学院医歯薬保健学口腔保健学教授 里田 隆博 先生をお招きし、意外と見ることのできてい
なかった「飲み込む」姿を分かりやすく解説していただくことにしました。
いま会員数 4,000 名を超す団体となった「日本リハビリテーション栄養研究会」ですが、基
本から実践、率直な意見交換を味わっていただける大会にしたいと思っています。
全国からの多数の参加をお待ちします。
謹 白 1.会場までの交通アクセス
■学会会場:県立広島大学
住所:〒 734-0003
広島県広島市南区宇品東1丁目1− 71
JR 広島駅から
【バスをご利用の場合】
JR 広島駅(南口)」→ JR 広島駅7番乗り場から広島バス「31 号(翠町)線(広島バ
ス「31 号(翠町)線」時刻表)」に乗車(約 20 分)→「県立広島大学前 ( 広島キャン
パス)」下車→徒歩 1 分
【市内電車をご利用の場合】
「JR 広島駅(南口)」→「5号線(広島港(宇品)行き)
(時刻表)」に乗車(約 20 分)
→「県病院前」下車→徒歩 7 分(県立広島病院の方へ道なりに進んでください。)
広島バスセンター(紙屋町)から
【市内電車をご利用の場合】
紙屋町西または紙屋町東」→「1号線(広島港(宇品)行き)(時刻表)」または「3
号線(広島港(宇品)行きまたは宇品二丁目行き)
(時刻表)」に乗車(約 20 分)→「県
病院前」下車→徒歩 7 分(県立広島病院の方へ道なりに進んでください。)
八丁堀から
【バスをご利用の場合】
「八丁堀」→広電バス「12 号線 ( 仁保沖町 (広電バス
)
12 号線時刻表)」に乗車(約 20 分)
→「県立広島大学前(広島キャンパス)」下車→徒歩 1 分
広島港(宇品)から 【市内電車をご利用の場合】
「広島港」→「1号線または5号線(広島駅行き)(時刻表)」または「3号線(広電
西広島(己斐)行き)
(時刻表)」に乗車(約 10 分)→「県病院前」下車→徒歩 7 分(県
立広島病院の方へ道なりに進んでください。)
車でお越しの方
「広島東I.C」→(広島高速経由)→「宇品I.C」で下車→国道約3分
3
■懇親会会場:広島アンデルセン 2階 ※当日も受付可能
住所:〒 730-0035 広島市中区本通 7-1 TEL.082-247-2403
■学会会場からの移動手段
【市内電車をご利用の場合】
・路面電車の1番の広島駅行き、または3番の西広島行き利用にて所要時間 20 分本通
り電停下車 徒歩2分
・学会会場から(県立大学)の最寄りの電停(県病院前)は会場より徒歩 5 分
・料金:160 円
【タクシーをご利用の場合】
15 分 料金 1,600 円程度
4
2.参加者へのお知らせとお願い
■学術集会
【受 付 開 始】9:00 ~(エントランスホール)
【開始~終了時間】9:55 ~ 17:40
【学 会 会 場】県立広島大学 広島キャンパス
【学 会 参 加 費】事前申込:(会員)5,000 円(非会員)5,000 円
当日申込:(会員・非会員)7,000 円
学生申込:(会員・非会員)2,000 円(大学院生を除く)
*当日、受付にて写真付学生証をご提示願います。
◎お釣りのないよう、ご協力をお願い致します。
◎事前申込の方で指定の振り込み期日を過ぎた場合は、当日料金となりますのでご注意下
さい。
■キャンセルについて
平成 27 年 11 月 13 日以降のキャンセルについての返金は致しかねます。何卒、ご理解とご
容赦ください。
■懇親会
【受 付 開 始】18:00 ~
【開始~終了時間】18:30 ~ 20:30(予定)
【懇 親 会 会 場】広島アンデルセン 2階
【参 加 費】5,000 円
*当日、受付にて参加費 5,000 円を頂きます。
■軽食について
事前参加の方を優先で、軽食をお配りします。
当日参加の方は個数に限りがありますが先着順で配布させて頂きます。
■クローク
利用可能ですが狭いため、できるだけ手荷物はご自身での管理をお願いいたします。
クロークは 17:40 に撤去致します。時間厳守のご協力をお願い致します。混雑が予想され
ますので、お帰りの際は余裕をもってお越し下さい。
貴重品並びにノート PC のお預かりはできません。各自にて管理願います。
5
3.座長へのご案内・お願い
⑴ 参加受付をお済ませの上、座長受付へお越し下さい。
⑵ 座長受付は、エントランスホール参加受付の向かい側に設置致します。
⑶ ご担当セッションの開始時刻 30 分前までに座長受付を済ませてください。特別講演の
座長はセッション開始時刻の 10 分前までに担当セッション会場にお越し下さい。
⑷ 不測の事態にて、座長の職務が遂行不可能であると判断された場合は、速やかに大会本
部または座長受付までご連絡下さい。
4. コーディネーターへのご案内・お願い
⑴ 参加受付をお済ませの上、コーディネーター受付へお越し下さい。
⑵ コーディネーター受付は、エントランスホール参加受付の向かい側に設置致します。
⑶ ご担当セッションの開始 20 分前までにコーディネーター受付を済ませてください。コー
ディネーターは受付にてコーディネーターリボンをお受け取り下さい。コーディネー
ターリボンは見えるところに必ず着用してください。
⑷ ポスター発表のコーディネーターは、開始時刻 10 分前にご担当セッションのポスター
前にて待機をお願いします。
⑸ 今回のポスター発表は、個別の発表時間はありません。事前に 10 分程度の閲覧時間を
設けたのちにディスカッションを調整してください。通常のポスター発表と異なります
ので、討議が活発になりますよう、プログラムの進行には、十分ご配慮いただきますよ
うお願いいたします。
⑹ 不測の事態にて、座長の職務が遂行不可能であると判断された場合は、速やかに大会本
部または座長受付までご連絡下さい。
6
5.演者へのご案内・お願い
≪ポスター発表≫
⑴ ポスター発表はスタンディング・ディスカッション形式で行います。各セッションには
コーディネーターがつき、指定時間に会場にてディスカッションしていただきます。
⑵ 1セッションの時間は 70 分ですが、発表時間の 10 分前には各自のポスター前に集合し
てください(在席責任時間は1時間)。
⑶ 提示したポスターを用いて、コーディネーターの指示のもと、周囲の迷惑にならない範
囲で、一斉に個別に自由な形式でプレゼンテーションと質疑応答など自由討議を行って
ください。
⑷ 指定演題では、最優秀賞(一題)は閉会式場で口述発表をお願いします。口述発表用の
スライドの準備をお願いします。
⑸ 一般演題・OT の部屋演題で審査対象を希望された方は、大講義室での閉会式に必ずお
越しください。
7
【ポスター発表について】
ポスターの掲示・撤去方法
① ポスターの貼り付けは、11 月 28 日(土)9:55 ~ 11:00 に行ってください
② ポスターパネルの大きさは横 900mm ×縦 1800mm です。
③ 演題名・所属・発表者名を横 700mm ×縦 200mm で作成してください。
④ 本文を横 900mm ×縦 1600mm 以内で作成してください。
⑤ ポスターパネル左上角に演題番号を貼付しておりますので、
指定された演題番号のパネルにポスターを貼付してください。
⑥ 図を参照して、パネルの規格にしたがって演題名、所属名、発表者名、発表内容のポ
スターをご用意ください。なお、文字サイズ、フォントの種類、図表、写真等の枚数
特に定めませんが、2~3m離れた場所からも視認できることを考慮し、必ず指定し
たサイズ内に収まるように作成してください。
⑦ ポスターはポスターセッション終了時に各自撤去してください。撤去されなかったも
のについては事務局が処分します。
掲 示:2015 年 11 月 28 日 9:55 ~ 11:00
発 表:11:10 ~ 11:20(O-01)
13:40 ~ 14:30(O-03 ~ O-07)
14:30 ~ 15:40(S-01 ~ S-10, P-01 ~ P-73)
撤 去:2015 年 11 月 28 日発表後~
8
9
ミニレクチャー会場
・2346、
2343、
2333、 2336、
2321
OT の部屋
・中講義室(2317 号室)
【3 階】
サテライト会場1(中継)
・中会議室
(2313 号室)
企業展示、休憩、クローク
・食堂
企業展示
・コミュニティプラザ
ポスター会場
ハンズオンセミナー会場
・大競技室
メイン会場
・大講義室
【1 階】
総合受付
・エントランスホール
西門
駐輪場
教育研究棟2
2棟3階
ルーフガーデン入口
教育研究棟 2
駐輪場
教育研究棟1
■立看板
平成24年4月1日現在
1棟1階
福利厚生室前
1棟6階
エレベーターホール
■誘導板←
【2 階】
サテライト会場2
(中継)
・講義室(1239 号室)
教育研究棟 1
図書館棟2階
事務室入口
会場ゾーニング 周辺図
学習情報センター
正門 ■立看板
第 5 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会
駐車場
2棟1階
大競技室 入口
広島キャンパス教育研究棟/周辺図
AED設置場所(広島キャンパス)
-1-
6. 各会場レイアウト・工程表
10
階
段
階
段
倉庫
2164
2161
大競技室
AED
2173
用具倉庫
2172 男子更衣室
2171
女子更衣室
クラブ室ホール
階段
2247
空調
2143
大講義室
2144 倉庫
企業展示
休憩スペース
2117 食堂
出入口
コミュニティプラザ
出入口
教育研究棟2
(2階)
企業展示
2163 控室
売店
2133 カフェシオン
光庭
2146 ラウンジ
2147
体育準備室
教育研究棟2
(1階)
2177 ホワイエ
2162 ステージ
階段
2176
小競技室
スタッフ・
学生控室
2115 厨房
階段
側廊
階段
クローク
EV
エントランスホール
階段
2141 倉庫
階段
2113
電気室
総合受付
EV
出入口
メイン会場(大講義室)
10:00 ~特別講演 1
11:10 ~特別講演 2
12:50 ~会長講演
11:10 ~ハンズオンセミナー
県立広島大学
_ 広島キャンパス教育研究棟
13:40 ~総会
15:50 ~特別講演 3
ハンズオンセミナー会場
ポスター会場
(大競技室)
広島キャンパス教育研究棟2(1 階)
側廊
側廊
側廊
D階段
C階段
C階段
1275
講義室
1278
1146
総合教育
センター
屋外へ
屋外へ
1175
講義室
講義室
1147
地域連携センター
1179
講義室
G階段
F階段
側廊
学生ロッカー室
1221
1269
学生サロン
1273
F階段
E
階
段
1268
センター
学術情報
機械室
A
階
段
給湯室
1265
役員会議室
EV
給湯室
1267
1135
数学課
B 階段
EV
AC機械室
倉 A
庫 階
段
1166
1165
入試
メール室
担当
応接室
1167
多目的室
教育研究棟1
(2階)
1139
ラウンジ
屋外へ
パティオ
回廊
前室
講義室
1143
国際交流センター
側廊
側廊
1173
実習室
1117
キャリアセンター
1114
キャリアセンター
資料室
1111
防災センター
1161
ゴミ
集積庫
東前室
1162
倉庫
1211 理事室
コンピューター機器室
1261
1134 1133
1132 1131
福利 非常勤講師
保健室
厚生室 控室
AED
1164
倉庫
1163
更衣室
喫煙
場所
N
-2-
会場ゾーニング 教育研究棟 1 階
教育研究棟1
(1階)
第 5 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会
2133 カフェシオン
光庭
2146 ラウンジ
2147
体育準備室
コミュニティプラザ
大講義室
階段
11
売店
2117 食堂
階段
2225
2224
岡田
2223
2236 中講義室
光庭
2246 学生サロン
2247
空調
西川
2222
渡辺
2221
2336
小講義室
2333
小講義室
ルーフガーデン
2343
小講義室
AED
EV
階段
階段
2214
2213
事務室 事務室
EV
側廊
EV
1247
資料室
資料室
1378
D階段
1377
情報
システム
実験
準備室
講義室
演習室
C階段
1379
D階段
C階段
1380
講義室
1249
側廊
G階段
側廊
側廊
講義室
1243
G階段
F階段
講義室
1273
1143
国際交流センター
側廊
1373
情報システム実験室
講義室
1245
1275
講義室
1278
講義室
1147
地域連携センター
1146
総合教育
センター
屋外へ
1269
1227
経営企画室
EV
給湯室
1268
E
センター
学術情報
1371
講義室
屋根
屋根
1369
東前室
1321
経営情報システム
演習室2
1326
1325 教員印刷室
1324 学生印刷室
AED
B 階段
EV
機械室
A
1366
EV
給湯室
演習室
1317
1316 演習室
情報処理演習室
1311
1361
情報処理演習室
1231
学長室
1230 倉庫
1218 理事室
1217 理事室
1215 会議室
1212 会議室
1234
EV
給湯室
1211 理事室
総務課・財務課
B 階段
EV
機械室
A
1261
コンピューター機器室
1265
役員会議室
1134 1133
1132 1131
福利 非常勤講師
保健室
厚生室 控室
1117
キャリアセンター
1267
1367
情報処理演習室
経営情報システム
演習室1
講義室
1114
キャリアセンター
資料室
1111
防災センター
応接室
1135
数学課
B 階段
サテライト会場2(107 席)
※大講義室のプログラムに準ずる
教育研究棟1
(3階)
講義室
1239
物品庫
1228
学生ロッカー室
1221
学生サロン
EV
AC機械室
A
倉庫
喫煙
場所
会場ゾーニング 教育研究棟 2 階
E
教育研究棟1
(2階)
1139
ラウンジ
屋外へ
パティオ
回廊
階段
2346
小講義室
2215
階段
階段
演習室
2351
マルチメディアスタジオ 避難器具
ラウンジ
2352
マルチメディアラボ
2217
側廊
階段
2115 厨房
2113
電気室
側廊
D階段
側廊
2357
小会議室
2218
EV
F階段
階段
階段
現代GP
展示
資料室 推進室
2219
2220
ギャラリー
側廊
側廊
教育研究棟2
(3階)
2263
放送室
倉庫
階段
クラブ室ホール
階段
教育研究棟2
(2階)
2163 控室
屋外へ
階段
階段
2162 ステージ
階段
エントランスホール
EV
C階段
第 5 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会
階段
側廊
エントランスホール
階段
2264
倉庫
2164
広島キャンパス教育研究棟1
(2 階)
2177 ホワイエ
階段
2161
大競技室
AED
倉庫
バルコニー
12
2246 学生サロン
2247
空調
屋根
味の素ニュートリション
キャットウォーク
アイドゥ
イーエヌ大塚製薬
大塚製薬工場
階段
倉庫
岡田
2223
西川
2222
渡辺
2221
階段
2333
小講義室
ルーフガーデン
2343
小講義室
階段
屋根
2455
中講義室
2217
EV
EV
学生ホール
2451
中講義室
避難器具
EV
2214
階段
階段
2213
EV
側廊
1249
1350
研究室
兼
準備室
資料室
資料室
1247
1378
講義室
1245
講義室
※大講義室のプログラムに準ずる
側廊
講義室
1243
G階段
実習食堂
1343
1373
情報システム実験室
講義室
1345
給食経営管理実習室
D階段
1377
情報
システム
実験
準備室
講義室
演習室
C階段
1379
1380
講義室
D階段
サテライト会場1(116 席)
EV
ティーアンドケー
事務室 事務室
2313
中講義室
階段
ルーフガーデン
OT の部屋
2317
中講義室
ラウンジ
AED
階段
演習室
2215
階段
階段
C階段
講義室
講義室
1239
物品庫
1228
側
廊
経営企画室
1227
学生ロッカー室
1221
学生サロン
1371
1342
実習
準備室
講義室
E
階
段
階
段
役員会議室
経営情報システム
演習室2
1326
1325 教員印刷室
1324 学生印刷室
経営情報システム
演習室1
1321
総務課・財務課
1234
B 階段
EV
機械室
1366
EV
給湯室
講義室
EV
給湯室
演習室
1335
B 階段
EV
機械室
A
階
段
1367
情報処理演習室
1337
調理科学実験・調理実習室
屋根
屋根
1369
講義室
応接室
コンピューター機器室
1333
講義室
1318 演習室
1317
1316 演習室
1331
講義室
情報処理演習室
1311
1361
情報処理演習室
学長室
1231
1230 倉庫
1218 理事室
1217 理事室
1215 会議室
1212 会議室
会場ゾーニング 教育研究棟 3
階
A
1211 理事室
センター
学術情報
教育研究棟1
(3階)
側
廊
第 5 回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会
側廊
F階段
側廊
側廊
2351
マルチメディアスタジオ 避難器具
2218
ラウンジ
2352
マルチメディアラボ
2321
中講義室
2357
小会議室
教育研究棟2
(4階)
ファンルーム
2336
小講義室
2346
小講義室
階段
現代GP
展示
資料室 推進室
ジェイ・エム・エス
階段
2224
2219
2220
ギャラリー
教育研究棟2
(3階)
2263
放送室
2264
2225
2236 中講義室
光庭
広島キャンパス教育研究棟2(3 階)
クラブ室ホール
階段
ªyµ×Š
šµ‹
OT ^͉Ɛ
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Ū ̖ ˈ ƀ
µ¶¦ŠŽ
À ̖ ˈ ƀ
(2117)
(2143)
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(2317)
Ş
2 ijȩ 1 ͧ
‡’°y”,
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Š
̖ˈƀ(1239)
2 ijȩ 3 ͧ
Ū ʦ ǚ ƀ
(2161)
9:00Κ
9:00Κ
9:00Κ
9:00Κ
ĪēĮÑ
Öǔ̎̕
ʿĶĮÑ
ģ̣Õȭ
9:55Κ
9:55Κ
²·©¶
ģ̣Õȭ
9:55Κ
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11:10Κ
11:10
11:10Κ
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12:30
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Κ
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12:50Κ
12:50Κ
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ģ̣Õȭ
13:40Κ
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13:40
Κ
15:40
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15
指定演題
S-01 「食べたい」を支える京都の多施設、多職種、異業種連携
荒 金 英 樹(医師) 愛生会山科病院、京滋摂食嚥下を考える会
S-02 サルコペニアを呈した高齢者に対するベルト電極式骨格筋電気刺激の効果と
今後の栄養療法の可能性
黄 啓 徳(理学療法士) 京都大学大学院人間・環境学研究科 応用生理学研究室
S-03 脊椎圧迫骨折におけるエネルギー摂取量と歩行能力との関連
高 橋 浩 平(理学療法士) 田村外科病院
S-04 「食べる」を支える ―摂食嚥下が困難であった急性期脳卒中患者への対応―
為 季 周 平(言語聴覚士)
姫路獨協大学 医療保健学部 社会医療法人 緑壮会 金田病院
S-05 慢性閉塞性肺疾患患者の嚥下障害に対する検討
塚 越 正 章(医師) 公立藤岡総合病院
S-06 口腔ケアへのアプローチ -薬剤師として院内製剤作成から-
中 村 直 人(薬剤師) 公立陶生病院
S-07 片麻痺を呈する回復期脳卒中女性患者の健側下腿周囲長は ADL 利得と関連する
西 岡 心 大(管理栄養士) 一般社団法人長崎リハビリテーション病院 教育研修部/栄養管理室
S-08 腐食性食道炎の一例に対するリハビリテーション栄養介入の報告
吉 村 由 梨(管理栄養士) 医療法人社団刀圭会協立病院
S-09 回復期リハビリテーションにおけるサルコペニアと臨床関連因子
吉 村 芳 弘(医師) 熊本リハビリテーション病院
S-10 回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管障害患者の
インスリン抵抗性とアウトカム
吉 田 貞 夫(医師) 沖縄メディカル病院 あがりはまクリニック・金城大学 客員教授
16
OT の部屋
「OT が取り組むリハ栄養」
セッション代表 富山県高志リハビリテーション病院 総合リハビリテーション療法部 作業療法科 作業療法士・NST 専門療法士 田 中 舞
「OT が取り組むリハ栄養」は、リハ栄養研究会に所属している作業療法士が集まって出来た
グループ「リハ栄養 OT の部屋」が企画したセッションです。
地域包括ケアシステムが構築されつつある現在、リハ栄養の考え方も病院・施設に限らず、地
域・在宅分野へも浸透してきています。作業療法士は、人の暮らしを支える専門職であり、その
業務や対象疾患は多岐に渡ります。作業療法士がその広い専門性をリハ栄養の分野において活か
す事で、対象者の暮らしは一層大きく広がると私達は考えています。
今回のセッションの 3 本柱は、①ポスター発表、② OT が考えるシーティング、③自助具・福
祉用具の紹介 としました。ポスター発表では、それぞれが作業療法士としての視点で取り組ん
だ、リハ栄養の実践報告をさせていただきます。また、リハ栄養の実践において主に作業療法士
が中心に関わるシーティングと自助具・福祉用具の選定に関して、他職種にはない視点や工夫に
ついてお話ができればと思っています。
当日は、皆さんと良いディスカッションが出来ればと思っておりますので、気楽に立ち寄ってい
ただけると幸いです。また、このセッションを通して、
「作業療法士ってこんな事が出来るんだ!」、
「明日から作業療法士に声をかけてみよう!」と少しでも思っていただけると嬉しく思います。
※抄録集にありますアンケート用紙を印刷し,記入にご協力ください。
記入した用紙は,会場に設置したアンケート回収箱にお入れください。
アンケート URL: http://bit.ly/1ON3kKk
右の QR コードより携帯電話からもアンケートにお答えいただけます。
17
アンケート
本日は「OT が取り組むリハ栄養」の会場に来ていただき、ありがとうございました。
これからのリハ栄養の発展や、作業療法士(以下;OT)が担う役割について考えていくための参考とさせ
ていただきたいので、アンケートにご協力をお願いします。
●あなたの職種は何ですか
医師
・
臨床検査技師
歯科医師
・
PT
・看護師
・
OT
・
管理栄養士/栄養士
ST
・
・
・
薬剤師
歯科衛生士
・その他(
)
●福祉用具の紹介について
良かった
・
ふつう
・
悪い
良かった
・
ふつう
・
悪い
良かった
・
ふつう
・
悪い
●ポジショニングの紹介について
●ポスター発表について
●あなたの職場では、リハ栄養あるいは NST に OT が携わっていますか?
