「鳥類の食性と消化器官から見た、飛翔への適能」(PDF:321KB)

平成25年度
千葉市未来の科学者育成プログラム
総合コース「鳥類の食性と消化器官から見た、飛翔への特性」
飛翔のための大いなる工夫
~鳥類の生理・消化機能の驚異~
鳥類の特徴は、空を飛ぶこと。地球上で約9,000種いる鳥類の飛ぶメカニズムについて学びました。
日時:7月30日(火) 10:00~12:00
会場:千葉市動物公園
講師:千葉市動物公園飼育課 副主査 松本 和人 先生
動物公園で2回目となる本プログラム。今回のテーマは「鳥類の飛翔」
。鳥類は空を飛ぶために様々な工夫
をしています。しかも、空を飛ぶことは、食性や消化器官とも関係しているのです。
鳥類は、空を飛ぶために体を軽量化しています。大きな鳥でも
約13kg しかありません。また、翼を迅速に動かすという激しい
筋肉運動をするため、体温は約40℃と高体温を維持しています。
鳥類の呼吸器は、気嚢という、肺に空気を送り込む、ふいごの
ような機能があり、
「吸って吐いて」×2が1セットという独特の
呼吸をしているようです。
そして、鳥類の心臓はとてもパワフル。そのため、心拍数も、
ヒトと比べると、かなり高い数値に達するとのことです。
このように、鳥類の驚くべき機能が次々と画面に表示されると、
受講生は感心した様子で講義を聴いていました。
鳥類の話は、食性や消化機能に関する話に入っていきました。
典型的な穀類食性種の鳥類(ニワトリ)
、魚食性の鳥類(ヘビウ)、
植物を採食して微生物の発酵作用を利用する鳥類(ツメバケイ)
など、鳥類が様々な食性によって分類できることを学びました。
また、体温が高くて活動性が高い鳥類にとって、水分の保持も
重要事項で、体温上昇を防ぐために水分の気化作用による冷却
効果を利用していること、窒素廃棄物をかなり濃縮して水分を
節約しているようです。
◆トピックス「セキショクヤケイからニワトリへ ~家畜とは~ 」
野鶏からニワトリへの話は、
「家畜の原種ゾーン」に移動して、
「セキショクヤケイ」や「ニワトリ(小国)
」の展示動物の前で
行われました。
「セキショクヤケイ」や「ニワトリ(小国)
」の家畜化は、夜中
にほぼ決まった時間に鳴くという習性を活かして、時計代わりの
目的で始まったようです。そして、家畜化により、産卵マシーン
となったニワトリ、白色レグホンは、自分自身で卵を育てられる
習性がなくなってしまうという特徴が明らかになりました。
受講生は、今回のプログラムを通じ、普段何気なく飛んでいる
ように見える鳥が、体のメカニズムをうまく活用して飛んでいるように見えることでしょう。また、食生活に
なじみのあるニワトリの話を通じ、人間が、
「育てる」という習性を持ち、命の尊さを認識することができる
生き物であることを学んだことでしょう。
今回講師をしてくださりました、千葉市動物公園飼育課の松本先生、本当にありがとうございました。