2015 大阪大学前期日程(2/25 実施) 地理 【解答例】 (Ⅰ) 問1 ケッペンは,自らの旅行体験をもとに,気候が異なると地表を覆う植物も異 なったり,なくなったりするという,気候による植生分布の変化に注目し, 植物景観を基準として,代表的な気候要素である気温と降水量を指標として 世界の気候区分を行った。彼の義理の息子であるウェゲナーは,例えばアフ リカ大陸と南アメリカ大陸にまたがる地形・地質や生物化石の分布などが解 明されたのを背景に,気候が温暖湿潤で植物が繁茂して森林をなして動物も 出現した古生代の石炭紀以降に大陸が分裂して移動したとする大陸移動説を 唱えるに至った。 (246 字) 問2 最大の要因は周年中緯度高圧帯が支配することである。年中下降気流が卓越 するため,回帰線砂漠が形成される。第二の要因は隔海度が大きいことであ る。海洋から水平・垂直的に離れ水蒸気が届かず,内陸砂漠が形成される。 第三は沖合を流れる寒流である。中緯度の大陸西岸では,中緯度高圧帯から の下降気流が卓越するうえに,寒流が空気を冷却して下層が低温,上層が高 温という大気の安定構造ができ上昇気流が発生しにくく,海岸砂漠が形成さ れる。第四は卓越風に対して大山脈の風下に位置することであり,水分が失 われて雨陰砂漠が形成される。 (252 字) (Ⅱ) 問1 先進国企業を誘致してその資本や技術を導入するため, 税金などの面で優遇措 置を与える経済特区を華南の沿海部に5か所設置したほか,先端技術産業を誘致 する経済技術開発区を内陸部にも設けた。また,農村の余剰労働力を用いて軽工 業製品などを生産する,町村や個人が経営する郷鎮企業を認めた。これらにより 社会主義市場経済体制が強力に推進されたことで,中国における工業生産と輸出 が大きく伸びて,飛躍的な経済成長を遂げることができた。 (206 字) 問2 b・d 問3 一人っ子政策により,出生率が低下して急速な高齢化が進行しており,農村部 で男性比率が高いというような,いびつな人口構成が指摘されている。また,東 部沿海地域への農村戸籍の民工の流入が著しいため,西部内陸地域との経済格差 は極めて大きい。少数民族政策では,例えばチベット族やウイグル族に対しては 自治を認めているが,政府の干渉は強く,暴動も発生した。環境問題としては, 硫黄酸化物や PM2.5 を含む黄砂による大気汚染が深刻である。(205 字)
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