はい
・
いいえ
●「はい」と答えた方に質問です。
あなたの職場では、リハ栄養あるいは NST のどのような場面や役割で、OT が業務を行っていますか。
●リハ栄養の実践において、あなたが作業療法士にもっと協力してもらいたい!と思う事は、どのよ
うな事ですか?また、作業療法士の方においては、どのような事を働きかけ、どのような事に悩んでい
ますか?具体的に教えていただけると幸いです。
ご協力ありがとうございました。
リハビリテーション栄養研究会
18
OT の部屋メンバー一同
OT の部屋
O-01 作業療法士が介入する食支援の紹介 ~ ICF から考える~
齋 藤 嘉 子(作業療法士) 京都民医連第二中央病院
O-02 京都の伝統産業の技法を込めた、意匠性の高い介護食器の開発
~高齢者の QOL を向上する摂食嚥下の支援~
齋 藤 嘉 子(作業療法士) 京都民医連第二中央病院
O-03 NST 開設の中心メンバーとしての OT の役割と取り組み
山 根 一 恭(作業療法士) 医療法人 愛幸会 天仁病院
O-04 リハビリテーション栄養ケアマネジメントの実践:症例報告
田 淵 圭 一(作業療法士) 医療法人 平病院
O-05 感情面や意欲関心に着目した介入が食事摂取量・ADL 向上に繋がった一例
~意思表出・発動性が低下した認知症患者を通して~
大 野 泰 輔(作業療法士) 京都民医連第二中央病院
O-06 中途全盲の独居高齢者が多職種連携による“食”の
マネジメントで在宅復帰に至った一例
中 島 可菜子(作業療法士) 医療法人相生会 福岡みらい病院
O-07 復職を目標にリハ栄養管理に取り組んだ一症例
田 中 舞(作業療法士) 富山県高志リハビリテーション病院
19
一般演題 ポスター発表
・理学療法
P-01 高度栄養障害をきたした COPD 患者に対し短期リハ栄養入院が効果的であった一症例
石川淳(理学療法士) KKR 高松病院 P-02 大腿骨近位部骨折術後急性期における栄養状態と歩行能力再獲得率との関係
~簡易栄養状態評価指標 MNA-SF を用いて~
臼本真也(理学療法士) 呉共済病院
P-03 無治療糖尿病に合併した重症感染症 2 例に対し積極的な栄養負荷を含めたリハビリテー
ション介入の経験
小川太郎(医師) 時計台記念病院リハビリテーション科
P-04 当院回復期病棟入院患者における GNRI 値に注目した身体所見、FIM 得点の関係性に
ついて
桂川智宏(理学療法士) 医療法人社団 誠道会 各務原リハビリテーション病院
P-05 脳出血発症後に急性心不全・呼吸不全を合併した 1 症例の経口摂食早期開始に向けた
離床介入について
上村哲也(理学療法士) 社会医療法人財団新和会八千代病院
P-06 脂肪乳剤の末梢静脈栄養が体重維持に有効であった 1 症例
神野麻耶子(理学療法士) 国立高知病院
P-07 栄養補給と運動療法の併用が地域在住高齢者の身体機能および能力に与える効果に関
する検討
田中真希(理学療法士) 聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部
P-08 当院の大腿骨近位部骨折患者において、エネルギー充足率は ADL、栄養状態、生活意
欲に関連性があるか
中田有香(理学療法士) 医療法人 五星会 菊名記念病院
20
・摂食嚥下機能障害
P-11 「食べたい」気持ちに寄り添う看護
大村美弥子(看護師) 医療法人大林会 福山こころの病院
P-12 気管切開術後経鼻栄養管理の患者に対し、摂食嚥下チームが介入することにより 3 食
経口摂取が可能になった 1 症例
垣谷知佐(管理栄養士) 西記念ポートアイランドリハビリテーション病院
P-13 急性期病院における栄養 摂食嚥下リハビリテーションの取り組み
~病棟看護師との連携から~
高橋雄介(言語聴覚士) 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター
P-14 多職種連携で目標を共有し胃ろうから経口摂取へ移行した在宅栄養支援の一症例
時岡奈穂子(管理栄養士) はみんぐ南河内
P-15 患者に寄り添い共に食への関心を追求し続ける看護
德永季美枝(看護師) 医療法人大林会 福山こころの病院
P-16 摂食・嚥下・口腔ケア部会の部会活動報告
―部会との架橋となる認定ナース育成と今後の課題―
藤井博美(看護師) 地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立広島市民病院
P-17 先天性疾患のため摂食機能が低下していた児に対する摂食機能訓練
尾門愛子(看護師) 広島市立広島市民病院 摂食嚥下口腔ケア部会
P-18 当院における胃瘻造設後のリハビリテーション・嚥下訓練の効果
WONG TOH YOON(医師)
広島共立病院
P-19 嚥下チームの介入により経口摂取が可能となった一例
大谷紀子(言語聴覚士) 医療法人創和会 重井医学研究所附属病院
P-20 当院 NST が介入した嚥下機能障害症例の検討
礒崎絵吏(管理栄養士) 広島市立広島市民病院 栄養室
21
・口腔ケア
P-21 入院時の口腔機能障害はリハビリテーションの予後予測因子である
白石愛(歯科衛生士) 熊本リハビリテーション病院
P-22 神経難病患者への多職種介入の必要性を感じた 1 例
田口誠子(管理栄養士) 脳神経センター大田記念病院
P-23 口腔からのアプローチによるフレイル・サルコペニア予防
森信惇平(歯科医師) 呉共済病院
・言語療法
P-31 摂食嚥下機能改善に至った超高齢下肢骨折患者
新岡ひかり(言語聴覚士) 公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院
・栄養療法
P-41 回復期病院での NST 発足における栄養状態と FIM に与える影響について
長内祥太郎(理学療法士) みどり野リハビリテーション病院
P-42 回復期リハ病棟退院後の栄養状態変化によりセラピストが栄養介入した症例
岡道生(作業療法士) 医療法人 松徳会 花の丘病院
P-43 褥瘡と栄養障害を併発した脊椎損傷に対するリハビリテーション栄養アプローチ
鈴木達郎(管理栄養士) 産業医科大学病院
P-44 低強度及び中等強度のレジスタンス運動介入中の総たんぱく質摂取量の違いが地域在
住高齢女性の身体組成や身体機能へ与える影響
森博康(管理栄養士) 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター
P-45 経管投与用の高速簡易懸濁・使い捨て注入バッグの開発
盛本 修司(その他) 株式会社モリモト医薬
P-46 高齢脳卒中患者の機能回復と自己選択された栄養ケアとの関連性
熊谷直子(管理栄養士) 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
22
・栄養評価
P-51 慢性閉塞性肺疾患患者における栄養充足率の現状
尾川隆(理学療法士) 公立玉名中央病院
P-52 慢性心不全患者のフレイルは栄養状態に関連し、独立した予後不良因子である
〜簡便な評価法のフレイルスコアを外来診療で用いる〜
鈴木規雄(医師) 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
P-53 回復期リハビリテーション病棟入院中の大腿骨頸部骨折患者の栄養状態(GNRI)の推
移 ~性差と年齢による影響の検討〜
中臺久恵(理学療法士) 西広島リハビリテーション病院
P-54 入院時 MNA®-SF と FIM 運動項目得点別の退院時 FIM 運動項目の予測
牧野博幸(理学療法士) 医療法人社団健育会 竹川病院
P-55 回 復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管疾患患者の機能的自立度評価表
(FIM)利得と栄養状態の関連についての検討
三田和広(理学療法士) 山口リハビリテーション病院
・その他
P-61 当施設の介護職のリハ栄養に関する意識調査の報告
~栄養ケアは介護の専門性を変える!~
秋葉昌則(介護福祉士) 茨城保健生活協同組合 城南病院
P-62 肺切除術当日における超早期離床と経口摂取開始
~多職種チーム体制による取り組み~
有長織恵(看護師) 独立行政法人国立病院機構呉医療センター
P-63 当院のリハビリスタッフと管理栄養士との意識調査
射延菜穂美(理学療法士) 宝塚市立病院
P-64 栄養評価を拒否する低栄養患者の食思不振の原因を探る
~食べる喜びをもう一度 管理栄養士との連携の重要性~
上野千沙(理学療法士) 市立三次中央病院
23
P-65 当院リハビリテーション栄養プロジェクトの現状の問題点と展望
岡道生(作業療法士) 医療法人松徳会花の丘病院
P-66 認知症を伴うサルコぺニア性嚥下障害患者の 1 症例
清水喜代子(看護師) 取手北相馬保健医療センター医師会病院
P-67 食べたい思いを支えるための胃瘻とリハビリテーション
中尾加代子(看護師) 広島医療生活協同組合広島共立病院
P-68 回復期リハビリテーション病棟における経管栄養患者の現状
- 3 年間の経過-
中尾加代子(看護師) 広島医療生活協同組合広島共立病院
P-69 ミキサー食注入による下痢改善と経口摂取への支援
中尾加代子(看護師) 広島医療生活協同組合広島共立病院
P-70 新しい錠剤包装 ESOP(Easy Seal Open Package)の有用性について:第 2 報
三原千惠(医師) 日比野病院 NST
P-71 BIS モニタを用いた意識障害患者の覚醒度評価
三原千惠(医師) 日比野病院
P-72 新しい錠剤包装 ESOPTM(Easy Seal Open Package)の有用性について:第 1 報
盛本修司(その他) 株式会社モリモト医薬
P-73 施設職員の摂食嚥下及び栄養評価への関わりについて
~当院近隣施設へのアンケート調査から~
山本美和(言語聴覚士) 旭労災病院
P-74 TPN施行患者の血糖管理に関する調査
阿登大次郎(薬剤師) 西日本旅客鉄道株式会社 広島鉄道病院
24
分類:指定演題 S − 01
演者氏名
荒 金 英 樹
所 属
愛生会山科病院、京滋摂食嚥下を考える会
講演題名
共同演者
職種:医師
「食べたい」を支える京都の多施設、多職種、異業種連携
松本 史織、齋藤 嘉子、辻 真理、豊田 義貞、塩濱 奈保子、下條 美佳、
山根 由紀子
【抄録】
京都府、滋賀県では施設の枠を越え、地域での食支援の輪を広げるため京滋摂食嚥下を考える会
(以下、考える会)が 2010 年に発足した。2015 年現在、京都府で 82 名、滋賀県で 38 名の世話
人で構成され、職種は管理栄養士、医師、看護師の順に歯科医医師、歯科衛生士、言語聴覚士、
理学療法士、作業療法士、調理師、ケアマネジャー、社会福祉士等、多岐に渡っている。
京都では 2010 年に考える会が作成した摂食嚥下連絡票に嚥下調整食の共通基準を京都府基準と
して、医師会を中心に関連職能団体の承認をいただき、食を支える多職種連携の基盤が整備され
た。この基盤を背景に各団体の研修プログラムへ連絡票と共通基準が導入され、府内各地で研修
会、調理実習が開催、府民向けの広報活動へも広がってきている。2015 年からは京都府医師会
内に府民向けの食支援窓口の設置と相互情報交換が少なかった栄養士会、言語聴覚士会、薬剤師
会、作業療法士会、歯科医師会、歯科衛生士会等に、食支援を目的とした職能団体間の相互連絡
を促す体制作りも始まった。
一方、考える会では食の本来持つ力を地域で醸成する目的に、京都に本部を置く日本料理アカデ
ミーや京都府生菓子協同組合、老舗茶舗福寿園などの伝統食産業の団体に、清水焼団地協同組合、
遊部工芸株式会社、京都市産業技術研究所などの食器産業も加わり、医療介護の枠を越えた異業
種連携がすすめられ、高齢者の食を支える新たな食文化として全国への発信が始まっている。
9 月 12 日に開催されたイベントでは、在宅で介護されている 4 家族を招待し要介護者へは京都
の料亭でつくられた嚥下調整食の松花堂弁当を高い意匠性と機能性を込めた介護食器で提供し
た。外食を諦めていたご本人、ご家族の歓喜する姿は企画に関わったすべてのメンバーに、改め
て食をささえる意味を考える契機となった。今後はこの輪をさらに広げ、より多くの人々に「食
べたい」を支える輪を広げる活動をしていく予定である。
25
分類:指定演題 S − 02
演者氏名
黄 啓 徳
職種:理学療法士
所 属
京都大学大学院人間・環境学研究科 応用生理学研究室
講演題名
サルコペニアを呈した高齢者に対するベルト電極式骨格筋電気刺激の効果と
今後の栄養療法の可能性
共同演者
森谷 敏夫
【目的】
高齢者が ADL や QOL を保ち続けるにはサルコペニアの予防・改善が不可欠である。当研
究室では虚弱高齢者に対する運動療法として、ベルト式電極式骨格筋電気刺激 (belt electrode
skeletal muscle electrical stimulation 以下 B-SES) がサルコペニア対策として有用と考えている。
本研究では通所リハビリテーション(以下デイケア)を利用しているサルコペニアを呈した高齢
者に対して継続的に B-SES を行い、身体機能に及ぼす影響を評価し今後のサルコペニア対策に
なりえるかを検証する。
【方法】
対象者はデイケア施設の利用者のうち 10m 以上歩行が可能な 18 名 (mean ± SE, age:76.3 ±
1.9yr, 介護度 :1.9 ± 0.2) とし、B-SES 群 10 名とコントロール群 8 名 ( 以下 CON 群 ) に振り分けた。
B-SES 群は 1 回 20 分を週 3 回の B-SES を下肢 4 個所 ( 大腿四頭筋、ハムストリングス、前脛骨筋、
下腿三頭筋 ) に対して 8 週間介入した。8 週間の介入期間前後に、10m 歩行テスト、握力、関節
可動域、開眼片脚立位、膝伸展筋力チェアスタンド・ファンクショナルリーチ・ステッピングテ
ストの運動テストを行い、身体機能を評価した。
【結果】
B-SES 群では 10m 歩行テスト、握力、関節可動域、チェアスタンド・ステッピングテストにつ
いて介入後、有意に向上した (p < 0.05)。それ以外の項目に関しては有意な変化は見られなかっ
た。一方 CON 群はすべての項目について有意な変化は見られなかった。
【考察及び結論】
本研究ではサルコペニアの診断基準にもなっている歩行速度や握力などが有意に改善された。能
動的な運動療法が困難な高齢者に対しての B-SES は、高齢者のサルコペニア予防や改善の可能
性が示唆されたが、今後の課題として B-SES に加えて栄養介入、特にサルコペニアに有用とさ
れている BCAA やビタミン D を摂取することでより一層サルコペニア改善につながるかを検証
する必要があると考える。
26
分類:指定演題 S − 03
演者氏名
高 橋 浩 平
職種:理学療法士
所 属
田村外科病院 リハビリテーション科
講演題名
脊椎圧迫骨折におけるエネルギー摂取量と歩行能力との関連
共同演者
内田 学、石村 加代子、櫻澤 朋美、 村田 厚、 石田 美幸、
福井 隆弘、増田 智子 、杉浦 康幸、岩田 知子
【はじめに、目的】
近年の高齢化に伴い、脊椎圧迫骨折患者は増加傾向を示している。脊椎圧迫骨折では、受傷後に
保存療法として安静臥床を強いられることが少なくない。そのような場合、臥床状態での食事摂
取を余儀なくされるが故に、食べにくさや疼痛などにより食欲が低下する患者を多く見受ける。
食事摂取量の低下により低栄養に陥ると、リハビリテーション(以下、リハ)の帰結に影響を与
える可能性がある。今回、我々は脊椎圧迫骨折患者における食事摂取状況を調査し、これとリハ
の帰結である歩行能力との関連性について検討した。
【対象】
2013 年 7 月 1 日から 2014 年 6 月 30 日までに脊椎圧迫骨折(新鮮例)で当院に入院した年齢が
65 歳以上の患者のうち、受傷前の生活レベルが自立歩行にて生活を行っており、入院中に理学
療法を受けた 31 名(平均年齢 81.8 ± 6.7 歳、男性 9 名、女性 22 名)とした。
【方法】
設定期間の診療記録を後方視的に調査した。入院後 7 日間のエネルギー摂取率(摂取量 / 消費
量)を評価し、1.0 以上を充足群、1.0 以下を不足群とした。歩行能力の指標である Functional
Ambulation Category(FAC) を群間で比較した。
【結果】対象全体の 74% に摂取量の不足を認めた。
充足群の方が歩行訓練開始時と退院時の FAC が有意に高く、エネルギー摂取率と FAC の間に
関連性を認めた。
【考察】
結果より、脊椎圧迫骨折受傷後の高齢者では入院後に食事摂取量が低下することが多く、それが
歩行能力に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。安静臥床の状態でエネルギー摂取が不
足すると筋蛋白異化により筋萎縮が助長されるとの報告がある。本研究においても不足群では筋
萎縮がより進行し、歩行能力が低下したと考えられた。脊椎圧迫骨折は低栄養のリスクの高い疾
患と捉え、リハを実施する際、身体評価や ADL 評価だけでなく、食事摂取量の確認や体重等の
栄養評価を加え、早期に低栄養を発見し、介入することが重要である。
27
分類:指定演題 S − 04
演者氏名
為 季 周 平
所 属
姫路獨協大学 医療保健学部 社会医療法人緑壮会金田病院リハビリテー
ション科
講演題名
「食べる」を支える ―摂食嚥下が困難であった急性期脳卒中患者への対応―
共同演者
職種:言語聴覚士
岩下 正樹 森元 隆行 瀬戸 大貴
【目的】
経口摂取を妨げる要因に嚥下障害以外では高次脳機能障害があげられる。今回、前頭葉症状が強
く重度な摂食嚥下障害を来した症例に対し、「食べる」ことから集中的にリハビリ介入した症例
について報告する。
【対象】
70 歳代女性、主婦 両手利き。診断名;左前頭葉脳皮質下出血、アミロイドアンギオパチー疑い。
現病歴;平成 X 年 Y 月 Z 日の朝方に起きて来ず、夫が本人の部屋へ行くと呼びかけに意識なく、
少量嘔吐しており当院へ救急搬送。神経学的所見;右片麻痺(Brs. 上肢Ⅰ、手指Ⅰ、下肢Ⅰ)、
嚥下障害。神経心理学的所見;意識・注意障害、前頭葉機能障害。
【経過】
入院直後より意識障害強く(JCS3 桁)、他動的な間接嚥下訓練を実施。12 病日後より開眼を認め、
徐々に表情が見られるようになった。意識レベルの改善(JCS2 桁)を認め、嚥下機能評価実施。
水飲みテスト、フードテストともに、運動開始困難など前頭葉症状により嚥下困難な状態であっ
た。翌日より楽しみ嚥下実施。エンゲリード、ミカン果汁など試みたが、口腔保持するだけで嚥
下運動は見られなかった。27 病日後、ドーナツをガーゼで包み、コーヒーを浸し口に含ませる
と咀嚼運動が開始され、嚥下反射もスムースに惹起した。翌日よりコーヒーを用いた楽しみ嚥下
を実施。35 病日後には焼き菓子、パンを、40 病日後には握り寿司を食した。更なる回復を期待
して 48 病日後に回復期病院へ転院したが、
112 病日後に右前頭葉皮質下出血により当院に再入院。
再入院後は意識障害が改善せず、発話も見られない状態で経口摂取不可のまま施設入所となった。
【考察】
本症例は前頭葉機能障害によって随意的嚥下動作が開始される閾値が上昇し、嚥下動作が開始さ
れるためには食物の刺激強度を上げる必要があった。このような患者の摂食嚥下機能は不当に評
価されやすく、十分な能力が生かされないまま経過する危険性がある。また本症例はアミロイド
アンギオパチーによる脳出血であり、再発の危険性が高い。本症例は回復期入院中の再発により
遷延性意識障害に陥った。急性期での適切な評価による経口摂取可能な食事の提供は、患者自身
また家族の QOL の向上につながったと考えた。
28
分類:指定演題 S − 05
演者氏名
塚 越 正 章
職種:呼吸器内科医師
所 属
公立藤岡総合病院
講演題名
慢性閉塞性肺疾患患者の嚥下障害に対する検討
共同演者
間渕 美代子 賀村 寿人 山川 治 谷越 康洋 高橋 祐介
【はじめに】
慢性閉塞性肺疾患(以下 COPD)患者は嚥下に対する問題についての報告がなされている。嚥下
障害により誤嚥から肺炎を起こすと急性増悪の原因となり病状の進行につながる。今回 COPD
患者に対し嚥下評価を行い検討したので報告する。
【対象と方法】
当院外来通院されている COPD 患者で、嚥下時に症状がある患者を対象とした。症例は 16 名、
(男
性 14 名、女性 2 名)で平均年齢 79.7 ± 6.1 歳であった。病期別では StageI 4 名、stageII 5 名、
stageIII 5 名、stageIV 2 名で在宅酸素を行っている症例が 1 名であった。
嚥下造影をおこない数種類の食材を使って嚥下評価をおこなった。
【結果】
16 名中 13 名(84.6%)で嚥下での問題が認められた。
米飯
きざみ
水分
誤嚥 1
3
喉頭侵入 1
2
4
10 10
5
咽頭食塊流入
咽頭への送り込み 5
咽頭通過
5
5
10 10
8
喉頭蓋谷への残留 6
6
5
嚥下障害に対して、誤嚥の可能性が低いと考え経過観察をおこなったのが 3 名、食事形態を中心
とし指導をおこなったのが 10 名、嚥下指導をおこないリハビリを施行したのが 10 名、治療薬と
してカプサイシンによる治療をおこなったのが 1 名であった。
治療中にその後誤嚥性肺炎を起こし入院となったのは 2 名であった。
【考察】
今回の検討で COPD での嚥下障害は高率で合併する可能性が示唆された。検査を行った症例は
全例外来通院中であり日常を在宅で行っている患者であったが、容易に誤嚥性肺炎をおこす危険
性があると考えられる。嚥下障害をおこす原因として、呼吸と嚥下の調節の障害、嚥下の閾値の
異常などの様々な報告がされている。治療に関しては ACE 阻害剤などのいくつかの薬剤での効
果が報告されているが、病態により使用できない症例も多く、
嚥下リハビリや食事指導を積極的に行っていく必要があると考えられた。
29
分類:指定演題 S − 06
演者氏名
中 村 直 人
職種:薬剤師
所 属
公立陶生病院 薬剤部
講演題名
口腔ケアへのアプローチ-薬剤師として院内製剤作成から-
【はじめに】
口腔ケアに使用する薬剤として、口腔内の洗浄消毒に医薬品のネオステリングリーン ® 医薬部
外品のコンクール F® などがある。保湿剤としてはバイオティ―ン ® オーラルバランス ® な
どがある。処方薬剤でない場合は、購入の拒否や使用頻度増加による患者の経済的負担増加とい
う問題が発生してくる。今回、薬の専門家として保険適応のある口腔ケア用院内製剤を作成した
ので当院の使用状況を報告する。
【方法】
2010 年 4 月から 2015 年 3 月までの期間で、口腔清拭時および口腔乾燥のある患者に、公立陶生
病院オリジナルの院内製剤である口腔用オリブ油(組成:オリブ油 30㎖、ハッカ油 6 滴 0.15㎖)
を使用した患者数および診療科について調査を実施した。
<口腔用オリブ油の特徴と使用方法>
オリブ油を口腔内に塗布する際のいやな感じを取り除くために、ハッカ油を配合。マウスケアの
