牛の口腔腫瘤H25[PDFファイル/15KB]

演
題:牛の口腔腫瘤
機
関
名:長崎県諫早食肉衛生検査所
動
物
名:牛
品 種:黒毛和種
氏 名:大坪
性 別:去勢
幸司
年 齢:27 ヶ月齢
病 歴:初診時、左下顎先端に直径約 4∼5cm 大の腫瘤の形成を認め、その後様子をみるも 2
ヶ月の間に腫瘤は直径約 10cm 大に腫大した。
生体所見:左下顎先端の腫瘍として病畜搬入。やや採食不良、やや元気消失。
肉眼所見:下顎切歯部の腫瘤は 10.0×7.0×5.5 cm で、左下顎先端から外側に隆起していた。
腫瘤表面には潰瘍が認められ、大小の歯に類似した構造物も認められた。腫瘤割
面は灰白色充実性で、外層は弾力性を有しており、一部で骨様の硬い小片や血液
状浸出液が貯留した嚢胞の形成も認められた。
腫瘤は口腔内に限局しており、その他の臓器に著変は認められなかった。
組織所見:腫瘤部は、円柱状のエナメル上皮様細胞に囲まれた大小の胞巣を多数形成し、そ
の内部にはエナメル髄様の星状の細胞が疎に網状配列していた。胞巣を囲むエナ
メル上皮様細胞に隣接してエナメル質、象牙質といった歯原性硬組織も多数形成
されていた。また、胞巣を取り巻くように膠原線維の増生が認められた。エナメ
ル上皮様細胞には、異型性や分裂像は認められなかった。
免疫染色の結果、胞巣を取り囲むエナメル上皮様細胞とその内部のエナメル髄様
の細胞はサイトケラチン(AE1/AE3:Dako)陽性、エナメル上皮様細胞に接する間
質で歯乳頭様の細胞はビメンチン(V9:Dako)陽性であった。
固定方法:10%中性緩衝ホルマリン液
切り出し部位(図示)
行政処分:一部廃棄
組織診断名:エナメル上皮歯牙腫
疾病診断名:エナメル上皮歯牙腫