平成26年度職員による政策研究報告書【概要版】 【研究テーマ】 「もったいない!あなたの生ごみ活かしませんか!?」~目指せ!ごみ減量日本一~ 【研究メンバー】グループ No.2 北信地方事務所商工観光課 北信地方事務所環境課 北信地方事務所環境課 浅野一彦 環境部資源循環推進課 宇都章吾 沖 美香(GL) 長野地方事務所環境課 尾崎裕之 川面貴司 飯山市木島地区活性化センター 沼田英俊 1.はじめに 生ごみを減らし活かしたい、という思いを政策に反映するため、ごみ全体量を抑制し、地域とのつ ながりを深めることをテーマに研究しました。 2.長野県の一般廃棄物処理の現状 長野県におけるごみ(一般廃棄物)の総排出量は、平成 14 年度の約 82 万 5 千トンをピークに減少 傾向となっていますが、近年、総排出量は横ばい傾向となっています。 長野県では、1 人 1 日当たりのごみ排出量を平成 29 年度までに 800g に、リサイクル率を平成 27 年度 までに 30%にするという数値目標を掲げていますが、 近年の傾向を見るとごみ排出量・リサイクル率のいず れも目標達成が難しくなっています。 しかし、全国的にみると長野県は1人1日当たり のごみ排出量は 862g と3番目に少なく、リサイクル 率は 7 番目に高い数字となっています。1人1日当 たりの排出量が1番少ない熊本県は 845g であり、 その差は 17g となっています。 また、県では、ごみ焼却に伴うダイオキシン類の 発生抑制や市町村のコスト削減のため、ごみ処理を 広域で集約化することを目標とした「ごみ処理広域 化計画」を策定しています。市町村においても広域 処理を視野に入れた減量目標を設定するなど、ごみ の分別収集、資源化の取り組みが進められています。 3.市町村の取り組み 現在長野県内には 23 のごみ処理施設があり、14 の広域連合や組合などで運営しています。その多 くが平成 30 年度前後を目標に、施設数を減らし1施設あたりの処理能力も縮小する整備方針を打ち出 しているため、ごみの減量は市町村にとっても喫緊の課題といえます。 市町村ではそれぞれ独自に資源物の分別収集を導入するなど、ごみの減量化・再資源化に努めてい ますが、中でもごみの 3~4 割(重量ベース)を占めている‘生ごみ’に着目し、再資源化(堆肥化) を進めている市町村があります。また、生ごみを行政が回収し再資源化するだけではなく、 「そもそも 生ごみを出さない」 (排出抑制)施策として「ごみ処理機購入費補助制度」を多くの市町村が実施して います。 4.提案内容 長野県が1人1日当りごみ排出量が少ない理由として、生ごみの自家処理を行っている地域がある ことが考えられます。生ごみ自家処理とは、住民が生ごみを直接自らの畑へ埋めたり、コンポスト容 器を利用することで堆肥化を行い、農業に利用することですが、農地を持たない人でも手軽に生ごみ の減量が行える方法を普及してはどうかと考えました。 前述のとおり長野県は1人1日当たり排出量の少なさが全国3位。3位と聞けば1位を狙いたくな る心情を狙って、熊本県のゆるキャラ「くまモン」VS長野県の「アルクマ」のストーリーで「打倒! くまモンプロジェクト」県職員による生ごみ減量作戦を展開しようと考えました。 プロジェクト1・県職員によるダンボールコンポストの実践 アンケート結果や周辺市町村の取り組みも踏まえて、手軽にでき る「ダンボールコンポスト」の普及を図るため、まずは県職員から 実践しよう!と考えました。(ダンボールコンポストについては報告 書本編をご覧ください) 多くの市町村もダンボールコンポストの普及に取り組んでいます が、それを「県職員に広めよう!」というプロジェクトです。 プロジェクト2・地域の各種団体との交流 県職員も地元市町村の住民であることを忘れずに、地域に合った方法でごみの減量化を探ることも 必要です。地域に戻って、実際に様々な活動をされている方々と交流し、自らが地域のリーダーとな るべく、ダンボールコンポストを始めとした「ごみを出さない生活」を推進しましょう。 プロジェクト3・教育現場等における食の循環教育の推進 食の循環教育を実践する場として、保育園や幼稚園、小学校などは最適の場所と言えます。 大人にしてほしいことはまずは子供から、の発想で、ごみ減量だけにとどまらない環境学習の推進 を目指したいと考えます。 プロジェクト4・水切りで10%減量 生ごみを捨てる前にギュッとひと搾りすることで約 10%の水分が減量できるので、生ごみの減量の ために時間をかけられない人でも簡単にできることを広報します。 プロジェクト5・ごみ減量・分別アプリの開発 「実は減量以前に分別が出来ていない」という市町村の声もあったので、県と市町村が共同でごみ 分別アプリを開発してはどうでしょうか。ゲーム感覚でごみの減量と分別を取り込むことにより、こ れまでアプローチしてこなかった層に発信出来るかもしれません。 5.期待される効果 生ごみは約 80%が水分であり、焼却施設では水分を飛ばすために多くの熱エネルギーが使われてい ます。生ごみの水切りや自家処理により可燃ごみに含まれる生 ごみの量を減らせば、焼却施設における熱エネルギーを発電等 に利用するなどの効果が見込めます。 また住民にしてみれば、何よりも、生ごみの臭いによる不快 感から解放され、快適にごみ出しが出来ますし、生ごみ堆肥は 畑やちょっとしたプランターなどでも使えます。 左は普通の土、右は生ごみ堆肥を少し混ぜています。 6.おわりに 当研究を通して、あらためて「住民目線」で考えることの大切さを感じました。縦割りの「お役所 仕事」はやめて、住民にとって何が大切なのか自ら考え、住民・市町村と協働し、必要とされる組織 でありたい、と考えています。 「先ず、隗より始めよ」 誰かに何かを勧めるならまず自分から・・・という想いを持って、 「顔の 見える身近な行政」を目指していきたいと思います。
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