後に口腔内全体に指などで塗り広げる。患者の状態によっては、舌に少量垂らし自分で舌を動か
して全体に広げてもらう。乾燥が著しい患者には、一旦口腔オリブ油で汚れを柔らかくした後除
去する。持続時間が短いため、こまめに使用する。
※ハッカ油の主成分である l- メントールは,殺菌・防腐作用がある。少量を内服するとその芳香,
清涼感により反射的に消化管の運動,分泌,吸収などの諸機能を亢進する。
「インタビューフォー
ムより抜粋」
【結果】
口腔用オリブ油を使用した延べ患者数、平成 22 年度:237 人、平成 23 年度:231 人、平成 24 年
度:395 人、平成 25 年度:663 人、平成 26 年度:841 人であった。使用診療科は、脳神経外科 神経内科が多かった。
【考察および結論】
口腔ケアの重要性が求められることに比例するように、使用量が増加していた。
安価な保険適応のある薬品を使用して口腔ケア用薬剤、口腔用オリブ油:82.155 円(オリブ油
30㎖:79.5 円、ハッカ油 0.15㎖:2.655 円)を作成することで、患者負担が大幅に軽減できた
と考えられる。
30
分類:指定演題 S − 07
演者氏名
西 岡 心 大
職種:管理栄養士
所 属
一般社団法人長崎リハビリテーション病院 教育研修部/栄養管理室
講演題名
片麻痺を呈する回復期脳卒中女性患者の健側下腿周囲長は ADL 利得と関連
する
共同演者
吉田 智美、森 菜美、渡部 理子、西岡 絵美
【背景】
脳回復期脳卒中患者において低栄養は日常生活動作(ADL)回復や自宅復帰の阻害因子である。
一方、回復期脳卒中患者における肥満は ADL 利得と正の関連を認めると報告されており、これ
らの知見には骨格筋量の多寡が影響している可能性がある。本研究は全身筋量の指標である下腿
周囲長(CC)が回復期脳卒中患者の ADL 帰結との関連を調査することを目的とした。
【方法】
本研究は後ろ向きコホート研究である。対象は 2011 年 10 月から 2015 年 3 月までに回復期リハ
病棟に入退院した 40 歳以上の新規脳卒中患者 1029 名。病状悪化による急性転化、麻痺なし又は
四肢麻痺・対麻痺患者、健側 CC 欠損例は除外した。健側 CC が標準以下(男性 <34cm、女性
<33cm)を低筋量群、標準以上を高筋量群とした。主要アウトカムは Functional Independence
Measure(FIM)利得、二次アウトカムは退院時 FIM とし、男女別に二群間でのアウトカムを
比較した。また、性別・年齢・病前要介護認定の有無・入院時 FIM 等を調整して重回帰分析を行っ
た。有意水準は5%未満とした。
【結果】
解析対象者は 525 名(男性 273 名、女性 252 名、平均年齢 73 歳)
。原疾患は脳梗塞 68%、脳
出血 29%、くも膜下出血 3%、入院時 FIM 中央値は運動 43 点、認知 21 点であった。男性で
67%、女性で 75% が低筋量群に該当した。高筋量群:低筋量群別の FIM 利得は男性で各 32.5:
35.4(p=0.223)、女性で各 37.0:28.3(p<0.001) であり、退院時 FIM は男女とも高筋量群が有意
に高値(p<0.001)であった。FIM 利得を目的変数とした重回帰分析の結果、女性は年齢・在院
日数とともに CC が独立した説明因子となったが(R2=0.186、p<0.001)、男性において CC は
説明因子とならなかった(R2=0.384、p<0.001)。退院時 FIM に対する重回帰分析では、同様に
女性で入院時運動 FIM・年齢・在院日数とともに CC が独立した説明因子となったが(R2=0.724、
p<0.001)、男性では CC の関連は認めなかった(R2=0.627、p<0.001)
。
【結論】
片麻痺を呈する回復期脳卒中女性患者において健側 CC は ADL 利得および退院時 ADL の独立
した説明因子であった。
31
分類:指定演題 S − 08
演者氏名
吉 村 由 梨
職種:管理栄養士
所 属
医療法人社団刀圭会協立病院 診療技術部 栄養課
講演題名
腐食性食道炎の一例に対するリハビリテーション栄養介入の報告
共同演者
伊藤 望、中嶋 求実
1.目的 自殺企図で漂白剤を飲用し、腐蝕性食道炎を呈した患者に対して、NST を通して様々な介入を
試みた。アバンド TM の使用やリハ栄養の効果について改善・課題が見られたので報告する。
2.症例 50 歳代女性、BMI16.7、統合失調症あり。自殺企図で漂白剤飲用による腐蝕性食道炎を発症し
たため、薬物治療を開始。その後、嚥下障害の合併により経鼻栄養開始するが、誤嚥性肺炎を繰
り返したため気管カニューレ挿入。受傷 4 ヶ月後、状態安定したため嚥下訓練と PEG 目的で当
院へ転院され、入院 4 日目に PEG 施行した。入院時、食道粘膜所見不良により経口摂取不可。
体重増加を目標とした静脈・経腸栄養プランを実施した。PT・ST にて身体・嚥下機能改善に向
けて介入。2 ヶ月(受傷半年)後、体重増加あり BMI20.9。身体・嚥下機能も改善見られた。し
かし、内視鏡検査では広範囲に易出血性粘膜・潰瘍の残存が確認された。そこで、アバンド TM
を用いた栄養管理内容へ変更し、リハ時間での摂取を促すこととした。その後、嚥下機能改善に
伴い気管カニューレを抜去し、少量の経口摂取を開始した。
3.結果 経口摂取開始 2 ヶ月(受傷 8 ヶ月)後の内視鏡検査では食道に軽度狭窄が出現するも、粘膜所見
は改善したため、積極的な経口摂取・経腸栄養減量が可能となり、離床時間が確保された。しかし、
2 ヶ月(受傷 10 ヶ月)後に食道つかえ感が出現し、食欲低下が見られた。内視鏡検査において、
潰瘍治癒に伴う瘢痕化による食道狭窄の悪化が見られたため、経口摂取は中止とし、食道狭窄に
対する内科的治療は困難と判断された。また患者の精神状態の低下が見られたが、NST を通し
た関わりの中で、経口摂取再開の希望も聞かれたため外科的手術に至った。
4.考察
食道という管腔臓器の特性上、潰瘍治癒に伴う狭窄が生じ、最終的に外科的手術が必要になった
が、リハ栄養介入は身体・嚥下機能改善に導き、アバンド TM は腐蝕性食道炎の改善に有用であっ
た可能性がある。
32
分類:指定演題 S − 09
演者氏名
吉 村 芳 弘
職種:医師
所 属
熊本リハビリテーション病院
講演題名
回復期リハビリテーションにおけるサルコペニアと臨床関連因子
【目的】
回復期リハビリテーション(以下、リハ)におけるサルコペニアの有症率と臨床的関連因子に関
する先行研究は乏しい。さらに Asian Working Group(AWGS)アルゴリズムに従って BIA 法
や DXA 法で測定した骨格筋指数
(SMI)を用いてサルコペニアを検討したデータはさらに乏しい。
本研究では回復期リハ病棟における BIA 法を用いた AWGS アルゴリズムのサルコペニアの有症
率と臨床的関連因子について検討した。
【方法】
2014 年 4 月より 2015 年 6 月までの間に当院回復期リハ病棟に入院した全症例 401 人を対象とし
た横断研究。BIA 法(InBodyS10)により骨格筋指数(SMI)を算出し、SMI と握力、歩行速度
を AWGS のアルゴリズムと基準値(SMI: 男性 7.0kg/㎡ / 女性 5.7kg/㎡、握力 : 男性 26kg/ 女
性 18kg、歩行速度)を用いてサルコペニアを診断した。検討項目として、年齢、性、原因疾患
(10 分類)、体組成(SMI、脂肪量指数 kg/㎡)、日常生活動作(FIM 運動項目)、認知機能(FIM
認知項目)、栄養状態(MNA-SF)、摂食嚥下状態(FILS)、生化学血液検査(Alb、Hb、CRP、
Cr)などとの関連性について多変量解析を用いて検討した。
【結果】対象者の年齢は中央値 78 歳(IQR67-85 歳)で男性が 165 人(41.1%)。サルコペニアの
有症率は 51.6%(男性 53.9%、女性 50.0%)であった。歩行に関しては 321 人(80.0%)が歩
行不可、80 人(20.0%)が歩行速度 1.0m/s 未満であり、サルコペニアは SMI と握力の 2 変数
を用いて判定した。低栄養を 112 人(35%)に認め、低栄養の at risk を 177(55%)に認めた。
ロジスティック回帰分析では、サルコペニアの独立した説明変数として、性(女性 =0/ 男性 =
1)(OR 0.45, 95%CI 0.210-0.97)、FILS(OR 0.38, 95%CI 0.27-0.53)、脂肪量指数(OR 0.87,
95%CI 0.77-0.99)、CRP(OR 0.60, 95%CI 0.39-0.90)、脳梗塞病名(OR 4.39, 95%CI 1.1117.42)が関連していた (p<0.05).
【考察と結論】回復期リハの多くの対象者にサルコペニアと低栄養を認めた。サルコペニアは性
差や摂食嚥下障害、入院原因疾患等のリスク因子の存在が示唆された。リハのアウトカム改善の
ためには入院直後にサルコペニアをスクリーニングすることが必要であり、さらに、回復期リハ
におけるサルコペニアのハイリスクグループを抽出、同定することは臨床的に有用であると考え
られる。
33
分類:指定演題 S − 10
演者氏名
吉 田 貞 夫
職種:医師
所 属
沖縄メディカル病院 あがりはまクリニック・金城大学 客員教授
講演題名
回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管障害患者のインスリン抵抗
性とアウトカム
【目的】
インスリン抵抗性はサルコペニア肥満との関連性が示唆され、リハビリテーション中の患者の骨
格筋量の維持や、アウトカムと関連する可能性が高い。回復期リハビリテーション病棟に入院し
た脳血管障害患者で、インスリン抵抗性などと骨格筋量との関連性について検討した。
【方法】
平成 25 年6月以降に沖縄リハビリテーションセンター病院に入院し、平成 26 年6月までに退院
した脳血管障害症例のうち、短期間で退院したなどの症例や、インフォームド・コンセントを得
られなかった症例を除いた 42 例(男性 21 例、女性 21 例)につき、入院時と退院時の骨格筋量
の増減を In Body S10 で評価し、糖尿病の有無(糖尿病 17 例、非糖尿病 25 例)、入院時のイン
スリン抵抗性(HOMA−R)をはじめ、その他の栄養指標などとの関連について検討を行った。
【結果】
現疾患の内訳は、糖尿病群(脳梗塞 10 例、脳出血6例、くも膜下出血1例)、非糖尿病群(脳梗
塞 15 例、脳出血9例、くも膜下出血1例)で、原疾患に差は認められなかった。HOMA−R が 2.5
以上の抵抗性群は 10 例(23.8%)、2.5 未満の感受性群は 32 例(76.2%)だった。骨格筋量の
増減は、糖尿病群で -0.1 ± 2.7 kg、非糖尿病群で 2.1 ± 2.4 kg で、非糖尿病群の増加量が有
意に多かった(p=0.008)。HbA1c が 6.0%未満(p=0.004)、HOMA−R が 2.5 未満の症例(p=0.04)
では、骨格筋の増加量が有意に多かった。血漿グルコースが 120mg/dl 未満、血清アルブミンが 3.5
g/dl 以上の症例では、骨格筋の増加量が多い傾向が認められたが、有意差は認められなかった。
【考察及び結論】
脳血管障害症例において、糖尿病合併例は、リハビリテーションを行っても、骨格筋量が増加し
にくく、HbA1c 高値、インスリン抵抗性は、骨格筋量増加に悪影響を与える可能性が示唆された。
34
分類:OT が取り組むリハ栄養 O − 01
演者氏名
齋 藤 嘉 子
職種:作業療法士
所 属
京都民医連第二中央病院
講演題名
作業療法士が介入する食支援の紹介~ ICF から考える~
【ICF と作業療法】
国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health: ICF)は
「心身機能」「活動と参加」を中心とした生活機能と障害の分類法です。作業療法(Occupational
Therapy:OT)は、その中でも、仕事、遊び、日常生活の諸動作といった作業活動に焦点を置き、
身体・精神的な障害があっても「活動と参加」が継続できるよう治療や援助を行います。
【作業療法士による食支援】
OT は、摂食嚥下の先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期のうち主に先行期に介入をします。
先行期は、実際に口まで食物を運ぶまでの期間で、姿勢保持・運動感覚機能・認知機能や高次脳
機能が関与しています。
姿勢保持に対して作業療法士はシーティングやテーブルの高さなどの環境調整を行い食事をとる
のに心地よい姿勢が長時間保持できるよう援助します。
また、上肢機能の低下や触覚や体性感覚の障害といった運動感覚機能の障害がある場合は、食具
や自助具、ポータブルスプリングバランサーなど福祉用具を活用し、皿から口まで円滑に食物を
運べるよう援助します。さらに、認知・高次脳機能について脳の損傷部位と感覚機能・認知機能
障害の質や程度を考慮し、適切な感覚入力を手掛かりにして食物を認知し、食事を継続できるよ
う環境調整や福祉用具の導入を行います。
(脳損傷部位と障害の例)
前頭葉:注意障害、失行、運動性失語など
側頭葉:記憶障害、感覚性失語など
頭頂葉:半側空間失認、触覚失認など
後頭葉:視覚障害、視野障害など
例えば、前頭葉を損傷し失行の出現により道具使用が困難となった場合には、食事動作の単純化
や万能カフでのスプーン把持など環境調整を行います。
ここでは、実際の OT 評価や介入場面の画像提示、自助具・福祉用具など五感を利用した体験を
通して、OT の食支援を紹介します。
35
分類:OT が取り組むリハ栄養 O − 02
演者氏名
齋 藤 嘉 子
職種:作業療法士
所 属
京都民医連第二中央病院
講演題名
京都の伝統産業の技法を込めた、意匠性の高い介護食器の開発
~高齢者の QOL を向上する摂食嚥下の支援~
「いつまでも食事を楽しめる京都、滋賀」を実現するため、2010 年より、京都と滋賀で『京滋摂
食・嚥下を考える会』が立ち上がりました。本会では、京都府下での嚥下食共通基準を導入する
だけでなく、食に関わる伝統職人の方々が活躍されてきた地域特性を活かし、新たな食文化の構
築、食を通じた地域づくりを行っています。そのひとつに「介護食器プロジェクト」があります。
本会で美味しい嚥下調整食を開発した際、箸の使用を想定した一般の食器では食べにくく工夫が
必要な状況がありました。一方、柔らかく滑らかな嚥下調整食もスプーンで簡単に掬えるように
作られている介護食器は、機能性や丈夫さを重視して美観を損なっているものが多い状況でした。
そこで晴れの日に相応しい京都の伝統産業の技法を込めた意匠性の高い介護食器を開発すべく、
京都府立医科大学、京都府作業療法士会、京都市産業技術研究所、清水焼団地協同組合、遊部工
芸株式会社、日本料理アカデミーとの合同プロジェクトが始まりました。職人やデザイナーの方々
から料理との相性や季節感、漆器・磁器・陶器の風合いや重み、食器の形状が与えるイメージを
伺うとともに、作業療法士が筋力低下や感覚障害があっても楽に掬うことができるよう動作を分
析し、実際に患者さんに試用していただき適合評価を行って、「晴れの日」にふさわしい使いや
すいデザインを洗練し、松花堂弁当風の食器として仕上げました。9 月 12 日第 21 回日本摂食嚥
下リハビリテーション学会学術大会で、嚥下食プロジェクトとの合同企画で、日ごろ外食する機
会が限られる要介護者とその家族にこの食器と嚥下調整食の京料理を提供し、京都の食文化を楽
しんでいただきました。
今後も美しく食べやすい食器で「生きがいとなるような食事」を提供していくことをミッション
として、このような試みを全国に発信し、地域での食支援を考えていただく機会になればと考え
ています。
36
分類:OT が取り組むリハ栄養 O − 03
演者氏名
山 根 一 恭
職種:作業療法士
所 属
医療法人 愛幸会 天仁病院
講演題名
NST 開設の中心メンバーとしての OT の役割と取り組み
【はじめに】
当院はケアミックス病院であり、本年8月より栄養サポートチーム(以下,NST)稼働に向け
た準備を行っている。コスト算定は行っていないが、病棟ラウンド・カンファレンスの NST 活
動を行っている。今回 NST 新規導入の際に、作業療法士(以下,OT)が中心となりチームの
構築、運営に関わったので報告する。
【NST メンバー】
看護師 ( 以下,Nrs)、管理栄養士、薬剤師、OT、言語聴覚士(以下,ST)、臨床検査技師、医事
課職員であった。OT と管理栄養士がリーダーとなり、チームの中心的役割を担い NST 新規開
設を行った。
【NST ラウンド・カンファレンス】
PEG、TPN 管理の患者が多くを占め、必要栄養量に満たない患者が多く存在した。経口摂取患
者では、食事摂取量低下によるエネルギー不良を認めた。ストレス係数において悪液質や褥瘡等
を考慮された必要栄養量が設定された患者は少なかった。
【OT 介入】
①褥瘡患者。ポジショニングチームと協力し、姿勢管理方法、エネルギー量を検討。エネルギー
摂取不足患者に対して、病棟 Nrs・主治医に提言した。
②摂食嚥下障害患者。ST と協力し、姿勢コントロール、座位の環境調整、食器・自助具の選択
を提言。経口摂取患者には経管栄養・静脈栄養へと移行させないよう、摂取量アップを目標に
提言した。
③廃用症候群・エネルギー不足患者。長期間エネルギー摂取量不足患者に対して、必要エネルギー
量の提言、筋肉の異化を防ぐ目的で、日中の活動量(15 分間座位、日光浴)を提案した。
【経過・結果】
リハビリ施行時間の変更(午前中に実施)や離床時間の拡大を図ることができた。1例は身体機
能維持・経口摂取量の確保が可能で退院となった。
【最後に】
OT が NST の中心的役割を担う貴重な機会を得た。まだ症例数も少なく、客観的指標としては
反映されていないが、当日は症例報告も行い、追加した経過を報告する。
37
分類:OT が取り組むリハ栄養 O − 04
演者氏名
田 淵 圭 一
職種:作業療法士
所 属
医療法人 平病院 リハビリテーション部
講演題名
リハビリテーション栄養ケアマネジメントの実践:症例報告
【背景】
近年、hospital malnutrition に対し、リハビリテーション栄養(以下:リハ栄養)の重要性が謳
われるようなった。現在、NST 専門療法士を目指すリハスッタフも増加傾向にあり、またリハ
栄養の実践を試みている病院や施設も少なくない。今回、リハ栄養ケアマネジメントを実践した
事で食事摂取量が増加し、自宅退院に至った症例を経験したので報告する。
【症例】
80 歳。男性。肺炎とインフルエンザにより入院。既往歴は塵肺・アルツハイマー型認知症・糖尿病。
第 9 病日より、リハ開始となるが、食事摂取状況は不良であった。ICF(国際生活機能分類)評
価に基づきリハ栄養ケアマネジメントを実施した。
【評価】
栄養状態は平均摂取カロリー 777kcal/ 日(ソフト食)、%IBW 76%(体重減少率 3%/1 ヶ
月)。サルコペニアの有無に関しては AWGS(2014)が提唱したアルゴニズムに基づき、握力
20.9kg、SMI 値 5.7㎏ /㎡(使用機器:INBODY230)、歩行速度 0.79m/s でサルコペニアを呈
していた。摂食・嚥下状態は RSST4 回でムセ等は認めなかった。
【サポート内容】
摂食・嚥下状態やエネルギー動態等を考慮した上で、第 11 病日から軟飯軟菜食 1400kcal/ 日
と栄養補助食品(200kcal)を開始し、第 13 病日からは DM 食 1520kcal/ 日に変更した。リハ内
容に関しては最初の食事箋変更を契機に漸増的に負荷量を上げていった。
【経過と帰結】
第 14 病日から概ねエネルギー摂取量が 1600kcal/ 日以上(35kcal/kg/ 日以上)となり、第 18
病日の中間評価において全体的に改善傾向を示していた。第 25 病日、介護調査。第 58 病日、要
介護 1 認定。第 76 病日、担当者会議。第 79 病日、サービス利用を検討した上で自宅退院の運び
となった。
【考察及び結語】
ICF 評価により全人的な評価が可能となり、またリハ栄養ケアマネジメントを実施する上で有
用であると考えた。今回の症例に関しては根幹に食事摂取量の減少を来した要因が存在し、アセ
スメントに基づいた適切かつ迅速な対応が求められた症例であった。
38
分類:OT が取り組むリハ栄養 O − 05
演者氏名
大 野 泰 輔
職種:作業療法士
所 属
京都民医連第二中央病院 リハビリテーション部
講演題名
感情面や意欲関心に着目した介入が食事摂取量・ADL 向上に繋がった一例
~意思表出・発動性が低下した認知症患者を通して~
【はじめに】
病前より認知症を呈し,今回,脳梗塞後,仮性球麻痺,発動性低下を認めた症例を担当した.食意欲・
嚥下・舌運動機能低下から食事拒否による食事摂取量低下を認めた.そこで症例の嗜好やペース
に合した食事方法を設定した.さらに OT では訓練や日常生活場面から,快感情や関心が得られ
る活動に着目して介入し,身体機能・ADL 向上を目指した.その結果,食事摂取量,ADL 向上
に繋がったため,報告する.
【症例概要】
90 代後半女性.身長 148㎝,体重 38.9㎏ BMI17.7.現病歴:X 年 MRI にて左中大脳動脈梗塞と
診断.病前生活:屋内 ADL 見守りレベル.
【評価(入院 +3W)】
栄養値:Alb3.3,総蛋白 6.2.麻痺はないも,QOL-D では自発性 4/16 点で意思表出・発動性低下,
周囲への関心の低下,HDS-R は 8/30 点で重度認知機能低下を認めた.FIM は 26 点(運動 20 点,
認知 6 点).食事場面では口を塞ぐことや首を横に振り拒否し,数口のみ摂取し,摂取カロリー
は約 480kcal 程度であった.
【介入と結果】
入院 +5W よりリハや離床時に症例が好きな棒飴や栄養補助食品の摂取を促し,食事場面では
症例のペースに合した摂取の促しや介助を実施.OT 場面では口腔嚥下体操に加え,訓練や日
常生活場面の介入から,歌唱など快感情表出や玉入れなどの意欲的に取り組める活動を選択し,
1.5METS 程度の負荷で訓練を実施した.また病棟と連携し,病棟でも関心のある活動を導入し,
楽しみの提供とともに座位時間延長を図った.入院 +8W には,訓練場面や病棟生活で笑顔など
の感情表出が増加し,QOL-D は自発性 11/16 点に向上した.自発的に食事摂取する様子も増え,
摂取カロリーは約 900kcal 程度であったが向上が見られた.栄養値は Alb3.5,総蛋白 6.5 に,
FIM は 49 点(運動 39 点,認知 10 点)に向上した.
【考察】
症例に合した食事方法の設定に加え,感情表出や意欲関心に着目した介入,栄養値を意識した低
負荷での運動により,活動意欲が向上し,座位時間延長から食事の耐久性向上に繋がり,ADL
の改善にも寄与した.
