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名古屋大学【日本史】解答例
問題Ⅰ
問1 地方開発の一環として,陸奥の金や対馬の銀,周防・長門・武蔵の銅な
ど鉱山開発が進められ,精錬された金属は,銭貨や仏像製造に用いられた。
問2 銭貨は,溶けた銅を鋳型に流し込み,鋳型から取り出した後に銭を1枚
ずつ切り離して整形するという方法で製造された。
問3 口分田を班給した後に余った乗田や,貴族や寺社が開発・荘園化した墾
田は,周辺の班田農民に1年を原則として貸し与える賃租によって耕作さ
せ,租の代わりに収穫の5分の1を地子として徴収した。
問4 日宋貿易が盛んとなって,良質な宋銭が大量に輸入されたから。
問5 年貢を米ではなく定期市などで換金した銭貨で納める代銭納が広がった。
問題Ⅱ
問1
武家政権の内部には武士社会の慣習による御成敗式目を適用しながらも,
国家の根本法典である律令は改変せずに公家法として尊重する姿勢を示した。
問2 雑訴決断所
所領紛争を記録所に代わって処理する,引付を踏襲した訴訟機関。
問3 京都の警察権や民事裁判権,土倉・酒屋に対する商業課税権。
問4 法度で制限された紫衣の勅許を後水尾天皇が乱発したため,幕府は僧侶か
ら紫衣を剥奪した。後水尾天皇は娘の明正天皇に譲位したが,幕府は武家伝
奏を処罰し,法度が天皇の勅許に優越することを示した。
問5 幕府は大義名分論に基づいて朝廷を尊重したが,光格天皇が実父の閑院宮
典仁親王に太上天皇の尊号を宣下しようとした際に老中の松平定信が中止さ
せたため,朝幕関係が悪化して朝廷の自立化が進んだ。
問題Ⅲ
問1
a,平戸 b,フェートン号 c,パークス d,四カ国条約
e,加藤友三郎
問2 シベリア鉄道を計画するなど東アジア進出を企図したロシアを牽制
するため。
問3 扶清滅洋を掲げる義和団の蜂起に清国が同調して北清事変が起こる
も連合軍により鎮圧 され,清国は北京議定書の締結により列強の駐留
権などを容認した。
問4 ドイツの中国権益である青島・山東省を接収し,赤道以北のドイツ
領南洋諸島を占領した。
問5 陸軍を中心とする徹底抗戦派による本土決戦の主張を退け,昭和天
皇のいわゆる聖断に 基づきポツダム宣言受諾を決定し第二次世界大戦
を終結へと導いた。
問題Ⅳ
問1
問2
問3
医学や測量技術など実用的な学術・文化が選択的に摂取された一方,
幕府の外交政策を批 判した蘭学者らを蛮 社の獄で処罰するなど弾圧の
対象にもなった。
小学校義務教育における授業料の徴収が原則廃止された。
大日本帝国憲法では天皇は統治権の総攬者として強大な天皇大権を
保持したが,日本国 憲法では政治的権力を所持しない日本国民統合の
象徴と規定された。
問4 近世には寺子屋で読み・書き・算盤の実用教育が施された。明治政
府は功利主義による 学制を発布,教育勅語で忠君愛国の道徳を強調し
た。大正期に就 学率 はほぼ 100%を達成 し,戦時中には国民学校で皇
国民錬成を目指した 。戦後,六・三・三・四の新学制を定めた学校教
育法が制定され自由主義的改革が推進された。