演 題 :牛の頚部腫瘤 機関名 :新潟県長岡食肉衛生検査センター 動物名 :牛 病 品種:交雑種 性別:去勢 氏名:星野麻衣子 年齢:23 ヶ月齢 歴 :不明。一般畜として搬入された。 生体所見:体格は中、栄養状態は良好であり異常を認めなかった。 内臓所見:頭部検査の際、気管喉頭上側の脂肪組織に付着する直径 15cm の硬度のある乳白色 腫瘤(以下、頭部腫瘤とする。 )を認めた。さらに背割り後のと体頚部(気管に添 った位置、筋組織に付着)に、15cm×30cm の同様腫瘤(以下、頚部腫瘤とする。) を認めた。両腫瘤は周囲組織との分離が容易であった。深頚リンパ節は頚部腫瘤 と融合し外形は細長く、脆弱であった。腎臓には直径 3 ㎜大の白色結節が散在し ていた。左右浅頚リンパ節および内側咽頭後リンパ節はやや腫大していた。その 他の臓器、リンパ節に著変を認めなかった。 組織所見:頭部腫瘤および頚部腫瘤では、腫瘍細胞が分裂増殖しその間を結合線維が不規則 に走行していた。腫瘍細胞は小型円形でヘマトキシリンに濃染する核を有し、核 小体は不明瞭、細胞質に乏しかった。核の大きさはほぼ均一で核分裂像を散見し た。両腫瘤の腫瘍組織内では、腫瘍細胞が巣状に壊死する部位が散見され腫瘍組 織辺縁部ではリンパ管の拡張と広範な壊死を認めた。 深頚リンパ節では濾胞構造は消失し、腫瘍細胞がびまん性に増殖していた。頭部 腫瘤や頚部腫瘤とは異なり腫瘍細胞間における結合線維の増生は軽度であった。 腎臓では腫瘍組織はリンパ濾胞様構造を呈し、腫瘍細胞は周囲組織へ浸潤してい た。内側咽頭後リンパ節では、腫瘍細胞はリンパ洞に浸潤増殖していたが濾胞構 造は残存していた。 酵素抗体法を用いた免疫染色で、腫瘍細胞は CD79αモノクローナル抗体(ニチレ イ)に陽性を示した。 そのほか:血清中 BLV 抗体は陰性(抗体価 4 倍)であった。枝肉残血を用いた血液塗抹標本 で、異型リンパ球は確認されなかった。 固定方法:10%中性緩衝ホルマリン 切出し部位: ① 頚部腫瘤 ② 深頚リンパ節 行政処分:全部廃棄(牛白血病) 組織診断名:①牛の頚部胸腺の B 細胞性リンパ腫 ②牛の深頚リンパ節の B 細胞性リンパ腫 疾病診断名:牛の全身性 B 細胞性リンパ腫(胸腺原発を強く疑う)
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