39
分類:OT が取り組むリハ栄養 O − 06
演者氏名
中 島 可菜子
職種:作業療法士
所 属
医療法人相生会 福岡みらい病院
講演題名
中途全盲の独居高齢者が多職種連携による“食”のマネジメントで在宅復帰
に至った一例
【始めに】
中途全盲となった独居高齢患者に対し、OT を中心とした多職種が食事動作全般に関わることで
在宅復帰に至った症例を経験したので報告する。
【症例】
70 代女性。既往にて上顎欠損あるが義歯装着し常食摂取可能であった。今回、肝膿瘍から眼内
炎を発症、更に多発性脳梗塞、髄膜炎を併発し全盲に至った。急性期病院で加療後、本人の希望
で在宅復帰を目標に当院入院となる。
【初期評価】
身長 165㎝、体重 43㎏、BMI16.5、Alb4.0g/dl、CRP0.03㎎ /dl。Br.stage Ⅵ / Ⅵ - Ⅵ / Ⅵ - Ⅵ
/ Ⅵ、GMT3 ~ 3+、握力 Rt15kg、Lt.13kg。FIM84/126 点。HDS-R28/30 点。臥床傾向で易疲
労性、移動は車椅子使用。空間認知低下あり環境把握困難。咀嚼力低下あるが嚥下機能良好。
【経過】
入院時、生活動作は全て誘導や介助が必要。スプーンにて軟菜食自力摂取可能だが、咀嚼に時間
を要し、手探りの為取りこぼしや食べ忘れがあった。PT による筋力・持久力訓練と並行して、
OT は空間認知訓練、ADL 訓練による身辺動作自立を目標とした。在宅復帰に備え、簡単な調
理など応用動作の獲得が必要となり、症例豊富な視覚障害者支援センターに入所を打診した所、
身辺動作、食堂への移動、食事動作自立、安定した栄養摂取を求められた。そこで食事場面の再
評価と支援センターの視察から問題点を見直し、医師、療法士、看護師、介護士らと情報共有した。
食堂への動線をシミュレートした訓練、食事環境の工夫、咀嚼可能な形態の把握など “ 食 ” のマ
ネジメントを行い、安全で安定した栄養摂取が可能となった。当院退院後、視覚障害者支援セン
ターに約半年間入所、介護サービス導入のうえ在宅復帰に至った。
【最終評価】
握 力 Rt21.2kg、Lt.18 ㎏、FIM105/126 点、 身 辺 動 作 自 立、 屋 内 移 動 見 守 り、 連 続 歩 行 距 離
300m 以上、Alb4.5g/dl、CRP0.06㎎ /dl。
【考察】
当初、安全・健康維持の観点から独居での在宅復帰は困難と思われたが、身辺動作の自立に加え、
OT が多職種と連携し“食”のマネジメントを行う事で、安全な栄養管理が可能となり在宅復帰
に結びついた。
40
分類:OT が取り組むリハ栄養 O − 07
演者氏名
田 中 舞
職種:
所 属
富山県高志リハビリテーション病院 総合リハビリテーション療法部作業療法科
講演題名
復職を目標にリハ栄養管理に取り組んだ一症例
【はじめに】
リハ栄養の実践において、最も重要な事は患者の ADL・QOL の向上であり、OT の関わりが求
められる。今回、栄養管理とリハの実施により復職を果たした症例について以下に報告する
【症例】
62 歳男性
【診断名】
ウイルス性髄膜脳炎、廃用症候群
【現病歴】
38 度台の発熱・悪寒・倦怠感あり近医受診し、内服処方されるも改善せず、5病日に歩行困難
となり入院。8病日 : 不穏症状が出現し、髄液検査結果より上記診断となった。10 病日 : 意識レ
ベル低下・呼吸状態悪化を認め、気管挿管・人工呼吸器管理となった。13 病日 : 気管切開術施行。
39 病日 : 意識障害・呼吸状態が改善し、気管カニューレ抜管。67 病日 : 当院へ転院
【職業】
アパレル会社の社長
【ニード】
海外出張を含めた復職、自動車運転
【転院時評価】
身長 183cm、体重 70.6kg、BMI21.1、骨格筋量 23.5kg、体脂肪量 25.6kg、体脂肪率 36.0%、
MMT 両上肢4~5、両下肢2~4、体幹2、握力右 23㎏、左 23㎏、CC 右 32.7㎝、左 32.5㎝、
FIM64/126 点。
【経過】
67 病日 :PT・OT 開始(筋力増強運動、バランス練習、歩行練習)
。提供カロリー 1900kcal(蛋
白 75g)
。72 病日 : 移乗自立。85 病日 : 排泄自立。103 病日 : 屋内独歩自立。喫食率は多くても
約8割であり,家族・知人からの差し入れも多かった事から、蛋白質中心の食事指導を行った。
122 病日 : 屋外独歩・階段昇降自立。125 病日 : 長期出張を想定した荷物の運搬動作練習を追加。
132 病日 : 運転臨時適性検査受検。136 病日 : 自宅退院。復職し、退院9週目には家族と一緒に,
20 週目には1人で海外出張も可能となった
【退院時評価】
体重 74.5kg、BMI22.2、骨格筋量 27.8kg、体脂肪量 22.4kg、体脂肪率 30.1%、MMT 両上肢5、
両下肢4~5、体幹3、握力右 34kg、左 29kg、CC 右 34.4cm、左 34.8cm、FIM113/126 点
【考察及び結語】
栄養管理とリハの実施が早期の社会復帰や QOL の向上につながった。個々のニーズを把握した
リハの実施には、OT の介入が重要である。
41
分類:一般演題 理学療法
P-01.
高度栄養障害をきたした COPD 患者に対し短期リハ栄養入院が効果的であった一症
例
KKR 高松病院
石川 淳(理学療法士)、宮崎 慎二郎、宮澤 友輔
【はじめに】
COPD に対しては、酸素療法や薬物療法など様々なアプローチを併行して実施する
包括的呼吸リハビリテーションが一般的となっている。COPD では様々な要因から低
栄養をきたすため、運動療法と栄養療法の適切な実施が必要であり、まさにリハビリテー
ション栄養管理を要する疾患の典型例でもある。今回、高度低栄養患者に対し、短期間
のリハ栄養入院が効果的であった COPD 患者を経験したので報告する。
【症例紹介】
80 代男性で約 5 年前に COPD と診断され、在宅酸素療法を導入している。在宅療養中、
呼吸困難感の増強から、屋内生活が続き、トイレ以外はほとんど動かない生活が続いて
いた。また食欲不振により、食事や補助食品の摂取ができなくなったため、リハビリテー
ションと栄養管理を主体とした包括的呼吸リハビリテーション目的で入院となる。
【経過】
入院後、コンディショニング ・ 低強度運動療法を中心とした呼吸リハビリテーション
を開始し、食事+栄養補助食品による高脂肪 ・ 高たんぱくの栄養管理を約 2 週間実施
した。入院時および退院時の各測定項目の変化を次に示す。体重 : 32 kg → 34.2 kg、
BMI: 12.8 → 13.7、%IBW: 58.4 % → 62.4 %、SMI: 2.58 → 2.76、握力 : 13 kg →
15 kg、膝伸展筋力 : 13.2 kgf → 16.5 kgf、WBI: 0.45 → 0.52、NRADL: 20 点→ 40 点。
【結語】
本症例のように高度の栄養障害を認め、著しいるい痩をきたした患者の場合、約 2 週
間の短期集中リハ栄養入院により、身体機能や身体組成をはじめとした、全身状態の効
果的な改善を示す可能性が示唆された。
42
分類:一般演題 理学療法
P-02.
大腿骨近位部骨折術後急性期における栄養状態と歩行能力再獲得率との関係
〜簡易栄養状態評価指標 MNA-SF を用いて〜
呉共済病院
臼本 真也(理学療法士)、新田 一貴、野間 麻衣、平薮 英昭
【はじめに】
大腿骨近位部骨折は、高齢者の QOL を著しく低下させ歩行障害や寝たきりにつながる
ことが多く、理学療法の目的は早期に受傷前の歩行レベルに回復させることである。術
後の理学療法を進めていく上で栄養状態の良し悪しが重要であることは多く報告されて
いる。今回、当院における大腿骨近位部骨折患者を対象とし、受傷時の栄養状態が術後
の歩行能力再獲得率に及ぼす影響について検討した。
【対象および方法】
2012 年 1 月〜2012 年 8 月に、当院で手術を行った大腿骨近位部骨折患者 70 例を対象
とした。栄養状態の評価方法として簡易栄養状態評価 MNA-SF を採用し、栄養状態良
好群(12〜14 点)と不良群(0 〜11 点)の 2 群に分類した。そして入院前および 3 週
間時の歩行能力再獲得の割合について 2 群間で差があるかを検討した。統計学的処理に
は、カイ 2 乗検定を用いた。なお、有意水準は 5%未満とした。
【結果】
本研究対象の 70 例のうち栄養状態良好群は 26 例、不良群は 44 例であった。また転院
時における 2 群の歩行能力再獲得の割合は、良好群では歩行能力維持群 76.9%(20 例)
・
低下群 23.1%(6 例)、不良群では歩行能力維持群 47%(21 例)
・低下群 53%(23 例)であっ
た。本研究では受傷時の栄養状態良好群および不良群の 2 群間での 3 週間時の歩行能力
再獲得率に有意な差を認めた。
【考察】
大腿骨近位部骨折患者に関して、対象患者の多くが低栄養であったという柴田ら 1) の報
告があり、低栄養状態は大腿骨近位部骨折の一要因と考えられている。また、大原ら 2)
は低栄養患者に対する運動療法は患者の疲弊をもたらし逆効果につながることすらある
と述べている。今回の結果から、低栄養状態の多い大腿骨近位部骨折患者の術後理学療
法では、栄養状態管理介入が歩行能力再獲得に重要であると推測される。
本研究より、簡易で臨床的な栄養状態評価 MNA-SF は大腿骨近位部骨折術後における
歩行能力再獲得の予後予測の一指標となり得ると考える。
43
分類:一般演題 理学療法
P-03.
無治療糖尿病に合併した重症感染症 2 例に対し積極的な栄養負荷を含めたリハビリ
テーション介入の経験
時計台記念病院リハビリテーション科
小川 太郎(医師)
【症例 1】
59 歳男性.10 年前より糖尿病.自己判断で治療中断し最近 1 年間で体重激減.痙
攣で救急搬入となり化膿性髄膜炎と診断され,第 52 病日当院転院.身長 168cm 体
重 49.5kg,Alb2.5,ChE111.1600kcal/ 日, 内 服 + ラ ン タ ス 4 単 位 で FBS137,
HbA1c4.9.MMT 上肢 3 〜 4,下肢 2,起居は要介助,座位・立位は両上肢支持で可能.
ADL は食事・整容以外は全介助.神経伝導速度 (NCV) は正中神経 42.9m/s,脛骨神
経 31.0m/s.2000kca/ 日とし,リハ訓練,下肢の低周波電気刺激 (AUTO Tens PRO,
ホーマーイオン研究所 ) を行った.入院 91 日目,体重 62.1kg,Alb3.6,HbA1c6.9 で
1800kcal/ 日に減量.MMT 上肢 5,下肢 4 程度,両ロフストランド杖で 10m 歩行 20.29 秒,
ADL ほぼ自立 (FIM 運動項目 79) となり入院 121 日目自宅退院.
【症例 2】
44 歳男性.1 年前に糖尿病と診断されるも放置し体重が 30kg 減少.意識障害で救急搬
入され多発脳梗塞・重症大動脈閉鎖不全・感染性心内膜炎の診断で第 9 病日大動脈弁置
換術.第 54 病日当院転院.身長 178cm 体重 48.2kg,Alb2.5,ChE149.1840kcal/ 日,
インスリン使用で FBS156,HbA1c6.0.四肢筋力 MMT2〜 3,歩行器歩行・ADL 見
守り.NCV は正中神経 36.3m/s,脛骨神経 28.5m/s.網膜症・硝子体出血などの治療
目的に一時眼科に転科し,転院 75 日目当科再転科.2200kcal/ 日としリハ訓練を再開.
筋力は MMT3 〜 4 程度に向上,歩行器歩行は自立,ADL は入浴以外自立 (FIM 運動項
目 80).体重は再転科時 47kg から 50kg.入院 139 日目老健施設入所.
【結論】
糖尿病,重症感染症,糖尿病性末梢神経障害による栄養障害に栄養負荷およびリハ介入
を行った.
44
分類:一般演題 理学療法
P-04.
当院回復期病棟入院患者における GNRI 値に注目した身体所見、FIM 得点の関係性
について
医療法人社団 誠道会 各務原リハビリテーション病院
桂川 智宏(理学療法士)、和座 雅浩(医師)
、岸本 泰樹、大野 敦子、古田 美保、
河合 克尚、安藤 弘道(医師)、磯野 倫夫(医師)
【はじめに】
高齢者などの栄養状態を表す指標として GNRI が利用されている。一般的に高齢入院患
者における筋肉量や体重の減少は、入院中の ADL 低下に影響を及ぼす危険因子と言わ
れ、こうした因子には本人の栄養状態が大きく影響すると言われている。今回、当院回
復期病棟入院患者における GNRI 値に注目し、患者の身体状況や ADL との関係性につ
いて調査した。
【対象】
当院回復期病棟に入院された男性 26 名(77.9 ± 9.9 歳)、女性 27 名(83.3 ± 9.6 歳)
計 53 名。
【方法】
対象者の GNRI、HbA1c、Alb、FIM、筋肉量、身体所見(AC、TSF、AMC、CC)を
入院時から退院時まで月に 1 度の頻度で測定した。そして、入院時の各項目と退院時
FIM の関係性を Pearson の相関分析を用いて検討した。また、入院時 GNRI のカット
オフ値(91)
に注目し対象者を 2 群(低栄養群 / 非低栄養群)に分け、退院時の各項目との関係を対
応の無い t 検定を用い検討した。
【倫理的配慮】
調査にあたり、個人情報の流出防止、匿名性の保持に十分配慮した。
【結果】
退院時 FIM と有意な相関が認められた入院時の項目は GNRI(r=0.407)と CC(r=0.453)
であった。次に、2 群の比較では、Alb、体重、AC、CC、筋肉量の項目にて、低栄養
群で有意な低値を示した。
【考察】
入院時の GNRI および CC と退院時 FIM に関連性が認められたことから、ADL 向上を
図るうえで入院早期から栄養状態(GNRI)の把握とアプローチが必要だと考える。さ
らに両群比較の結果から、入院時の栄養状態によりリハビリアプローチを調節する必要
性が示唆されたと考える。調査を通し、低栄養患者に対する早期アプローチの必要性、
管理栄養士との連携の重要性を再確認することができた。
45
分類:一般演題 理学療法
P-05.
「脳出血発症後に急性心不全・呼吸不全を合併した 1 症例の経口摂食早期開始に向け
た離床介入について」
社会医療法人財団新和会八千代病院
上村 哲也(理学療法士)
【はじめに】
急性疾患の治療期に全身状態が悪化すると、安静臥床を強いられて経静脈栄養が遷延す
る例は多い。姿勢管理が不適切なうえ、経静脈栄養のみでエネルギーが不足した状態が
続くと、廃用や合併症により全身状態がさらに悪化するおそれがある。急性期治療とし
て全身機能の低下とエネルギー不足を改善するためには、適切な姿勢管理と消化管機能
を使う経腸栄養を積極的に進める離床介入が必要である。しかし、全身状態が不安定な
患者にとって離床による活動量増大は身体に負担をかけるため、適切な負荷量の調節が
重要である。
脳血管疾患発症後に急性心不全・呼吸不全から下側肺障害を合併し経静脈栄養が遷延し
た 1 症例に対し、経口摂食の早期開始を目的に理学療法を実施したので報告する。
【症例】
80 歳代、女性、脳内出血(右前頭葉)
【方法】
●離床介入
①呼吸・循環生理にもとづく呼吸理学療法、座位・立位での姿勢変換練習と抗重力
位保持練習
②カ ロ リ ー IN/OUT( 収 支 ) を 管 理( 経 静 脈 栄 養 と 経 口 摂 食 = IN、 活 動 量 =
OUT)
●身体計測(体格指標)
体重、四肢周径囲、体組成(筋肉量、体水分量)InBody S20 を使用
【結果】
胸部 CT で下側肺障害が改善し呼吸状態が良好になった。座位レベルで口腔・嚥下機能
の評価が進み経口摂食が可能になった。カロリー収支を明確に把握して離床による負荷
量を調節できた。体格指標の低下はみられなかった。
【考察】
経静脈栄養のみの時期はカロリー収支が(-)であったが、呼吸理学療法として離床を
実施し姿勢管理不備が原因の下側肺障害が改善した。さらなる重症化を予防するため早
期に経口摂食開始したことでカロリー(-)の時期を短縮し、体格指標を維持できた。
経口摂食開始後のカロリー(+)の時期には活動量を増やし ADL 拡大した。
【まとめ】
本症例について、病態を把握して全身評価を行いながら、カロリー収支管理にもとづき
離床での活動量を調節したことにより身体機能を維持し、経口摂食を開始し、ADL が
向上した。
46
分類:一般演題 理学療法
P-06.
脂肪乳剤の末梢静脈栄養が体重維持に有効であった 1 症例
国立高知病院 リハビリテーション科
神野 麻耶子(理学療法士)、永野由 香里 岡野 義夫
【はじめに】
悪液質と筋肉量低下が顕著となる進行期がん患者に対するリハビリテーションにおい
て、メニューの工夫などの栄養介入が行われるが、治療中の体重減少を食い止めること
は困難なことが多く訓練負荷を落とさざるを得ない。今回、肺扁平上皮癌を再発した放
射線治療中の患者に対して患者の QOL 維持のため、脂肪乳剤を静脈投与しながら運動
療法を継続した結果、体重減少が回避できたので報告する。
【説明と同意】
患者代託者に症例報告の趣旨と目的を説明し、理解と同意を得た。
【症例】
60 歳台,男性,身長 160cm,入院時体重 49.1kg,BMI19,趣味は登山・サイクリング,
診断名は肺扁平上皮癌(Stage Ⅲ b),PS:1,現病歴:2013 年 8 月左下葉切除術施行,
2013 年 10 月〜2014 年 1 月 1stline 化学療法施行(体重 52㎏),2014 年 7 月左上葉に再
発が診断された。
【経過】
2014 年 7 月 11 日放射線治療のため入院,理学療法開始時の体重 50.9㎏,BMI19.9,筋
肉量 40.7㎏,SMI(四肢骨格筋指数)6.9,7 月 15 日より放射線療法開始後し 1300kcal
程度の食事摂取量となった。7 月 25 日体重 49.6㎏,8 月 5 日体重 48.4㎏と低下の一途
をたどり、患者には訓練負荷の減量を提案したが筋力訓練を継続したいとの希望が強く
主治医に上申した。8 月 15 日より 9 月 5 日の退院まで隔日で 250 m L の 10%脂肪乳剤
(275kcal)が投与され 8 月 27 日に放射線療法が終了できた。
【結果】
8 月 19 日の体重 47.1㎏,筋肉量 37㎏が最低値となったが,9 月 2 日の退院時は体重
47.5Kg,筋肉量 38.1kg,SMI:6.45 と脂肪乳剤投与後は体重が維持された。
【結語】
がんの栄養療法では、経口・経腸栄養の摂取が第一選択とされているが、本患者の場合、
経口摂取に静脈栄養を加えることで運動療法の継続と体重維持が可能であった。
47
分類:一般演題 理学療法
P-07.
栄養補給と運動療法の併用が地域在住高齢者の身体機能および能力に与える効果に関
する検討
聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部
田中 真希(理学療法士)、西田 裕介、臼井 晴信、後藤 未来、石田武 希
【目的】
高齢者の虚弱や易転倒の関連因子として血清ビタミン D(25(OH)D) 濃度が注目されてい
る。また、ビタミン D は高齢者で特に不足する。高齢者がビタミン D を強化した食品
を摂取することは、身体機能および能力を維持・向上させる可能性がある。今回、栄養
補給と運動療法の併用が地域在住高齢者の身体機能および能力低下の防止効果を検討し
た。
【方法】
対象は地域在住施設入所または通所高齢者とし、研究参加に同意し、摂食嚥下が良好な
女性 4 名 ( 平均年齢:74.5 ± 5.9) ビタミン D 代謝に影響する薬物内服者は除外 ) を栄
養補給群 2 名、栄養補給+運動群 2 名に分けた。4 週間介入し、栄養補給群は通常の食
事に加え、補助食品を 1 日 2 本摂取、栄養補給 + 運動群は補助食品を 1 日 2 本摂取に加え、
レジスタンストレーニングを含む運動を 1 日 40 分週 2 日実施した。介入前後に身長、
体重、BMI、筋肉量 (SMI;Skeletal muscle mass index)、下腿周径、握力、下肢最大
筋力、簡易身体能力バッテリー (SPPB;Short Physical Performance Battery)、Timed
up and go test(TUG)、歩行速度を測定、各対象の増加率を比較検討した。
【倫理的配慮】
本学倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
栄養補給群では SMI が 1.2〜2.3%、下腿周径が 4.8〜 7.2%増加し、栄養補給 + 運
動群では下肢最大筋力が 32.9 〜 34.9%増加した。体重、BMI、歩行速度は全対象で増
加し、握力と TUG は個人差があり、SPPB の減点はなかった。
【考察】
栄養補給群では SMI と下腿周径が増加し、筋萎縮予防効果が得られたと考えられる。
また、栄養補給 + 運動群では下肢最大筋力が増加し、筋肥大よりも神経的要因よる筋
力増強効果が得られたと考えられる。さらに歩行速度の増加や SPPB の維持は、栄養状
態の改善、脳および身体活動の賦活により、身体能力が向上したと考えられる。今回用
いた補助食品は、ビタミン D を強化した食品である。通常の食事に加えて摂取すると、
筋力低下を予防し、身体機能および能力を維持・向上に有効である可能性が示唆された。
【結論】
栄養補給および栄養補給と運動療法の併用は、栄養状態の改善、身体機能および能力低
下の予防に効果がある可能性が示唆された。
48
分類:一般演題 理学療法
P-08.
当院の大腿骨近位部骨折患者において、エネルギー充足率は ADL、栄養状態、生活
意欲に関連性があるか
医療法人 五星会 菊名記念病院 リハビリテーション科
中田 有香(理学療法士)、内科 庭野 元孝、栄養科 菊地 克巳
【目的】
当院の大腿骨近位部骨折患者の 76 %が術前にサルコペニアを呈しており、また入院中
に必要栄養量に満たない患者が多くみられると以前報告した。そこで、経口摂取からの
エネルギー充足率(以下充足率)と関与する可能性のある因子として ADL、栄養状態、
生活意欲に着目し関連性の有無を調査・検討した。
【方法】
2014 年 5 月〜12 月に当院で大腿骨近位部骨折の手術を施行した 65 歳以上の患者 90
名(平均年齢 84.4 ± 2.6 歳)を対象とした。評価項目は充足率、Barthel Index(以
下 BI)、CONUT、生活意欲の指標として Vitality Index(以下 VI)を用いた。充足率、
CONUT を術前・術後 7 日目(以下 POD 1w)、BI は受傷前・POD 1w、VI を POD
1w のそれぞれの評価値との相関係数を求めた。なお、充足率は摂取エネルギー量を必
要エネルギー量で除した値を%換算したものとした。
【結果】
充足率は、術前と比較し POD 1w では有意に向上した。POD 1w 充足率との関係は、
それぞれ受傷前 BI(順位相関係数ρ =0.34)、POD 1w BI(ρ =0.30)、VI(ρ =0.38)
であった。また、VI と BI との相関係数を求めたところ、受傷前 BI(ρ =0.50)、POD
1w BI(ρ =0.59)であった。CONUT 値は術前後ともに充足率との相関はなかった。
【考察】
当院での大腿骨近位部骨折患者のエネルギー充足率に関連する因子について調査を行っ
た。充足率と生活意欲、ADL 能力には弱いが有意な相関を認めた。術前と比較して
POD 1w で充足率が向上した患者は、生活意欲の向上や病棟 ADL の拡大と関連してい
ることが分かった。今回は充足率と 3 項目との関連性の有無を調査したが、今後より
多角的な検討を行う必要があると思われる。
49
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-11.
