社長 の 右腕! - 日本労務センター

発 行 日 2015年3月号
第649号
日本労務センター
社長 の 右腕!
●困った社員情報5 今月のテーマ「悪質な社員の引抜きと損害賠償」
1.損害賠償請求をしちゃいましょう!
社員の引き抜きなどで会社が損害を被ったら損害賠償を請求すればいいのです。
法律など扱う専門家に問うと「損害賠償を請求できるかは…微妙ですねぇ」という
回答が返ってくることが多いです。「できるか否か」と「取れるか否か」は別問題
です。損害賠償の請求は「すれば」いいのです。賠償されるか否かは「結果」で
す。お金も大事ですが、社長の姿勢(意地)が大事ですよね。
2.引き抜き行為を行う者の会社に対する義務
社員は、会社に対して、雇用契約に付随する信義則上の義務として、使用者の正当
な利益を不当に侵害してはならない競業避止義務、いわゆる雇用契約上の誠実義務
を負っていると考えられています。
引き抜き行為が単なる転職の勧誘の域を越え、社会的相当性を逸脱し極めて背信的
な方法で行われた場合には、当該行為を行った社員は雇用契約上の誠実義務に違反
したものとして、損害賠償責任を負うものとされています。
3.賠償すべき損害はいくらか?
A:会社の営業利益(粗利益から固定経費を除く販売管理費を差し引いた後の利益)
→本件では、年間約2000万円
B:会社の全顧客数
→本件では、約2600件
C:奪われた顧客数
→本件では、約80件
D:不法行為がなければ利益を得られたであろう期間
→本件では、契約切り替え競争の激しいプロパンガス業界の現状を考慮して、被
告らによる引き抜き・顧客奪取行為がなければ、少なくとも約0.5年(6ヶ月)は契約
を継続し得たと認定されている。
会社の被った損害=A÷B(顧客一人当たりの年間平均利益)×C×D=約30万円と判断
されたそうです。
4.競業避止義務合意書などを締結しておきましょう!
競業避止義務の特約を結んでいれば、社員は会社に対して競業避止義務を負うこと
になります。退職後についても競業避止義務の特約を結ぶことが可能であり、これ
を結んでいる場合には、退職後の元社員も競業避止義務を負うことになります。
引き抜き行為は同義務違反として違法となることが多いものと考えられます。
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