省エネ型二酸化炭素回収プラント「ESCAP ®」の営業開始について

ニュースリリース
平成24年12月27日
新日鉄住金エンジニアリング株式会社
省エネ型二酸化炭素回収プラント「ESCAP ®」の営業開始について
新日鉄住金エンジニアリング株式会社(代表取締役社長 高橋 誠)は、世界最高の省エネプロセスを用いた二酸
化炭素回収技術を完成し、‘ESCAP ®’の商品名で営業を開始しました。本商品は、独立行政法人 新エネルギー
・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究である「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」の一環で
開発した化学吸収法で、熱エネルギー消費量を大幅に低減させると同時に、吸収法の加熱温度を 100℃以下まで
下げることに成功しました。
化学吸収法は、アルカリ性の反応液(化学吸収液)に二酸化炭素を選択的に吸収させ、その液を加熱すること
で、二酸化炭素を分離・回収する方法ですが、その加熱に多大なエネルギーを使用するため、二酸化炭素の回収
コストが高くなるといった課題がありました。
そこで、当社は公益財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)と新日鐵住金株式会社が開発した化学吸収
液をベースに反応プロセス等に工夫を加え、二酸化炭素の回収率を 90%以上の高い状態に維持したままで従来
法と比べて熱エネルギーの消費量を6割以下(二酸化炭素1トン回収時の蒸気消費量が1トン程度)に削減する
技術を開発しました。
また、吸収液の加熱温度も従来の 120℃から 95℃まで低減し、利用価値が殆ど無い低温排熱を活用できるよう
になりました。これらにより、二酸化炭素の回収コストを大幅に低減する事が可能となりました。
さらに、本プロセスに用いる化学吸収液は耐久性の面でも非常に優れており、9 千時間に及ぶ耐久試験におい
て吸収性能の長期安定性を確認することができ、燃料ガスや燃焼排ガスなど様々な原料ガスに適応する為の工夫
を加え、商品化しました。
本技術は、将来の革新的温暖化対策技術として注目されている CCS(二酸化炭素地中貯留技術:二酸化炭素が
大規模排出源から大気に放出される前に回収し、地下深くに封じ込める技術)を構成する重要技術として開発さ
れましたが、先ずは炭酸ガスの需要家、EOR(石油増進回収法)、常圧可燃性ガスのガス品質向上等の用途に、本
省エネ型二酸化炭素回収技術を適用して行きたいと考えております。
[お問い合わせ先]
総務部広報室 03-6665-2366