「食べたい」気持ちに寄り添う看護
医療法人大林会 福山こころの病院 看護部 1)、栄養科 2)、内科 3)、精神科 4)、歯科 5)
大村 美弥子(看護師)、徳永 季美枝 1)、小川 千鶴 2)、村尾 美樹 2)、増山 和彦 3)、
大林 正和 4)、猪原 健 5)、猪原 光 5)
【背景】精神科では治療薬剤の服用によりサブスタンスPが低下し、2 次的に嚥下障害
を生じやすく、摂食状況においては精神面の不安定さなどから「かき込み」
「丸呑み」
「一
口量」のコントロール不全の為、誤嚥しやすい状況が見受けられる。一方、精神症状(無
為・自閉)などでセルフケア不足となり、齲歯、歯周病などに罹患しているにもかかわ
らず、無自覚、無関心、拒絶のため口腔内保清に介入する事も難しい。
【目的】精神面、セルフケア不足、薬剤性などの様々な要因が重なり「嚥下性肺炎」を
併発した患者を対象に、急性期から経口摂取に至るまで当院での治療経過について報告
する。
【対象】統合失調症で嚥下性肺炎を併発した患者に対し、スクリーニングを行い①患者
から経口摂取再開に対して強い希望②繰り返す誤嚥性肺炎③訪問歯科診療(歯科医、言
語聴覚士、歯科衛生士)が介入できる環境の患者を対象とした。
【方法】転棟 7 日以内に訪問歯科診療を依頼、精神症状が安定した時点で、呼吸器専門
病院へ受診し、器質的疾患の有無を確認した。
毎週 1 回の訪問歯科診療で嚥下評価と食形態の提案を基に口腔ケア、嚥下リハビリ、個々
に合ったポジショニングについて毎週カンファランスを行い、日々のケアを看護師が継
続して実践し、多職種が情報の共有を行った。
【結果】口腔ケア、嚥下リハビリを日々行う事により、患者自身に口腔内の爽快感が得
られた。また、歯科治療にて徐々に咀嚼も可能となり嚥下状態に合わせた食事や、ポジ
ショニングを工夫する事で「もっと食べたい」「ご飯が食べたい」と患者自身が食への
意欲と自信に繋がり、精神面の安定化と看護ケアの励みにもなった。
【結語】、抗精神病薬の服用により嚥下状態も変化する事を理解し、多職種と連携を取り
ながら日々のケアを実践し、患者の「食べる楽しみ」の思いに寄り添う精神科看護を展
開していきたいと思う。
50
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-12.
気管切開術後経鼻栄養管理の患者に対し、摂食嚥下チームが介入することにより 3 食
経口摂取が可能になった 1 症例
西記念ポートアイランドリハビリテーション病院
垣谷 知佐(管理栄養士(栄養士))、増田 洸一、赤羽 美恵子、浅井 季美、三浦 真香、福田 優子、大岩 信之
【目的】
療養病棟において、経鼻栄養管理のみであった患者に対し、多職種からなる摂食嚥下チー
ムの介入により、3 食経口摂取が可能となった症例を報告する。
【症例】
65 歳女性。左被核出血により開頭血腫除去術後、意識レベルの改善がみられず気管切
開術をうけ、療養目的で当院に転院となった。転院時、Glasgow Coma Scale(GCS)
:
E4VtM5、身長 168㎝、体重 73.4Kg、BMI26.0、血清アルブミン値 3.7g/dl であった。また、
嚥下機能面では痰量が多く唾液誤嚥レベルであった。
【経過と結果】
入院当初は覚醒にムラがあり、痰量も多く経口による栄養補給は難しい状態であると
考えられ、経鼻栄養管理であった。リハビリは両上下肢の拘縮予防に重点が置かれて
いたが、第 178 病日より言語療法の介入開始。第 210 病日、言語聴覚士による嚥下訓
練時にゼリー 1 個摂取し、むせなく 10 分で完食される。第 213 病日、嚥下造影検査実
施にてゼリーや刻み食の摂取が可能であると判断し、第 218 病日より昼のみ経口摂取開
始となる。第 389 病日より昼夕の 2 回経口摂取に移行し、第 461 病日より 3 食経口摂
取へ移行することができた。栄養状態は、経口開始時は体重 67.7Kg、BMI24.0、血清
アルブミン 3.5g/dl であったが、3 食経口摂取移行後の第 477 病日には体重 63.8Kg、
BMI22.6、血清アルブミン 3.1g/dl と低下がみられた。
【考察および結論】
入院当初は覚醒レベルの面から見て経口摂取は難しいと判断するも、摂食嚥下チームの
介入により、嚥下機能の改善がみられ、3 食経口摂取が可能となったと考えられる。経
口摂取移行後に見られた栄養状態の低下は、
嚥下食の栄養量が経腸栄養剤に比べ低い
ことにあるためであると考えられ、嚥下食の改善が課題となった。
51
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-13.
急性期病院における栄養 摂食嚥下リハビリテーションの取り組み
〜病棟看護師との連携から〜
国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター
高橋 雄介(言語聴覚士)、松川 陽平、林 宏則、山下 芳典
【はじめに】
国立呉医療センターでは、毎年各病棟に対して言語聴覚士が嚥下についての勉強会を実
施している。勉強会の内容の理解と定着、見直し、今後の課題などを検討するため、勉
強会前後でアンケートを実施した。
【対象】
当院に勤務し、平成 26 年度の言語聴覚士の嚥下の勉強会に参加した病棟看護師のうち、
アンケートに協力を得られた 118 名。
【方法】
勉強会の前後にアンケートを実施し、データを集計した。アンケートの内容、経験年数、
所属病棟、15 個の質問項目。質問項目は 1〜 4 段階で回答してもらった。
【結果】
勉強会前の参加人数は 114 人(平均経験年数 5.3 年)、勉強会後の参加人数 118 人(平
均経験年数 5.38 年)、だった。勉強会前のアンケートの合計得点は 30.8 点、勉強会後
の合計得点は 47.8 点だった。勉強会前に得点が低かったのは、項目 6 と 7 で、それぞ
れ 1.37 点と 1.42 点、勉強会後は 2.92 点と 2.86 点だった。勉強会前後で得点の変化が
大きかったものも項目 6 と 7 で、変化はそれぞれ 1.55 と 1.44 だった。勉強会前後で得
点の変化が小さかったものは、項目 10 〜15 で、すべて 1 未満だった。勉強会前後で最
も得点が高かったものは項目 12 で、3.78 点だった。
【考察】
項目 6 と 7 は、重症患者に対する嚥下評価についてで、多くの人が苦手な内容と思われ
たが、講義によって理解を深めることができたと思われた。項目 10 〜15 は嚥下障害の
ある患者への対応や嚥下訓練の方法などについてであり、得点が伸びなかった原因とし
ては、講義の後半だったので十分な講義時間が取れなかったことなども一因と思われた。
得点の伸びが低いので、今後はこれらの項目について十分に講義し、理解を深めること
が課題と思われた。また、項目 12 のように動画を用いて講義したものは得点が上昇し
ており、分かりやすい講義を心がける必要があると思われた。
52
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-14.
多職種連携で目標を共有し胃ろうから経口摂取へ移行した在宅栄養支援の一症例
はみんぐ南河内
時岡奈穂子(管理栄養士(栄養士))、桝井悦子、香田文、杉本葉子(わたなべ往診歯科)
【はじめに】
在宅患者の QOL 向上において経口摂取に向けた支援は重要な要素であるが、在宅患者
の場合、多事業所にわたる専門職の連携が課題となる。今回、多職種連携により、胃ろ
う患者の経口摂取への移行と QOL 向上を目的とした取り組みを経験したので報告する。
【症例とその結果】
67 歳、男性、脳梗塞後遺症、左片麻痺、嚥下障害、誤嚥性肺炎、糖尿病。2015 年 1 月
在宅療養開始とともに訪問歯科による義歯調整、月 4 回歯科衛生士による口腔ケアを実
施、同 4 月より認定歯科衛生士による摂食訓練を行った。MNA は 6 点であり、食思乏
しいがビールが飲みたいとの希望。ADL・QOL 向上に向け専門的な栄養知識や食形態
調整、調理担当の家族への支援が必要と判断し、5 月より訪問栄養指導を開始した。開
始時の体重 52.0kg、AC24.
0 cm、BMI15.9、指示エネルギー 1500kcal に対し胃ろう
からの摂取量 1400Kcal。食事へのこだわりが強く、経口摂取量は不安定であった。本
人の目標である「友人とビールを飲みに行く」を職種間の共有目標に、管理栄養士によ
る月 2 回の指導は栄養介入・食行動変容のモニタリング・家族への支援とし、経口摂取
量と胃ろう注入量の調整を行った。歯科衛生士の月 4 回の摂食訓練では、食事前の準備
体操、粘膜ブラシによる口腔内の清掃マッサージ後義歯装着など行った。また、職種間
で情報共有を行い、口腔体操や義歯装着の声かけを実施した。栄養指導開始 3 か月後、
体重 60.0kg(+ 8.
0kg)、AC26.
3㎝(+ 2.
3㎝)、BMI18、MNA10 点、経口からの摂
取エネルギー約 1450kcal。食思改善し経口摂取へと移行、歩行訓練を前向きに行って
いる。
【まとめ】
本症例では、本人の目標達成への思いを中心に口腔機能を確認しながら多職種連携が進
んだことにより、行動変容定着と経口摂取量増加に向けたチームアプローチができたと
考える。
53
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-15.
患者に寄り添い共に食への関心を追求し続ける看護
医療法人大林会 福山こころの病院 看護部 1)、栄養科 2)、内科 3)、精神科 4)、歯科 5)
德永 季美枝(看護師)、大村 美弥子 1)、小川 千鶴 2)、村尾 美樹 2)、増山 和彦 3)、
大林 正和 4)、猪原 健 5)、猪原 光 5)
【 目的 】 精神症状の増悪から拒食・拒薬が長期化した際には身体面での侵襲も大きく栄養状態も
著明に低下する。身体面 ・ 精神面双方を全人的に捉え、全身状態の把握と栄養管理が必
要である。
今回、胃ろうを導入した患者が NST・担当看護師などのサポートを得て「口から食べ
たい」という本人の希望を叶え、経口摂取が可能となり精神面の安定が得られ、希望さ
れる場所への退院が可能となった症例を報告する。
【 対象 】 精神症状の増悪で拒食・拒薬が長期化し身体合併症(嚥下性肺炎、褥瘡など)を生じ、
BMI:18 以下、血清アルブミン値:3.0 / dl 以下、体重減少:5%以上/月を認め主治
医より NST へ依頼があり、新規に胃ろう造設を施行し経口摂取が可能となった 8 症例
を対象とした。
【 結果 】 精神症状が重篤で身体合併症を併発している患者においては、主治医 ・ 担当看護師・
NST などが医療チームとして情報を共有し、全身状態の把握や治療・看護ケアプラン
を作成し実施、評価を行って行く必要性がある。
胃ろう造設後より確実な内服と栄養補給が可能となり、精神症状はもとより身体合併症
も改善が見られた。精神科看護では食生活の場においても、患者の意志疎通の改善が得
られるよう患者の心に寄り添い、患者の思いを受け止め「希望」を叶えようと努力する
ことで、患者に精神的な安定をもたらし ADL・QOL の向上と共に、日常生活の自立度
を上げ施設への退院が可能となった。
【 結語 】 こころ」の医療・看護を行う当院では、‘ 食 ’ の場においても心身の改善が得られるよ
う患者の言葉をしっかりと受け止め、患者の心に寄り添いあきらめず、共に食への関心
を持ち連携しポジティブに関わり工夫を重ねたことで、患者の日常生活の自立度を上げ、
望まれる場所への退院が出来た。「口から食べる」ことで心の安定をも得られその大切
さを再認識することが出来た。
54
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-16.
摂食・嚥下・口腔ケア部会の部会活動報告
― 部会との架橋となる認定ナース育成と今後の課題 ―
地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立広島市民病院
藤井 博美(看護師)、千代延 昭子、澤木 康一、村岡 賢一郎、辻 倫子、若松 和子、
世良 厚子、大宇根 浩一、岡野 周子、冨田 佳菜子、井口 郁雄
【目的】
急性期病院では、高齢化や重症化が進んでいる。そのため、個別性が大きく、全身管理
と並行して、状況に合わせた栄養管理を視野に入れた摂食・嚥下障害への関わりが必要
である。摂食・嚥下障害には、様々な原因があり、多職種でのチーム医療の介入は、患
者の回復に大いに貢献できる。部会の活動を理解し早期介入を可能とする、病棟で役割
モデルとしての活動を目的に部会の認定ナースの育成を行った。
【方法】
対象者は、摂食・嚥下・口腔ケア部会が開催する 8 回の研修会に全て出席し、部会が実
施する試験に 8 割以上の成績を収めた者とした。
【結果】
全研修会を参加した 13 名が受験し全員合格した。合格者には、病院長から、認定証が
発行され、名札には部会の認定ナースであることを明記した。認定ナースは、資格を取
得したことに達成感を持ち、名札のシールに対して、患者、家族、職員からも「これは
どんな意味のシールですか?」との質問を受ける反響も出ている。
【考察及び課題】
チーム医療は、治療完結のための目標達成ツールとして、急性期医療では必須である。
また、摂食への介入は、患者の生活の質の向上、栄養改善に、重要な関わりである。認
定ナースは、1 年間の研修のみでは技術的な面での不安があり、ステップアップ研修の
要望がある。今後は、病棟の現状及び問題点の意見交換を定期的に行い、年度末には、
関わった事例の紹介及び活動情報交換会を開催予定である。認定ナースが実施してみた
い業務と病棟からの認定ナースへの要望の内容がほぼ一致していることから、活動が定
着すれば、効果が望めると考えるが、どのように活動を拡大していけば良いか不安との
声が多い。現場で、即活用できるパンフレットやリーフレットの作成、知識や技術が継
続できるステップアップ研修の検討が必要である。
55
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-17.
先天性疾患のため摂食機能が低下していた児に対する摂食機能訓練
広島市立広島市民病院 小児科病棟 接触嚥下口腔ケア部会
尾門 愛子(看護師)、上甲 貴江
【はじめに】
小児期からの摂食障害の中には先天性疾患のために出生後から手術・治療を繰り返し、
摂食機能の獲得が困難な症例がある。我々は,長期に渡り集中治療を受け、生後 1 歳 2
カ月まで経口摂取経験のない患児へ摂食訓練を行った。患児へ摂食訓練を開始した際に
最も困難だった事は強い拒否反応であった。今回この症例について報告する。
【症例】
1 歳 9 ヵ月男児、左横隔膜ヘルニア、肺低形成、PDA 開存、VSD、PH、GER の診断。
里帰り出産のため他県で出生後、自宅退院を目指すため生後 8 カ月で当院へ転院。左横
隔膜ヘルニア術、気管切開術、イレウス解除術、PDA 結紮術、噴門形成術後。呼吸器
離脱が困難で出生時より呼吸器管理を継続した。栄養は経鼻胃管から注入を行い、成長
発達は年齢相当ではなく認知面において遅れが生じていた。摂食訓練開始時は口唇に食
物を付着させても反応を示さず、口腔ケアなど口周囲の刺激に対し涕泣した。そのため
ST や病棟保育士らと連携を図り、摂食訓練を行う環境を整え楽しさを感じながら口周
囲や口内に食物を入れる行為に慣れるよう取り組んだ。また、家族へ摂食訓練への参加
を促し協力を得るとともに、分離状態の母子の愛着形成を促進できるよう働きかけた。
現在、上記の介入を引き続き継続している。
【考察】
患児は出生後から摂食嚥下機能の発達を促す刺激を受けて来なかった。そのため、経口
摂取に対する拒否が強くその表現が涕泣だった。認知機能が低く口周囲へ与えられた刺
激が不快であり、刺激に対する恐怖が拒否の理由と考えられた。患児の現在の機能と取
り戻せる機能、取り戻せないが発達を促せる機能に向けて支援を行う必要があり、早期
から経口摂取による栄養獲得を視野に入れ、口腔周囲へ快の刺激を増やし拒否反応を減
らすような介入が必要だったのではではないかと考える。そのためには早期から摂食機
能獲得に向けて Ns,ST の介入が望ましいと考える。
56
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-19.
嚥下チームの介入により経口摂取が可能となった一例
医療法人創和会 重井医学研究所附属病院
大谷 紀子(言語聴覚士)、菊川 智、清水 賢児、小笠原 有美、上村 美香子、
千田 京子、真鍋 康二、福田 裕子、藤原 綾花、山本 道代
【はじめに】
当院は、平成 25 年5月より嚥下ラウンド開始。翌年1月に嚥下チームに外来歯科が
加わり、栄養・呼吸・歯科の3つの軸で活動を行っている。今回、多職種連携・嚥下
チームの介入により、経口摂取困難と思われていた患者の嚥下機能・栄養状態の改善と
QOL の向上に寄与出来た症例を報告する。
【症例】
100 歳代女性。平成 22 年 11 月に脳梗塞発症後、状態が安定したためリハビリ目的で当
院転院となる。入院当初は少量の経口摂取を行っていたが微熱が続き、病日 70 日目に
誤嚥性肺炎を発症。その後、絶食となり経鼻経管栄養のみで栄養管理となっていた。
【経過】
平成 26 年2月、維持期患者の口腔評価を目的とした歯科ラウンドを行った。症例は、
歯周病、感染誤飲リスクの高い動揺歯、重度う蝕があり、抜歯・プラークコントロール・
嚥下訓練目的で歯科介入となり、介入後慢性炎症が改善された。翌年3月、歯科介入の
経過をみた看護師から食べられるのではないかと声が上がり、家族からも最後の楽しみ
で本人も喜ぶと思うと嚥下評価の希望聞かれ、主治医より、嚥下チームへ経口摂取評価
の依頼あり。症例は呼吸異常パターン(息こらえ)が、嚥下パターンの妨げになる可能
性が指摘されたが、摂取時はパターンの切り替えが可能。「おいしい」と発語もみられ
るようになり、5月には、車椅子で粥やミキサー食などお楽しみレベルの経口摂取が可
能となった。離床時間増加後、次第に体重減少がみられ、管理栄養士より栄養量不足の
指摘あり、800kcal(蛋白 40g)から 1000kcal(蛋白 50g)に変更し、栄養の改善を図っ
ている。
【まとめ】
今回歯科との連携で適切な口腔衛生管理が可能となり、多職種協働で情報共有し状態
に応じた対応を実施することによって、嚥下機能や栄養状態の改善、QOL の向上を図
ることができた。今後も対象者にあった活動ができるよう取り組んでいきたい。
57
分類:一般演題 摂食嚥下機能障害
P-20.
当院 NST が介入した嚥下機能障害症例の検討
広島市立広島市民病院 栄養室
礒崎 絵吏(管理栄養士)、原野 雅生、冨田 佳奈子、中村 香里、藤村 弥穂、
巴山 志織、辻 倫子、田中 美樹、田中 千晶、平野 敬子、松岡 紗由理
【目的】
栄養障害として NST が介入した嚥下機能障害、呼吸器合併症を認めた症例を検討し、
報告する。
【方法】
平成 25 年度に NST が介入した 235 症例のうち、嚥下障害、誤嚥性肺炎と診断された
68 症例 28.
9%について、耳鼻咽喉科による嚥下機能評価の有無、評価の内容、また、
評価を行わなかった理由を検討した。
【結果】
男:女= 46:22 で、年齢は 16 歳から 96 歳、平均 73 歳であった。疾患の内訳は、循環
器疾患 11 例、神経疾患 11 例、脳梗塞出血7例、消化器癌7例、敗血症(消化器6例、
尿路4例、その他5例)、腎不全3例、整形外科疾患3例、頭頸部癌、肺癌、泌尿器癌、
白血病それぞれ2例、その他3例であった。
嚥下機能評価は 47 例 69.1%に行われ、藤島分類 Gr1 が1例、Gr2 が 17 例、Gr3 が3例、
Gr4 が2例、Gr5 が1例、Gr7 が4例、Gr8 が2例、Gr9 が3例、Gr10 が9例、評価不
能5例であった。評価が行われなかった 21 例は、意識レベル低下 10 例、緩和ケア5例、
既に評価済み3例、食思不振、経口摂取可能、イレウスがそれぞれ1例であった。
【考察及び結論】
当院では、NST と、摂食嚥下口腔ケアチームが、それぞれ別のチームとして活動して
いるが、耳鼻咽喉科を中心に、多岐にわたる疾患、診療科を横断的に網羅しており、今
回の検討では、チーム間の連携不足により不利益を生じた症例はなかった。NST に、
言語聴覚士、歯科衛生士の参加があり、また、両チームに重複して参加するメンバーが
いることも一因であると思われた。一方で、サルコペニアの観点からの評価がないこと
や、嚥下機能評価後のリハビリテーションと、栄養療法の共通したプログラムがないこ
となど、改善していく余地があると考えられた。
58
分類:一般演題 口腔ケア
P-21.
入院時の口腔機能障害はリハビリテーションの予後予測因子である。
熊本リハビリテーション病院
白石 愛(歯科衛生士)、吉村 美江、辻 友里、嶋津 さゆり、備瀬 隆広、吉村 芳弘
【目的】
高齢者には口腔機能障害を多く認め、口腔機能障害は低栄養や骨格筋量低下、低 ADL
と密接な関連があると考えられる。高齢者のリハビリテーション(以下、リハ)におい
て低栄養や骨格筋量減少はリハの転帰と負の関連が示されているが、口腔機能障害につ
いては明らかにされていない。そこで本研究では、リハの転帰の予測因子としての入院
時口腔機能障害について検討した。
【方法】
2013 年 6 月から 10 月の間に入院した 65 歳以上の全患者 108 名(男性 53 名、女性 55 名、
平均年齢 80 ± 7 歳)を対象とした前向きコホート研究。入院時に改定口腔アセスメン
トガイド(ROAG:スコア 8 〜 24 点)を用いて口腔機能評価を行い、退院時の日常生
活動作(FIM)に対する独立予測因子を多変量解析にて検討した。検討項目は、年齢、
性別、原疾患(脳血管、運動器、廃用症候群)、入院時の骨格筋量(下腿周囲長)、握力、
FIM、栄養状態(MNA-SF)
、A lb、とした。全ての統計解析を危険率 5%とした。
【結果】
入院時 ROAG スコアで口腔機能に問題なし(8 点)が 15 人(13.9%)、軽度の機能障害(9
〜 12 点)が 59 人(54.6%)、中〜重度の口腔機能障害(13 点以上)が 34 名(31.5%)
であった。入院時 ROAG スコアは年齢(R=0.36)、骨格筋量(R=-0.57)、握力(R=-0.58)、
FIM(R=-0.59)、MNA-SF(R=-0.49)と有意な相関を認めた。多変量解析では退院
時 FIM の独立した予測因子として、入院時 FIM、ROAG, 握力が抽出された(Beta=0.76、
-0.13,0.11)。さらに男女別に同様の解析を行ったところ、男性では退院時 FIM に入院
時 FIM と ROAG が関与し(Beta0.79、-0.21)、女性では入院時 FIM と握力が関与し
ていた(Beta=0.75,0.28)。
【考察】
高齢入院患者では大半に口腔機能障害を認め、口腔機能障害の重症度はリハのアウトカ
ム(退院時 FIM)の独立した予測因子であった。高齢リハ患者に対する入院直後の口
腔機能スクリーニングの重要性が示唆された。
59
分類:一般演題 口腔ケア
P-22.
神経難病患者への多職種介入の必要性を感じた 1 例
脳神経センター大田記念病院
田口 誠子(管理栄養士(栄養士))、猪原 健、井上 雅博
【はじめに】
当院は年間 3000 台の救急搬入を受ける脳疾患専門病院であるとともに、神経難病専門
病院でもある。神経難病患者はより早期に栄養介入を行い、るい痩の予防を行うことが
必要であるとされている。
今回、医科・歯科・リハビリスタッフとの連携と栄養介入の必要性を感じた在宅療養患
者の 1 例を報告する。
【症例】
80 歳代、女性。パーキンソン病(ヤール 5)・認知症。BMI 13.6。40 歳頃よりパーキ
ンソン病にて加療中であり、現在、要介護 5 で通所サービスや訪問診療を利用しながら
在宅療養中であった。主介護者は長女。在宅での摂取エネルギー量は 500kcal/ 日程度
であった。本人・家族の希望は経口摂取であり、胃瘻造設の希望は無かった。
【経過】
平成 27 年○月中旬から脱水、貧血の症状が出現した。食事摂取量が低下し、かつ内服
も困難となったため入院となる。入院中は内服コントロールと摂食嚥下リハビリによる
経口摂取継続の支援を行い内服コントロールにより覚醒状態は改善した。言語聴覚士や
作業療法士等による食事環境の設定と、管理栄養士による介入により、徐々に食事摂取
量が増加した。退院後、訪問歯科医による嚥下状態の確認も行った。家族に対して栄養
補助食品の導入や安全な食事介助の提案を行なう事により、症状が安定し退院後の訪問
診療・訪問歯科・訪問リハビリ・訪問管理栄養士が継続して介入を行っている。
【結果と考察】
内服の調整と多職種による食事支援により、栄養状態は改善傾向となった。また、家族
の食事に対する不安の軽減につながった。地域において医療・介護連携が十分でないた
め、在宅療養患者における栄養管理が十分に行き届いているとは言いがたい。神経難病
患者はその疾患の特性から、食物の送りこみや嚥下に障害があることが多いことが知ら
れている。在宅療養中の神経難病患者に対して、多職種が早期に連携をとり、積極的に
介入していくことで栄養状態の維持・向上を図ることができる可能性が考えられた。
60
分類:一般演題 口腔ケア
P-23.
口腔からのアプローチによるフレイル・サルコペニア予防
呉共済病院歯科口腔外科
森信 惇平(歯科医師)、東森 秀年、冨本 麻美、室積 博、米田 進吾、新土井 宣晶、
寺本 雪乃、新谷 陽美、森棟 春菜、河本 香奈子
近 年、 生 活 機 能 障 害 を 招 き 健 康 長 寿 の 妨 げ に な る と し て フ レ イ ル(Frailty) や サ
ルコペニアが非常に注目されており、一般的にもその認知度は高まりつつある。現
在 サ ル コ ペ ニ ア の 診 断 基 準 は European Working Group on Sarcopenia in Older
People(EWGSOP)、International Working Group on Sarcopenia(IWGS)、Asian
Working Group for Sarcopenia(AWGS)などで定義されており世界的には統一されて
おらず、それぞれの基準をもとに握力や歩行速度、骨格筋量などの測定が行われている。
このうち握力と咬合力には相関関係があるという報告があり、義歯の無装着による転倒
のリスク上昇は歩行速度測定と関係している可能性がある。これらのことより、安定し
た咬合の有無がサルコペニアの診断に影響を及ぼす可能性があることが示唆される。ま
た、リハビリテーションの現場で働く看護師や理学療法士、作業療法士などには義歯へ
の関心やこれらの関係についてあまり理解がされていないことが当院でのアンケート調
査にて分かっている。以上のことから、咬合や義歯についての理解を深めたり、適切な
管理を行なったりすることで診断の精度を高め、フレイル・サルコペニアの予防が可能
ではないかと考える。また、咬合の安定以外のアプローチとして、摂食嚥下訓練や舌圧
強化などの方法についても今後の展開が期待される。
今回は口腔機能管理を担っている歯科医師や歯科衛生士の立場から、フレイルやサルコ
ペニアに対する予防のために、現場で働くプロフェッショナルのみならず、家庭でも積
極的に行っていくべきこととその実践方法について文献的考察を踏まえ検討したので報
告する。
61
分類:一般演題 言語療法
P-31.
摂食嚥下機能改善に至った超高齢下肢骨折患者
公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院
新岡 ひかり(言語聴覚士)、野村 智子、永田 幸生
【はじめに】
近年、リハを行うためには、それに見合ったエネルギー、蛋白質の摂取が必要とされて
いる。
今回、3 ヶ月後に食事摂取可能となった、超高齢下肢骨折患者を報告する。
【症例】
患者:90 歳代 男性
現病歴:転落し受傷。左頸腓骨開放骨折と診断。
初期評価(5 病日):JCS= Ⅰ -3。認知症あり。藤島の嚥下 Gr.2。
栄養指標:身長 162cm、体重 54.8kg、BMI22
【経過】
1 病日 :アルブミン値(以下 Alb)2.8g/dl。経管栄養開始(1200kcal)。
5 病日 :Alb2.2g/dl。言語聴覚士(以下 ST)による間接嚥下訓練開始。せん妄強い。
20 病日:直接嚥下訓練開始。
49 病日:熱発あり。直接嚥下訓練中止。
59 病日:痰量減少。直接嚥下訓練再開。日中の覚醒良好。
87 病日:Alb3.0g/dl。嚥下調整食(ミキサー、350kcal)+ 経管栄養(800kcal)から食
事開始。
96 病日:Alb2.9g/dl。嚥下調整食(半固形、970kcal)+ 経口からの補助栄養(600kcal・
高栄養ゼリー)に変更。経管栄養終了。
【考察】
本症例は、3 食経口摂取可能となった成果と、経口摂取確立までに 3 ヶ月を要した課題
が示される。
経口摂取可能となった要因は、早期からの ST リハによる口腔内の知覚刺激により、せ
ん妄が改善し、咽喉頭部の知覚が賦活されたと考える。同時期に積極的な ST リハが可
能となり、嚥下機能改善に至ったと考える。
一方で、経口摂取確立までに 3 ヶ月を要した要因は、投与エネルギーが影響したと考え
る。本症例のエネルギー必要量が約 1650kcal であったのに対し、実際の投与エネルギー
は 1200kcal であった。また、入院時の Alb 値が低値であったことに加え、下肢骨折の受傷・
手術による侵襲、その後の臥床安静による活動の制限も低栄養状態を遷延させた要因に
なったと考えた。必要エネルギー量に対し、摂取・消費エネルギー量が不足したことが、
創部治癒・嚥下機能改善に影響を及ぼし、せん妄の改善後も経口摂取開始に時間を要し
たと考える。
嚥下機能の改善には十分な栄養量の確保が必要であり、ST は主治医に適切な栄養量
の増量を働きかけていくことが重要である。
62
分類:一般演題 栄養療法
P-41.
回復期病院での NST 発足における栄養状態と FIM に与える影響について
みどり野リハビリテーション病院リハビリテーション科
長内 祥太郎(理学療法士)、若林 厚史、丸島 さゆり、原 昌彰、志賀 千紘、
加藤 茜、山田 彩、横野 裕行
【背景】
近年 NST の重要性が認知されてきており、リハビリテーションと栄養の関連性と相
乗効果を指摘する報告がされている。当院では 2014 年度より栄養サポートチーム ( 以
下 :NST) が発足した。全症例 NST の対象とし、入院直後と必要な症例には継続的なフォ
ローを行う体制をとっている。
【目的】
NST 発足前後で栄養状態と機能的自立度評価法 ( 以下 :FIM) の運動項目 ( 以下 :m-FIM)
と認知項目 ( 以下 :c-FIM) の改善に差が認められるかを調査した。
【対象と方法】
2013 年 ( 以下 : 非介入群 )、2014 年 ( 以下 : 介入群 ) の各 4-7 月に当院に入院した症例で、
体重、血液データと FIM を入院から 2 ヶ月間評価した 109 名を対象とした。調査項目
として入院時、1 ヶ月後 ( 以下 :1mo)、2 ヶ月後 ( 以下 :2mo) の BMI・TP・Alb・CRP・
m-FIM・c-FIM を後方視的にカルテより抽出した。条件設定として全体・脳血管・運
動器の 3 項目に対し、各々項目別に介入の有無と入院時期の 2 因子で反復測定分散分析
を行い、主効果、交互作用を認めたものは下位検定を行った。有意水準は 5% 未満とした。
【結果】
全体項目では、BMI の非介入群にて 1mo から 2mo に有意な低下、TP の非介入群にて
入院時から 2mo に有意な低下、TP・Alb の介入群にて入院時から 1mo に有意に増加、
2 群共に c-FIM にて入院時から 1mo に有意な増加を認めた。脳血管項目では、TP に
て非介入群より介入群に有意な低下がみられ、c-FIM の非介入群にて入院時から 1mo、
介入群にて入院時から 2mo に有意な増加がみられた。運動器項目では、TP・Alb では
入院時から 2mo に非介入群では有意な低下、介入群では有意な増加がみられた。また、
c-FIM の介入群にて入院時から 2mo に有意な増加、CRP の介入群にて入院時から 1mo
に有意な低下がみられた。m-FIM は 2 群共に全項目で入院時から有意な増加を認めた。
【結語】
NST 介 入 後 は 全 体 で の BMI の 低 下 抑 制、 全 体・ 運 動 器 項 目 に て 入 院 2 ヵ 月 後 の
TP・Alb の有意な増加、運動器の CRP で 1mo 後に有意な低下がみられた。以上より特
に運動器にて栄養状態と認知機能に NST 介入による影響が示唆された。
63
分類:一般演題 栄養療法
P-42.
回復期リハ病棟退院後の栄養状態変化によりセラピストが栄養介入した症例
医療法人 松徳会 花の丘病院
岡 道生(作業療法士)
【はじめに】
回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ)退院後、デイケア(以下、DC)
再利用となった症例に対して栄養介入した約3年間の経過について報告する。
【症例】
症例は既往に脳卒中左片麻痺がある独居の 74 歳男性。4年前に胃癌を呈し、全摘出術
後感染症による廃用症候群にて、当院回復期リハへ入院した。入院前は身長 158.5cm、
体重 59.5kg、BMI23.8、MNA14 点であった。退院後、独居生活維持目的に DC 利用
したが、吐気や倦怠感を理由にリハに消極的であった。食事は1日3回摂取していたが、
消化に不安の訴えがあり、退院から2ヶ月後には肺炎で一時入院した。
回復期リハ退院後から半年で体重が 48.9kg、BMI は 19.4、MNA10 点、下腿周囲長(以
下、CC)は 29㎝まで低下した為、摂取指導と栄養改善目的に栄養介入した。TEE を
実測体重より推定(1249kcal)し、栄養補助食品(ジャネフ:ファインケア)1 日2本
400kcal を付加し、標準体重である 54.9kg を目標とした。体重測定は毎月、MNA は3ヶ
月毎に実施した。
【結果】
体重は介入後 18 ヶ月で標準体重となった。介入開始時は食事摂取時間の調整に苦慮
した。摂取量は夏季に低下し、体重減少がみられた。MNA は介入後 12 ヶ月で 12 点、
CC は 30cm となった。34 ヶ月では MNA の点数は維持し、CC は 33.5cm まで向上し、
リハには積極的に参加し、筋力トレーニング、階段昇降を再開した。
【考察】
症例の生活スタイルから回復期リハ退院後、指導されていた分食を行えていなかった。
しかし、独居生活により食事内容や摂取状況の把握は困難であったが、本人から聴取す
ることができたため、栄養介入が可能であった。今回の症例では在宅生活継続には栄養
状態の把握が必要であり、セラピストは専門領域のみでなく、栄養評価の能力が求めら
れる。
64
分類:一般演題 栄養療法
P-43.
褥瘡と栄養障害を併発した脊椎損傷に対するリハビリテーション栄養アプローチ
産業医科大学病院
鈴木 達郎(管理栄養士(栄養士))
【目的】
栄養障害を認め、褥瘡を併発した脊椎損傷に対し、HMB・BCAA 栄養剤を使用した栄
養療法とリハビリテーション(以下;リハ)によって、褥瘡の治癒後、栄養状態と身体
機能を改善した症例を報告する。
【方法・結果】
67 歳、女性。前医にて急性硬膜外血腫(Th9-L4)発症後、両下肢麻痺(Th10 以下、触覚・
感覚脱失)が残存したため、リハ加療目的で入院した。身長 150㎝、体重 40kg(通常
時体重 41kg)、BMI17.8、Alb3.3g/dL、MNA-SF 6 点であり栄養障害を認めた。身体
計測・機能(MMT 上肢 5, 下肢 0)は、AC22.2㎝、TSF16㎜、AMC17.2㎝、CC21.5
㎝、握力は右 15kg、左 12kg であった。FIM は 58 点(運動 27 点、認知 31 点)であり、
理学療法と作業療法を 120 分実施。入院時より仙骨部褥瘡(5 点:d2,e1.s3.i1.g0.n0.
p0)を認めた。必要エネルギー量は、1442kcal(BEE994kcal, 活動 1.2, ストレス 1.2)、
たんぱく質量を 48g(1.2g/kg)に設定して食事を開始した。入院 47 日目に、褥瘡の悪
化を認めた(21 点:D4.e2.S6.I3.G4.N2.P4)。2 種類の栄養剤(HMB・アルギニン・
グルタミン・BCAA:エネルギー 358kcal、たんぱく質 10g)を追加し、116 日目から
は 1 種類の栄養剤(BCAA:2.5g)のみとし、リハを 1〜2 メッツの低負荷にて実施。
123 日目には、炎症が改善したためレジスタンストレーニングを中心としたリハへ移行
した。退院時評価 (185 日目 ) は、入院時と比較して Alb+0.4g/dL、MNA-SF +3 点、
体重 +1kg、AC+1.3㎝、AMC+1.9㎝、CC+0.5㎝改善を示した。また、FIM は +4 点(運
動)、握力が右 +3kg、左 +2kg であり、上肢機能(下肢 MMT0)も向上した。
【考察及び結論】
入院後に併発した褥瘡が FIM 向上の阻害因子となった。必要栄養量の充足と HMB 含
有栄養剤と BCAA 含有栄養剤を併用した栄養管理によって低栄養は改善を示し、リハ
による筋力も向上した。
65
分類:一般演題 栄養療法
P-44.
低強度及び中等強度のレジスタンス運動介入中の総たんぱく質摂取量の違いが地域在
住高齢女性の身体組成や身体機能へ与える影響
徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター
森 博康(管理栄養士(栄養士))、濱野 賢(兵庫大学健康科学部)、徳田 泰伸(兵
庫大学健康科学部)
1.はじめに
加齢に伴って生じる骨格筋量や身体機能の低下は加齢性筋萎縮 ( サルコペニア ) と呼ば
れ,歩行機能障害や転倒・骨折を引き起こし,高齢者の日常生活機能の低下や虚弱の要
因となる.近年,高齢者が自宅でも安全かつ簡単に実践できるホームエクササイズとし
て,自体重やラバーバンドを利用した低強度及び中等強度のレジスタンス運動の開発と
普及が注目されている.しかし,これまでに日本人高齢女性を対象とし,サルコペニア
予防のための骨格筋量や身体機能の増加を目的とした,低強度及び中等強度のレジスタ
ンス運動の介入中に必要な総たんぱく質摂取量について検証した先行研究は少ない.
本研究の目的は,自体重とラバーバンドを利用した低強度及び中等強度のレジスタンス
運動介入中の総たんぱく質摂取量の違いが,地域在住高齢女性の身体組成と身体諸機能
に与える影響について検証することである.
2.研究方法
本研究では,広報等を用いて介護予防教室の参加募集を行い,研究参加に応じた兵庫県
K 市のコミュニティセンター 3 施設に通う 65 歳以上の高齢者女性 151 名を対象者とし
た.本研究では栄養調査を行い,レジスタンス運動介入前の総たんぱく質量が,日本人
の食事摂取基準 2015 年度版の Recommended Dietary Allowance(RDA)に相当する 1.0
-1.1g/㎏体重程度を摂取している者を分析の対象とした.分析対象者を 12 週間,週
3 回のレジスタンス運動の介入中に RDA 以上の総たんぱく質量を摂取する群(HP+EX
群 : 1.2-1.3g/kg 体重 / 日 , n=15) と RDA に相当する総たんぱく質量を摂取する群
(MP+EX 群 : 1.0 -1.1g/kg 体重 / 日 , n=15) の 2 群に無作為に分けた.さらに本研
究ではレジスタンス運動を介入せず,RDA に相当する総たんぱく質量を摂取する群(MP
群 : 1.0 -1.1g/kg 体重 / 日 , n=17) を設定した.運動方法は,自体重とラバーバンド
を利用した 50-70%1RM 程度のレジスタンス運動を週 3 回,12-20 回,2-3 セット実践
するよう求めた.レジスタンス運動の介入前後に骨格筋量や体脂肪量、握力,膝伸展筋
力,最大歩行速度等を測定した.
3.結果および考察
各群間の骨格筋量の変化量を比較したところ,HP+EX 群は MP 群や MP+EX 群と比べ,
有意に高い値を示していた(MP 群:p<0.001,MP+EX 群:p<0.01). 各群の膝伸展
筋力の変化量を比較したところ,HP+EX 群は MP 群や MP+EX 群と比べ,有意に高い
値を示していた(MP 群:p<0.001,MP+EX 群:p<0.05).
本研究の結果,低強度及び中強度のレジスタンス運動の介入中における,RDA 以上の
1.2-1.3g/kg 体重 / 日程度の総たんぱく質摂取量の栄養介入は,地域在住高齢女性の
骨格筋量や身体機能を改善させる可能性が示唆された.
66
分類:一般演題 栄養療法
P-45.
経管投与用の高速簡易懸濁・使い捨て注入バッグの開発
株式会社モリモト医薬
盛本 修司(その他)、野崎 雅男
【目的】
患者の高齢化や医療の発達に伴い経鼻チューブや胃ろう等の経管投与が増加し、その方
法として日本の半数以上の病院において倉田式簡易懸濁法が用いられている。現在は主
に懸濁ボトルやシリンジ等を用い、確かに従来の粉砕法と比較すると簡便になったが、
ボトルやシリンジの再使用や懸濁に時間がかかり長時間放置する等、衛生面や作業性・
安全面において患者にとっても薬剤師・看護師にとっても不安が残る。そこで弊社は、
在宅でも容易に使える高速簡易懸濁・注入バッグを新しく昭和大学薬学部の倉田先生と
共同開発し、その適応範囲について従来の簡易懸濁法との比較評価を行なった。
【方法】
臨床現場で使用頻度が高いが、従来の簡易懸濁法では不適と報告されている代表的な薬
剤について、従来法では十分に懸濁せず経管チューブに詰まることを確認した上で、弊
社注入バッグを用いた懸濁方法による経管チューブ通過性試験を行なった。
【結果】
本注入バッグでは、供試した全薬剤が容易に懸濁可能であることが確認できた。
【考察】
本注入バッグは、使い捨てを前提とした構造であるため、安全で衛生的な投薬ができる。
また、透明密閉式多層フィルムを使用のため、投入した薬剤やその崩壊を目視確認でき
る。更に、薬剤の崩壊残渣をバッグの上から指やスプーン等で押し潰して完全に崩壊可
能であり、チューブ詰まりも防げる。それにより、従来の簡易懸濁法に比べ適用可能薬
剤が大幅に増え、新たに標準化した使用方法の提案が可能と考えられる。
【結論】
本製品は経管投与患者への投薬において、容易に薬剤を懸濁でき、かつ作業性や安全性
の高い簡易懸濁・注入バッグである。適応可能薬剤の範囲を格段広げただけでなく、患
者や看護師・介助者にも優しく、更には管理も容易であるこの注入バッグを用いること
で従来の粉砕法や簡易懸濁法が抱える様々な問題は解決し簡易懸濁法をさらに普及させ
たい。
67
分類:一般演題 栄養療法
P-46.
高齢脳卒中患者の機能回復と自己選択された栄養ケアとの関連性
横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
熊谷 直子(管理栄養士)
【目的】
入院期間中の療養生活は、入院前と退院後の生活に直結する。脳卒中高齢患者の生活機
能障害の重症化を防止するため、日常生活の実装を想定した個別栄養ケアを入院期間中
に施行した。個別栄養ケアと、機能回復や栄養状態改善との関連性を検証した。
【方法】
2012 ~ 2014 年度に ICU・SCU に入院し、回復期リハビリテーション病棟の退院を完
了した脳卒中患者の臨床データを後ろ向きに分析した。患者の選択基準は、65 歳以上
の簡易栄養状態評価(MNA-SF)11 点以下である初発脳卒中患者とした。退院時に経
口摂取であった者を抽出した。低栄養リスクのある患者は、入院している間、通常ケア、
あるいは、個別栄養ケア ( 個別ケア)が実施された。通常ケアは、医療者が主体となっ
て栄養ケアが選択されていた。個別ケアは国際生活機能分類をベースに生活状況を医療
者と患者・家族が共有化し、患者・家族に栄養ケア内容を選択頂いた。入院期間中の機
能的自立度(FIM)
、栄養状態(体重、GNRI;Geriatric Nutritional Risk Index)に対す
る個別ケアの効果について重回帰解析を行った。有意水準は両側 5% とし、SASver9.4
を用いた。
【結果】
個別ケア群(n=109)、通常ケア群(n=209)となった。個別ケア群は、通常ケア群と比較し、
FIM 利得は明らかな改善は認められなかった(P=0.16)。サブ解析では FIM 運動項目
が有意な改善(P =0.04)を示し、FIM 認知項目は有意な効果は認められなかった(P
=0.28)。栄養状態においては、GNRI 変化量(P =0.02)、体重変化量(P =0.02)におい
て有意な改善が認められた。
【結論】
患者の生活を共有化し、動機付けと自己選択という方法で行った個別栄養ケアは、高齢
脳卒中患者の運動機能や栄養状態をより改善する可能性が示唆された。
68
分類:一般演題 栄養評価
P-51.
慢性閉塞性肺疾患患者における栄養充足率の現状
公立玉名中央病院
尾川 隆(理学療法士)、奥園 翔太
【はじめに】
慢性閉塞性肺疾患(以下 COPD)患者では , 治療経過中に体重減少がみられる . 体重
減少の原因には消費エネルギーの増大と摂取エネルギーの低下がある . これらの背景を
持ちながらリハビリテーションを開始した COPD 患者では治療により活動係数が上昇
し , さらに総エネルギー消費量(以下 TEE)が増加していると考えられ , それに対し
て提供エネルギー , 摂取エネルギーが不足しているのではないかと予測した .
【対象・方法】
診断名に COPD, 肺気腫 , 慢性気管支炎 , が含まれ , 且つリハビリ室での訓練が可能と
なった 21 名を対象とし ,TEE, 提供エネルギー , 摂取エネルギーを調査し , 関連性の
検定には Friedman 検定を用い , 有意水準を 1%未満とした .
【結果】
TEE と提供エネルギーとの間に有意差は認められなかった . 摂取エネルギーが TEE・
提供エネルギーと比べ有意に低下していた .
【考察 1】
今回の研究では TEE と提供エネルギーとの間に有意差は認められなかった .TEE の算
出方法で報告されている活動係数の目安は比較的単純な分類しかされていない . その
為、設定する側の解釈で乗じる値が変わってくる . しかし , 主治医に対してその判断を
どうしているかの調査ができていない . これらのことから , 今回の研究において出棟リ
ハビリに見合ったエネルギー提供が出来ているかの判断は現段階では困難であることが
分かり , 活動・ストレス係数の目安など主治医へのアンケートの必要性を感じた .
【考察 2】
摂取エネルギーが TEE・提供エネルギーと比べ有意に少なかった .COPD 患者の摂取
エネルギー低下の原因として , 横隔膜の低位平坦化により出現する膨満感や息切れ , 咀
嚼や嚥下に伴う呼吸リズムの乱れなどがあると報告がある。また , レプチンなどの内分
泌ホルモンが摂食抑制因子として栄養障害に関与することが報告されている . このよう
に原因が多岐に渡る事からも , 今回の摂取エネルギー低下の原因の検索が必要であった
が調査不足であり今後の課題として挙がった .
69
分類:一般演題 栄養評価
P-52.
慢性心不全患者のフレイルは栄養状態に関連し、独立した予後不良因子である
−簡便な評価法のフレイルスコアを外来診療で用いる−
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院循環器内科
鈴木 規雄(医師)、木田 圭亮、伊藤 史之、足利 光平、鈴木 健吾、大宮一 人、
原田 智雄、明石 嘉浩
【背景】
質問形式によるフレイル評価法として、介護予防目的に用いられ 25 項目からなる基本
チェックリスト (KCL) の他、6 項目からなるフレイルスコアがある。慢性心不全に限定
した有用性を明らかにする。
【方法】
当院を外来受診した 65 歳以上の慢性心不全患者 123 名(平均 76.2 ± 7.4 歳、男性 68
名)に対し、KCL スコア 25 点中 8 点以上、フレイルスコア 6 点中 2 点以上の場合をそ
れぞれフレイル(Fk 群、Ff 群)と判定した。栄養評価は Mini Nutritional Assessment
Short-Form(MNA®-SF)を使用した。心不全入院または全死亡をイベントとして、
予後調査を行った。
【結果】
全体の平均左室駆出率 43.6 ± 17.2%、原疾患は 42 名(34.1%)が虚血性心疾患、Fk
群 53 名(43.4%)、Ff 群 58 名 (47.5%) を占めた。KCL スコアとフレイルスコアは有意
な相関を認めた(r=0.873、p<0.001)
。また、MNA®-SF スコアは、KCL スコア(r=0.685、p<0.001)とフレイルスコア(r=-0.626、p<0.001)との間にそれぞれ有意な相
関を認めた。平均追跡期間は 137.9 日、全体のイベントは 13 名(10.6%)であった。
150 日後無事故生存率は、Fk 群 65.5%vs 非 Fk 群 95.5%(Log-rank、p=0.022)、Ff
群 65.1%vs 非 Ff 群 96.7%(p=0.009) と F 群が有意に予後不良だった。Cox 回帰分析では、
Fk 群(オッズ比 4.11、95%信頼区間 1.22-18.53、p=0.021)、Ff 群(5.91、1.56-38.48、
p=0.007)であった。
【考察及び結論】
KCL 及び特に簡便なフレイルスコアは、慢性心不全患者に対してもフレイル評価の有
用性が示された。また、栄養状態が慢性心不全のフレイルに関連する事が示された。
70
分類:一般演題 栄養評価
P-53.
回復期リハビリテーション病棟入院中の大腿骨頸部骨折患者の栄養状態(GNRI)の
推移〜性差と年齢による影響の検討〜
西広島リハビリテーション病院
中臺 久恵(理学療法士)、田中 直次郎,佐藤 梨央,藤高 祐太,渡邉 光子,
岡本 隆嗣
【目的】
高齢者の大腿骨頸部骨折患者では受傷時より低栄養であるといった報告や,栄養状態が
不良な患者では身体能力の改善や在院日数が延長するといった報告がされている.そこ
で,今回は大腿骨頸部骨折患者の入院時から退院時までの 1 ヶ月毎の栄養状態の把握を
目的に,性差と年齢から分析した.
【方法】
対象は 2013 年 5 月から 2015 年 2 月に当院回復期を退院した大腿骨頸部骨折患者 100
名(男性 25 名・女性 75 名,平均年齢 81.2 ± 10.2 歳)とした.調査項目は,年齢,身
長,入院時より 1 ヶ月毎の Alb 値,体重とした.栄養障害の基準は,先行研究に従い
Geriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI)の得点を用い,重度(<82)
,中等度(82
〜 <92),軽度(92〜 <98),良好(≧ 98)とした.年齢は 75 歳未満(以下,若年群),
75 歳以上(以下,高齢群)の 2 群に分けた.検討方法は,まず入院時の GNRI を性差,
年齢から比較した.次に入院中の経過を検討するために性別毎に年齢と時間因子を 2 要
因として二元配置分散分析を行った.統計解析に Statcel 3 を用い,有意水準を 5%と
した.本研究は当院の倫理委員会の承認を受けて実施した.
【結果】
対象者の栄養状態に性差はなかったが,高齢群は若年群と比較し GNRI が有意に低値
(p<0.05)であった.男性・女性ともに経過による GNRI に有意差はなかったが,高齢
群の GNRI 平均値は入院時から退院時まで中等度栄養障害に分類される値であった.
【考察】
回復期入院中の大腿骨頸部骨折患者において,入院時の栄養状態は男女を問わず不良
であった.特に高齢者でその傾向が強く,転倒発症の多い大腿骨頚部骨折患者では,発
症前から不良な栄養状態にあったと推測される.また高齢群では,栄養障害の改善が不
良であり,対象者の年齢に応じて,提供する食事やリハビリテーションプログラムの再
考が必要と考える.
71
分類:一般演題 栄養評価
P-54.
入院時 MNA®-SF と FIM 運動項目得点別の退院時 FIM 運動項目の予測
医療法人社団健育会 竹川病院
牧野 博幸(理学療法士)、櫻井 瑞紀、橋本 重倫
【はじめに・目的】
適応疾患が限定されず簡便・低コストで実施可能な MNA® の簡易版である MNA®SF により栄養状態を分類し,入退院時の各血液項目,運動機能を検討した報告で一定
の差が認められている.入院時の FIM 運動項目 (FIM-M) から退院時の FIM-M を予測
した報告はあるが,MNA®-SF と入院時 FIM-M を低得点群,高得点群に分類し検討
した報告は少ない.本研究は入院時 MNA®-SF と FIM-M 低得点群,高得点群から退
院時 FIM-M を予測することを目的とした.
【対象】
平 成 26 年 1 月 か ら 平 成 27 年 2 月 ま で に 当 院 回 復 期 に 入 退 院 し た,65 歳 以 上 で
MNA®-SF と FIM-M に不備のない 91 名(81.6 ± 7.3 歳)を対象とした.分析は後
方視的に当院データベースより個人が特定できないよう実施した.
【方法】
入院時評価は栄養状態として MNA®-SF 低栄養(0-7 点),At risk(8-11 点)の 2 群
に,運動機能は入院時 FIM-M から 54 点未満を低得点,54 点以上を高得点の 2 群に分
類した.また,退院時 FIM-M と入院時 FIM-M の差から FIM-M 利得を算出した.分
類した 4 群に対してそれぞれの①人数,②年齢,③入院時 FIM-M,④退院時 FIM-M,
⑤ FIM-M 利得(平均±標準偏差)を算出した.
【結果】
低栄養・FIM-M 低得点群は① 24 人,② 83.4 ± 8.2 歳,③ 36.4 ± 3.6 点,④ 53.4 ± 5.9 点,
⑤ 16.3 ± 14.8 点.低栄養・FIM-M 高得点群は① 12 人,② 86.9 ± 6.8 歳,③ 65.9 ± 6.8 点,
④ 77.2 ± 8.4 点,⑤ 11.3 ± 6.6 点.At risk・FIM-M 低得点群は① 13 人,② 79.2 ± 8.1 歳,
③ 38.2 ± 10.7 点,④ 68.2 ± 17.9 点,⑤ 29.9 ± 14.9 点.At risk・FIM-M 高得点群
は① 42 人,② 80 ± 5.8 歳,③ 68.4 ± 8.5 点,④ 78.5 ± 9.9 点,⑤ 10.2 ± 8 点であった.
【考察】
今回の結果より,退院時 FIM-M は At risk・FIM-M 高得点群が最も高く,低栄養・
FIM-M 低得点群が最も低かった.FIM 利得は At risk・FIM-M 低得点群が最も高く,
At risk・FIM-M 高得点群が最も低い結果となった.今後統計解析を含めた更なる検討
をしていく必要がある.
72
分類:一般演題 栄養評価
P-55.
回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管疾患患者の機能的自立度評価表
(FIM)利得と栄養状態の関連についての検討
山口リハビリテーション病院
三田 和広(理学療法士)、藤井 鈴、山下 修平、赤尾 吉規、山出 宏一、川端 悠士
【目的】
脳血管疾患患者は運動麻痺や嚥下障害,二次的な廃用症候となる可能性があり,これら
は低栄養や動作能力低下の原因となりうる.栄養状態と日常生活動作の関係について
先行研究では,アルブミン(Alb)値と FIM 得点を検討し相関を認めている.しかし,
日常生活動作の自立度の変化に対して Alb 値以外の因子も含めて考慮し検討した報告
は少ない.
そこで今回,回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管疾患患者の FIM 利得
と入院時栄養状態を含めたその他の因子との関連について検証することを目的とした.
【方法】
対象は回復期リハビリテーション病棟に平成 26 年 10 月から平成 27 年 8 月までに退院
した脳血管疾患患者 113 名から,データの欠損,急変による転院,死亡例を除外した
81 名(年齢 69.0 ± 11.6 歳,男女比 54:27)とした.データの収集はカルテより後方視
的に抽出した.調査項目は FIM,性別,BMI,発症からの日数,Alb,総コレステロー
ル,ヘモグロビン,嚥下グレード(嚥下 Gr),握力,歩行能力(自立,一部介助,全介
助)とした.統計学的解析については,始めに年齢・入院時 FIM・在院日数を調整変
数として FIM 利得とその他の調査項目との関連性について偏相関分析を用いて検討し
た.その後に従属変数を FIM 利得,偏相関分析にて FIM 利得と有意な関連を認めた項
目を独立変数,年齢・入院時 FIM・在院日数を調整因子として重回帰分析を行った . また,
VIF 値を算出し多重共線性にも配慮した.統計解析には SPSS Statistics ver.21.0︎ を使
用し,有意水準は 5%未満とした.
【結果】
重回帰分析の結果,FIM 利得に影響を与える要因として Alb 値,歩行能力,嚥下 Gr が
抽出された.決定係数 R2 は 0.295 であった.
【考察】
当院回復期リハビリテーション病棟に入院する脳血管疾患患者の FIM 利得には,入院
時 Alb 値,歩行能力,嚥下 Gr が影響していることが示された.このことより FIM 利
得の向上には Alb 値のみならず,歩行能力や嚥下能力を考慮したアプローチが必要で
あることが示唆された.
73
分類:一般演題 その他
P-61.
当施設の介護職のリハ栄養に関する意識調査の報告
〜栄養ケアは介護の専門性を変える!〜
茨城保健生活協同組合 城南病院
秋葉 昌則(介護福祉士)、
【はじめに】
当院回復期リハビリテーション病棟(以下 当施設)では、2015 年 1 月からリハビリテー
ション栄養(以下 リハ栄養)普及に向け、介護職が中心となり、活動している。その
中で、当施設の介護職へのリハ栄養浸透に向けての活動と、リハ栄養に関する介護職の
意識調査の結果を報告する。
【活動内容】
1.リハ栄養に関する学習会に参加(内容:①リハ栄養の基礎②摂食嚥下評価③身体計
測方法④検査データの基礎、等)2.受け持ち患者のリハ栄養を多職種協同で実践。
【アンケート】
2015 年 9 月、リハ栄養に関するアンケートを当施設の介護職 8 名に実施(回収率
100%)。
【アンケート結果】
1.リハ栄養に①関心がある②効果を実感している③介護職の役割があるが、それぞ
れ 100%。2. 受け持ち患者にリハ栄養を実践している 90%。3.リハ栄養実践における
介護職の役割として①検査データ確認 50%②身体計測 100%③摂食嚥下スクリーニン
グ 40%④多職種と連携 70%⑤患者・家族の要望聴取 80%⑥一般状態把握 40%⑦ ADL
(activities of daily :ADL) 把握 100%。⑧薬効把握 20%⑨共通言語の理解 70%⑩地域
連携 30%⑪退院後の介護力把握 70%、だった。
【考察】
今回の取り組みから、当施設の介護職のリハ栄養に関する役割の不明確、スタッフ間
の考えの相違があった。一方で、リハ栄養は自身の役割の一つと認識されたといえ
る。介護福祉士の資格制度制定から 15 年以上がたち、介護職の役割も時代に合わせ
変化をしている。オムツ交換等、身の回りの世話から、対象者を ICF(International
Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)で評価し、心身の状況に応
じた介護行為を、多職種と連携して行うことが求められている。サルコペニア等の身体
状況に応じた介護行為を多職種と連携して実践することは、時代が求める介護職の専門
性と捉え、更なる介護職へのリハ栄養普及に向けて今後も取り組む。
【結論】
当施設の介護職にリハ栄養は浸透している。今後は、知識の向上は当然ながら、役割明
確化も必要。
74
分類:一般演題 その他
P-62.
肺切除術当日における超早期離床と経口摂取開始
〜多職種チーム体制による取り組み〜
独立行政法人国立病院機構呉医療センター
有長 織恵(看護師)、山下 芳典、原田 洋明、坪川 典史、楠 雄斗、松田 眞弥、
高橋 雄介、高濱 みほ、林 宏則、小倉 千明、白野 容子
【背景と目的】
当院では、肺切除術後の患者に対して帰室 4 時間以上経過した後、医師・看護師・理学
療法士・言語療法士の多職種チーム体制で、超早期離床と経口摂取を開始している。こ
れは「療養環境を可能な限り日常に近づける努力」が、呼吸器・循環器・脳血管系の合
併症予防における共通方策とされていることを考慮した取り組みである。本取り組みの
実施可能性と臨床的有用性について評価した。
【対象と方法】
肺癌に対する肺切除後に本法を施行した 64 例(そのうち肺葉切除は 28 例)を対象とし
た。病棟への帰室後 4 時間以上経過した後に、多職種チームで患者情報・手術情報の共
有、意識レベル、全身状態を確認し、バイタルサインを測定しつつ仰臥位、座位、端座
位、立位(足踏み)まで段階的に離床をすすめた。離床後、簡易水飲み試験で嚥下機能
に問題ないことを確認し、術当日夕食(全粥食)を開始した。なお入院時に本法につい
てパンフレットを用いて説明し、不安の解消に努めた。
【結果】
1)超早期離床:肺切除全体(64 例)において、立位まで達成できたのは 51 例(80%)で、
達成できなかった主な理由は気分不良・嘔気や血圧低下であった。肺葉切除例(28 例)
に限定すると 21 例(75%)で立位まで達成し、達成できなかった主な理由は、気分
不良・嘔気や血圧低下であった。
2)術当日夕食摂取:肺切除全体において 34 例(53%)で、通常摂取量の半量以上は摂
取可能であった。そのうち肺葉切除例においては 12 例(43%)で通常摂取量の半量
以上は摂取可能であった。術翌日朝食は 80%の患者で通常摂取量の半量以上は摂取
可能であった。本法に伴う有害事象(肺塞栓、誤嚥、転倒など)はなかった。対象
患者のうち 5 名に過去の外科手術の際にせん妄の既往があったが、本法実施後いず
れも術後せん妄を発症することなく経過した。
【まとめ】
肺切除術後当日の超早期離床と経口摂取開始は安全に実施可能であり、臨床的有用性も
示唆された。
75
分類:一般演題 その他
P-63.
当院のリハビリスタッフと管理栄養士との意識調査
宝塚市立病院リハビリテーション科
射延 菜穂美(理学療法士)、橋口 具世
【はじめに】
当院は稼働病床数 379 床、平均在院日数 11 日の急性期病院である。急性期病院であっ
てもリハビリ栄養を進める為には多職種連携が必要である。まずはリハビリスタッフと
管理栄養士との相互理解と連携は重要であると考えお互いの思いを聞いた。
【方法】
リハビリテーション科(以下リハ)セラピスト 12 人、管理栄養士 7 人に選択式と記述
式のアンケート調査
【結果】
①リハスタッフ全員が知っていると答えた管理栄養士の仕事は「患者さんの栄養評価」
「NST活動」管理栄養士全員が知っていると答えたリハ訓練は「歩行訓練」「摂食嚥下
訓練」②リハスタッフに対して栄養管理室へ行った事があるか。「よくある」1 人。管
理栄養士に対しリハ訓練を見たことがあるか。「よく見る」2 人③お互い話をしたこと
があるか。「よくある」リハ 3 人管理栄養士 2 人④リハ栄養は知っているか「よく知っ
ている」リハ 3 人管理栄養士 2 人「少し知っている」リハ 6 人管理栄養士 5 人「あまり
知らない」リハ 3 人。⑤リハビリ栄養を推進することに。「賛成」リハ 5 人管理栄養士
5 人「どちらかというと賛成」リハ 4 人管理栄養士 2 人「わからない」リハ 3 人。
【まとめ】
お互いの連携と理解には「直接話をする場が必要」「一緒に患者さんを見る場が必要」
と言う意見が多かった。「ほとんどお互いの現場へ行ったことがない」や「話をしたこ
とがない」と言う回答もあったことから気づきにつながったか。リハ栄養の周知と推進
に関して管理栄養士は前向きな回答が多かったが多職種となるとまだまだ課題が多いと
感じた。患者さんのADLを上げることに対してリハビリと栄養で効果が期待されるこ
とは双方概ね理解されていた。よりよいコミュニケーションでお互いの仕事ぶりを理解
し合えれば連携も深まる。これからも研究会会員としてさらに自己研鑽をしてリハ栄養
の仲間を増やし職種間の橋渡し役になれればと願っている。
76
分類:一般演題 その他
P-64.
栄養評価を拒否する低栄養患者の食思不振の原因を探る
~ 食べる喜びをもう一度 管理栄養士との連携の重要性 ~
市立三次中央病院
上野 千沙(理学療法士)、吉永 洋子、市立三次中央病院 NST チーム
【はじめに】
低栄養状態が原因のサルコぺニアに対するリハビリでは、適切な栄養管理が最も重要と
述べられている。今回、PT と管理栄養士が情報共有を行う中で食事内容を変更し、栄
養状態の改善に至った症例について報告する。発表の同意は、口頭で本人に得た。
【症例紹介】
低栄養状態で入院となり CV ポート留置を行った、胃全摘出術の既往がある 70 代女性。
仙骨部に DESIGN スケール 23 点(D5)の褥瘡あり。
身長 147㎝、体重 36㎏で BMI17。血液データーは、アルブミン 1.4g/dl、タンパク 4.6g/
dl CRP0.5㎎ /dl、ヘモグロビン 7.6g/dl、であった。
必要栄養量 1534 k cal に対し、PT 介入時は輸液 100kcal、経口摂取 600 kcal を合わせ
700 kcal 程度で、約 830kcal のカロリー不足であった。
NST 介入も、弱る自分を見たくないと体重・周径測定は拒否が強く、遠慮から本音を
語れない事で情報収集が不十分な状況であった。PT はリハビリでの関わりの中で信頼
関係が構築できており、食事状況・患者の希望を把握した上で管理栄養士と情報共有を
図っていった。
本症例の食思不振は、消化管機能障害・食事の好み・食事環境・点滴に対する依存心の
4 つと考えられた。そこで胃全摘術後のため分食が有効と考え、リハビリ後に間食でき
るよう時間調整を行い、内容も好物のプリンや水羊羹味の栄養補助食品ゼリーに変更し
た。食事では、管理栄養士に協力を依頼し、麺類やセット食へ変更を行った。また、完
食することで自信が得られるようカロリーは 900kcal と不足はあるもののハーフ食の提
供を実施した。ハーフ食を完食できた頃より食事への意欲向上し、旦那様と 3 時のお茶
を楽しまれたり、笑顔が増えていった。
食欲も改善し、1200 kcal まで摂取可能となり、総蛋白 4.6 → 5.9 g/dl、アルブミン
1.6 → 2.2g/dl へと数値も改善。褥瘡も DESIGN スケール 16 点 (D4) に改善見られた。
【終わりに】
食思不振の患者に対しては適切な評価と対策により、栄養改善と食べる楽しみの再確認
ができると感じた。この症例を契機に PT も NST に介入しており、今後も効果的なリ
ハビリ展開のためにPTが情報を提供し、他職種と連携を図ることが栄養管理において
重要と考える。
77
分類:一般演題 その他
P-65.
当院リハビリテーション栄養プロジェクトの現状の問題点と展望
医療法人松徳会花の丘病院
岡 道生(作業療法士)、森 優太、細田 直希、中村 栄子、中井 理奈、古田 大貴、
江口 梓、山路 菜摘、木村 圭佑、松本 隆史、
【はじめに】
平成 26 年度よりリハビリテーション栄養(以下、リハ栄養)の教育、実践を行う目的で、
当院リハ部門においてリハ栄養プロジェクトを発足した。現在の進捗状況とともに、問
題点と展望を報告する。
【対象・方法】
プロジェクト活動として以下の 2 つの活動を行った。入院時の栄養状態の把握を目的に
平成 25 年 1 月から平成 27 年 7 月に当院回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期
リハ病棟)を退院した症例 474 名(男性 128 名、女性 346 名)を抽出した。平均年齢は
83.6 歳(男性 80.7 歳、女性 84.5 歳)であった。栄養科の評価用紙から GNRI を算出し、
後方視的に調査した。また、リハ栄養の知識向上を目的にリハ部門内研修の企画、リハ
部門内にてプロジェクト活動報告を行った。
【結果】
GNRI では当院回復期リハ病棟では低栄養状態が 74%であった。また、栄養データ抽出
の際に紙面で保管され、多職種で情報共有が出来ていない事がわかった。
リハ部門内研修では、昨年はプロジェクト内勉強会を月 2 回実施し、リハ部門向けに勉
強会を主催した。結果、プロジェクト報告会では多くのリハスタッフに興味を持っても
らう事が出来た。
【考察】
回復期リハ病棟協会栄養委員施設調査では 37.7%に低栄養状態を認めたが、当院では
その約 2 倍であった。栄養データ管理の対策としてリハの負荷量調整を目的に栄養科
データベースを作成し、多職種で情報共有をすることを可能にした。しかし、リハスタッ
フへのリハ栄養の必要性を啓発することは出来たが、他職種との協業によるリハの負荷
量調整、栄養管理の実践には繋がったとは言い難い状況である。
今後の展望として、院内のリハ栄養実践と地域における啓発活動を目的に、退院後のリ
ハ栄養サマリーを当法人内での利用から開始する。また、患者・家族にリハと栄養に関
する知識や関心の啓発を目的に病院だより等の紙面を用いた啓発を行っていく。
78
分類:一般演題 その他
P-66.
認知症を伴うサルコぺニア性嚥下障害患者の 1 症例
取手北相馬保健医療センター医師会病院
清水 喜代子(看護師)、
【はじめに】
老嚥に侵襲、廃用、飢餓が加わると嚥下障害に至る。充分な栄養管理とリハビリが必要
だが、認知症があると訓練は困難となる。今回、80 代アルツハイマー型認知症の胃瘻
の男性に栄養管理とリハビリを継続した結果、経口摂取を再獲得することが出来た。こ
の過程を振り返り報告する。
【経過】
既往にラクナ梗塞あり。肝膿瘍後、胃瘻造設となる。肺炎の為、点滴管理となったが
1200kcal の胃瘻栄養を再開。麻痺はなく構音は明瞭、体重は転院時より 1.9kg 減少し、
歩行は困難で喉頭位は低下し、唾液嚥下後も咽頭残留音があり吸引を必要とした。家族
は経口摂取を希望していた。サルコペニア性嚥下障害と判断し、胃瘻栄養を 1400kcal
へ増量し間接訓練を開始。シャキア法を指導したが拒否があり正法は出来ず、日に数回
「枕の位置を直すので頭を挙げて」という声がけで、5 秒の頭部保持を促した。テレビ
での野球観戦を口実に、車椅子乗車をすすめた。介入 2 ヶ月目にお茶ゼリー開始、3 ヶ
月目にVFを施行。全粥での喉頭侵入はあったが、咳払い嚥下とお茶ゼリーでの交互嚥
下が有効だったため、経口訓練食とお茶ゼリーに変更した。介入 6 ヶ月目に 200kcal の
ペースト食に変更した。食前後の口腔ケアを徹底し、咳払い嚥下と交互嚥下を用い、肺
炎徴候に留意しながら食事を増量した。胃瘻栄養は 1200kcal を継続し、体重に変化は
なかった。訓練にて自力摂取が可能となったが、詰め込み防止のため監視下での摂取と
した。1000kcal 全粥ペースト食へ増量し、胃瘻栄養を 400kcal に減量すると体重が 1kg
減少した。車椅子乗車延長による活動係数の増加を考慮し、胃瘻栄養を 600kcal に戻し
総量を 1600kcal とした。その結果、体重減少なく経口摂取を維持できた。
【まとめ】
活動量を考慮した充分な栄養管理と共に、患者にとって継続可能なリハビリを行なうこ
とが、経口摂取の再獲得に重要である。
79
分類:一般演題 その他
P-67.
食べたい思いを支えるための胃瘻とリハビリテーション
広島共立病院 看護部
中尾 加代子(看護師)、広島医療生活協同組合 広島共立病院 内科 Wong Toh Yoon 、広島医療生活協同組合 広島共立病院 リハビリテーション科 平尾 純 、
広島医療生活協同組合 広島共立病院 栄養科 遠藤 由紀子
【はじめに】
脳血管障害の急性期より経鼻栄養カテーテル(以下 NGT)挿入のまま回復期リハビリ
テーション病棟(以下回復期リハ病棟)へ転院するケースが増加している中で、患者の
現状把握と評価を的確早急に行い、患者・家族に納得して頂ける最善医療・リハビリテー
ションの提供が求められている。今回は NGT 挿入状態で当院の回復期リハ病棟に転院
された患者のアプローチを報告する。
【症例】
81 歳男性。右アテローム性血栓性脳梗塞。
【経過】
急性期治療後、NGT で当院の回復期リハ病棟へ転院した。嚥下造影検査では、誤嚥は
なかったが梨状窩残留が多く誤嚥のリスクは高かった。安全かつ十分な経口摂取は困難
である判断し経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下 PEG)が推奨された。当初は本人も家族
も PEG を望まれなかったが、チューブフリーのリハビリを目指した PEG について理解
を得られるように関わり、PEG を施行した。
【結果】
経口摂取に向けてミキサー食注入を併用し、患者の嚥下機能状況や食事状況に合わせた、
食事内容の検討や食事時間や環境調整・リハビリを行ってきた結果、3 食経口摂取が可
能となった。
【考察】
リハビリを行う上で、必要な栄養確保をするために最適だと判断された PEG を施行し、
嚥下訓練の向上法であることを十分理解することで、PEG 後のリハビリ意欲にもつな
がった。ミキサー食の使用で患者の食べる意欲を引き出し、良好な結果を出せた。
80
分類:一般演題 その他
P-68.
回復期リハビリテーション病棟における経管栄養患者の現状- 3 年間の経過-
広島医療生活協同組合広島共立病院 看護部
中尾 加代子(看護師)、広島医療生活協同組合広島共立病院 内科 Wong Toh Yoon ,西原 一樹,村田 裕彦、広島医療生活協同組合広島共立病院 リハビリテー
ション科 、蓑田 直子,平尾 純,中岡 奈美,
【目的】
当院回復期リハビリテーション病棟は年間約 200 〜250 人が入院し、ほとんどは脳血管
障害後の患者である。摂食・嚥下障害の長期栄養管理として胃瘻(以下 PEG)が望ま
しいが、経鼻栄養カテーテル(以下 NGT)で入院されるケースも少なくない。当院に
おける 3 年間の回復期リハビリテーション病棟の経管栄養状況を分析したので報告す
る。
【方法】
2012〜2014 年の回復期リハビリテーション病棟入院患者のうち入院時または入院後に
NGT を使用した患者あるいは PEG を施行した患者を対象に経口摂取改善率などを後向
きに検討した。
【結果】
3 年間の入院患は 700 人であり、入院時に NGT 留置中患者は 22 人(3%)
・PEG 施行
後患者は 48 人(7%→ A 群)である。入院後に NGT から PEG へ移行した患者は 14 人・
入院時に NGT の使用はなかったが入院後に PEG へ移行した患者は 5 人であり、合計
20 人(B 群)である。A 群の平均年齢は 74.5 歳で、B 群の 80.8 歳と比較して低い。
リハビリテーション・嚥下訓練にて A 群の経口摂取率(藤島摂食・嚥下レベル 4 以上)
は入院時 21%(10 人)から退院時 73%(35 人)まで改善し、B 群の経口摂取率は入院
時 75%(15 人)から退院時 85.0%(17 人)に上昇した。
【考察および結語】
経口摂取を取り戻す為にリハビリテーションを行うための十分な栄養確保が必要であ
る。NGT から PEG に移行する患者が多かったが、PEG 後の経口摂取率は回復期リハ
ビリテーション病棟へ入院する前に施行しても、入院後に施行しても同様に改善する。
苦痛・違和感の少ない経管栄養法(PEG)により充実したリハビリテーション・嚥下訓
練が可能で、「食べるための胃瘻」または「リハビリテーションのための胃瘻」が実現
できたと思われる。
81
分類:一般演題 その他
P-69.
ミキサー食注入による下痢改善と経口摂取への支援
広島医療生活協同組合広島 共立病院 看護部
中尾 加代子(看護師)
、広島医 療 生 活 協 同 組 合 広 島 共 立 病 院 内 科 Wong Toh Yoon、広島医療生活協同組合 広島共立病院 リハビリテーション科 蓑田 直子,平尾 純,中岡 奈、広島医療生活協同組合 広島共立病院 栄養価 遠藤 由紀子
【はじめに】
当院回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)では、2012 年度から現在
までの 3 年間で 20 人の患者に、下痢改善や経口摂取をすすめるために経皮内視鏡的胃
瘻造設術(以下 PEG)の患者にミキサー食注入を開始した。今回、ミキサー食注入取
り込の現状を振り返り、ミキサー食注入の効果について検討した。
【方法】
2012〜2014 年度の回復期リハ病棟の入院患者のうち、ミキサー食注入を取り入れた
PEG 患者男性 10 人、女性 10 人の合計 20 人。
【結果】
ミキサー食を使用された患者は PEG 患者 68 人中の 20 人(29.4%)で、ミキサー食を
取り入れた理由として下痢対策 8 人・経口摂取促進対策 12 人である。
下痢対策のための 8 人中、ミキサー食の使用で 7 人(87.5%)は下痢が消失し、1 人は
改善した。経口摂取促進対策のための 12 人中、ミキサー食の併用で、平均の経口摂取
レベルは 2.55(藤島摂食・嚥下レベル)から 6.75 となった。入院時より経口摂取併用
されていた患者は 13 人(65%)で、退院時は全員(20 人)ある程度の経口摂取が可能
となった。
【考察】
ミキサー食の注入取り入れは、経口摂取をすすめていくために、有用な手段である。ま
た、下痢患者にはミキサー食により腸内環境を自然食で整えられることで、下痢の改善
にも繋がったと考える。ミキサー食注入は本人の食べる意欲を引き出し、導入当時より
も対象者が増加傾向にある。今後は当院の指導体制を強化して行くが、退院後の継続問
題も大きな課題である。
82
分類:一般演題 その他
P-70.
新しい錠剤包装 ESOP(Easy Seal Open Package)の有用性について:第 2 報
日比野病院 NST
三原 千惠(医師)、日比野病院 脳神経外科 佐藤 斉、モリモト医薬 盛本 修司、
ノーゴン、川崎 浩延
【目的】
錠剤を包装形態としては、プラスティックタイプの PTP(press through package) が主
流となっている。しかし誤飲などの問題があり、これに対し新しいタイプの包装 ESOP
(Easy Seal Open Package, モリモト医薬 L を用いてその有用性を検討した。
【対象と方法】
ESOP の材質や安全性については第 1 報で報告した。健常者 18 名と高齢者(老健施設
の利用者)59 名を対象とし、大小の錠剤を包装した PTP(L)、PTP(S) と、ESOP からの
取り出し性比較を行った。包装から錠剤を取りだす様子を撮影し、取り出し時間の計測
と可・不可および経過を観察した。高齢者については認知機能障害や運動障害の有無、
利き手、握力、ピンチ力を測定し、観察事項との関係を検討した。
【結果】
ESOP からの取り出し時間の平均は健常者が 4.3 秒、高齢者が 9.5 秒で有意の差が
あった。高齢者について詳細を検討すると、錠剤の取り出しができなかった人数は、
PTP(S)が 9 名、PTP(L)が 2 名、ESOP が 2 名であった。平均取り出し時間が最
も短かったのは PTP(L)で、ESOP、PTP(S)の順に長かった。ESOP の平均取り出
し時間は握力とピンチ力に相関していた。認知症や片麻痺のある対象でも ESOP の取
り出し時間は PTP(L)とほぼ同じであった。今回の取り出し試験中に誤飲した対象は
なかった。
【考察】
今回の試験では高齢者が錠剤を取りだすのは健常者に比べて約 3 倍の時間がかかった。
高齢者の取り出しについては、ESOP に対して戸惑いはあるものの PTP(L)と同様
の有用性があると考えられた。今回誤飲した対象はなかったが、ESOP は柔らかいの
で、もし誤飲しても PTP のように消化管を傷つける危険性はほとんどない。以上より
ESOP は高齢者や障害を有する患者にとって、安全かつ簡便な包装形態として期待され
る。
83
分類:一般演題 その他
P-71.
BIS モニタを用いた意識障害患者の覚醒度評価
日比野病院 脳神経外科
三原 千惠(医師)、日比野病院 脳神経外科 佐藤 斉、日比野病院 リハビリテー
ション科 助金 淳
【目的】
脳卒中患者の意識レベルは、脳の障害による意識障害のみならず睡眠のリズムによる覚
醒度の変動があるため、真の意識レベルを客観的に評価することはむずかしい。今回、
BIS モニタを用いて意識障害のある患者の覚醒度を連続的に評価し、従来の意識レベル
評価方法と比較した。
【対象と方法】
日比野病院に入院中の遷延性意識障害の 7 例について 24 時間連続して BIS 値を測定し
た。BIS スコア 70 以上を覚醒とし、70 未満を睡眠状態として、症例ごとに覚醒と睡眠
のリズムを検討した。
【結果】
それぞれの症例ごとに特徴があり、大きく分けて 4 つのタイプに分類できた。
1)正常パターン:日中は BIS スコア 70 以上が大半を占め、覚醒していると評価され、
夜間は BIS スコア 70 未満の睡眠と評価される時間が多い。
2)昼夜逆転パターン:日中は BIS スコア 70 未満の時間が多く、夜間は BIS スコア 70
以上の時間が多い、いわゆる昼夜逆転の状態と考えられた。
3)持 続的覚醒パターン:ほぼ持続して BIS スコアが 70 以上で、ほとんど覚醒してい
ると考えられた。
4)不規則パターン:時間を問わず BIS の変動が激しく規則性がほとんどない。
覚醒状態において呼びかけに反応する症例に対し開口や嚥下運動を促したところ、反応
はあるが有効な運動は得られなかった。睡眠状態と思われる時間帯でも体位交換や吸引
などのケアに反応する患者にはその都度呼びかけをしたが、夜間に目覚めるパターンの
場合は積極的な意思の疎通や摂食嚥下機能などの評価は困難であった。
【考察】
症例ごとに覚醒と睡眠のパターンを確認して全身ケアや摂食嚥下機能などを評価するこ
とが必要である。ただし覚醒の時間帯によってはスタッフの人手不足が問題となるので、
看護や介護の提供側の条件も考慮すべきである。
84
分類:一般演題 その他
P-72.
新しい錠剤包装 ESOPTM(Easy Seal Open Package)の有用性について:第 1 報
株式会社モリモト医薬
盛本
修司(その他)、敖 剛花、川崎 浩延、野崎 雅男
【目的】
高齢者や子供たちに毎年数多くの薬包装の誤飲という事故が起き、更には死亡事故にま
で至っているケースもある。また、徹底した注意警告にも拘らず事故は継続して発生し
ており、今後、高齢者人口や認知症患者数が増加することから、更に PTP シートの誤
飲事故件数が増加すると予想される。現状の誤飲防止対策は、一方向のみのミシン目や
行政・業界団体等による種々の注意喚起に留まっており、抜本的な対策の早期実施が望
まれることから、
弊社の特許技術 Seal & Fold を利用して、
次世代錠剤包装 ESOPTM
(Easy
Seal Open Pack)を開発し PTP と ESOP の各種評価試験を行った。
【方法】
PTP と ESOP において錠剤の取り出し性、耐衝撃性、耐水性・耐酸性、気密性の各項
目について評価した。また、ESOP 試作品のモニター評価を併せて行った。
【結果】
ESOP は、携帯性、服薬性、薬剤の破損のし難さ、衛生性、安全性において、PTP よ
り優れていることが分かった。
【考察】
ESOP は素材が樹脂のみで柔らかく、包装に鋭利な角がないため、万が一包装ごと誤飲
しても体内の組織を傷つける可能性が低く、他の食物と供に、そのまま体外に排出され
ると推測される。また子どもの医薬品の誤飲事故も問題になっているが、ESOP はチャ
イルドレジスタンス(CR 包装)だけで無く、シニアフレンドリーにも配慮した包装になっ
ている。
【結論】
次世代錠剤包装 ESOP は、2 つの誤飲事故を解決でき、PTP に取って代わる錠剤包装
になり得ると考えられた。
85
分類:一般演題 その他
P-73.
施設職員の摂食嚥下及び栄養評価への関わりについて〜当院近隣施設へのアンケート
調査から〜
旭労災病院
山本 美和(言語聴覚士)
【はじめに】
当院主催の近隣施設向け研修会にて、「近隣施設の食形態調査の結果報告」を行った。
その際、施設や在宅での食形態や必要栄養量決定に関わる職種の調査を目的に、食形態
調整と栄養評価に関するアンケートを行ったので、その結果について報告する。
【方法】
研修会参加者 16 名に対し、施設や在宅での食形態調整と栄養評価に関するアンケート
を実施した。
【結果】
研修会参加者 16 名、アンケート回収 15 名、回収率は 93%であった。所属は老健・特
養が 33%(5 名)と最も多かった。職種は介護職が 47%(8 名)と最も多く、管理栄養
士と栄養士が 23%(4 名)であった。提供する食事形態の決定、トロミ剤使用の決定に
ついてはどちらも看護師、介護職、栄養士の関わりが多かった。摂食方法に問題があっ
た時に解決法を考えるのは、看護師、介護職、医師の関わりが多かった。必要カロリー
や必要水分量の決定は、医師・看護師・栄養士の関わりが多く、それぞれ 25%(6 名)
であった。提供する食事量や水分量が足りていると感じるかについては、足りている、
だいたい足りているとの回答は 73%(11 名)であった。実際の食事摂取量や水分量が
足りていると感じるかについては、足りている、だいたい足りているとの回答は 67%(10
名)であった。
【考察】
今回の調査では、嚥下食の食形態調整に関しては、看護師、介護士、栄養士等多職種が
関わっていることが分かった。一方、栄養評価に関しては、約 7 割が食事摂取量や水分
摂取量は足りている、だいたい足りているとの回答であったが、当院における調査で
は、施設から当院へ入院した ST 依頼患者のほとんどが入院時も退院時も低栄養状態で
あり、疑問が残る。今後、栄養についての調査も実施し、包括的な誤嚥性肺炎に対する
アプローチが出来るようサポートしていきたい。
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分類:一般演題 その他
P-74.
TPN 施行患者の血糖管理に関する調査
1
広島鉄道病院 薬剤科、2 広島鉄道病院 NST
阿登 大次郎 1,2(薬剤師)、森中 千恵子 1,2、岡本 知子 1、滝口 友理子 2、
政池 美穂 2、鈴川 彩路 2、中森 一司 2、吉川 美幸 2、園田 さおり 2、奥田 浩 2、
矢野 将嗣 2
【目的】
中心静脈栄養法(TPN)を行うにあたっては、代謝性の合併症で注意しておかなけれ
ばならないもののひとつに高血糖が上げられる。TPNに使用される輸液の糖質は高濃
度であるため、静脈経腸栄養ガイドラインでも血糖値の頻回のモニタリングと 100 ~
200mg/dL の範囲を目標に血糖管理を行うとしている。今回、当院でTPNが施行され
た患者の血糖管理について調査したので報告する。
【方法】
対象期間は 2015 年4月から9月末までの6ヶ月間。対象患者は7日間以上 TPN が行
われた患者。TPN 開始日から終了日までを TPN 投与期間とし、血糖測定の間隔と血
糖値を調査した。また、脂肪乳剤との併用についても同様の期間で調査した。
【結果】
TPN 投与期間が7日以上の患者は 31 名。TPN 投与期間の最短は8日間であり、最長
は 76 日間であった。7日以内に1回以上の血糖測定を行っている患者は 21 名(67.7%)
であり、定期的に血糖測定が行われていないのは 10 名であった。そのうち、単発的ま
たは不定期な間隔で血糖測定を行っていた患者は5名であり、TPN 投与期間中に1度
も血糖測定を行っていない患者は5名であった。血糖値が 200mg/dL を超えた患者は
9名であり、そのうち、連続7日間以上 200mg/dL を超えていた患者は2名であった。
また、TPN 投与期間中に脂肪乳剤を定期的な間隔で併用していたのは 11 名(35.4%)
であり、不定期または単発的な併用は5名、全く併用されていないのは 15 名であった。
【考察】
2012 年に行った当院の報告では 17.6%(6名/ 34 名)しか7日以内の血糖測定が行わ
れていなかったが、今回 67.7%で7日以内の血糖測定が行われていた。NST からの啓
発や病棟担当薬剤師からの依頼、薬剤科から発行する DI ニュースなどで一定の効果が
あったと思われる。しかし、まだ院内全体としては TPN 施行中の高血糖へ対する意識
が定着していないと考えられるため、NST が発行する NST ニュースで注意喚起すると
ともに NST 回診時に主治医へ提言していく必要がある。また、7日以上連続で血糖値
が 200mg/dL を超えていた患者が2名もおり、感染症や高血糖高浸透圧症候群などの
合併症を防ぐ意味でも見逃してはならない。糖質の投与量や投与速度、経口摂取量など
を確認して早期の対応する必要がある。一方、脂肪乳剤の併用に関しても 2012 年の報
告では 26%(9名/ 34 名)しか併用していなかったが、35.4%で定期的な併用があった。
脂肪乳剤の併用は糖質の過剰投与を防ぐことができるため、脂肪乳剤が投与可能な患者
には積極的に勧めていく必要があると思われる。
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第  回日本リハビリテーション栄養研究会学術集会
共催
共催協賛企業
企業
( 年  月  日現在)五十音順・敬称略
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本研究会学術集会には、下記の企業様より多大なるご支援を賜りました。深く感謝いたします。
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<共催>
共催>
味の素ニュートリション株式会社
株式会社クリニコ
ネスレ日本株式会社ネスレヘルスサイエンスカンパニー
<企業展示>
<企業展示>
アボットジャパン株式会社
株式会社クリニコ
株式会社三和化学研究所
株式会社タカキヘルスケアフーズ
株式会社フードケア
株式会社明治
テルモ株式会社
日清オイリオグループ株式会社
ネスレ日本株式会社ネスレヘルスサイエンスカンパニー
ヘルシーフード株式会社
<ミニレクチャー・企業展示>
ミニレクチャー・企業展示>
アイドゥ株式会社
味の素ニュートリション株式会社
イーエヌ大塚製薬株式会社
株式会社大塚製薬工場
株式会社ジェイ・エム・エス
キユーピー株式会社
ティーアンドケー株式会社
<ホームページバナー広告>
ホームページバナー広告>
ニュートリー株式会社
<書籍>
<書籍>
株式会社神陵文庫
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