小自由度カオスの基礎と応用

デジタルデータ
標本化と量子化
【音響信号;acoustic signals 】
時間t上の粗密波の振幅を表す連続関数s(t)
s
【写真;photograph 】
2次元空間(h,v)上の明るさを表す連続関数s(h,v)
v
t
【標本化;sampling】
時空間上の連続関数を離散化する処理
s
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s
n
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. . .m . . . ... . . . . .
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【量子化;quantization】状態量を整数化する処理
n
内積空間と記憶機構
線形ベクトル空間
【ベクトル空間;vector space 】
集合Xには,任意の2元x,y ∈X間の和x+yと差x-yが定義され,
結合則の成立
:x+(y+z) = (x+y)+z
交換則の成立
:x+y = y+x
単位元・逆元の存在:x+0 = x, x+(-x) = 0
が成り立つとする.また,定数a∈R1との積axが定義されており,
定数の分配則の成立: (a+b)x = ax+bx
元の分配則の成立 : (x+y)a = ax+ay
単位元と逆元の存在:0x = 0, 1x = x
が満たされて,線形結合ax + byもXの元となるとき,元をベクトルといい,
Xをベクトル空間という.
上記の定義において最も重要な点は,
「何か“x”と何か“y”の線形結合ax+byで,別の何か“z”が作られる」
という特性にある.z は,“x”らしさと“y”らしさだけを持つことに注意する.
ここで,線形結合・線形独立・線形従属・基底・次元の概念を熟知しよう.
座標を決める=空間を張る
直線A={ae1:a∈R1}は,ベクトルe1
で張られる1次元部分空間である.
C
B
ce3
be2
e2
集合X
e3
A
e1
直線B ={be1:b∈R1}は,ベクトルe2
で張られる1次元部分空間である.
ae1
線形独立性:e1とe2が平行でない
ならば,AとBは同一直線ではない.
AとBは一つの平面を定める.
平面a={ae1+be2 : a, b∈R1}は,e1およびe2
で張られる2次元部分空間である.
集合X上の任意の点xが,線形独立なn個のベクトルの線形結合
X = a1e1+a2e2 +……. +anen
で表現されるとき,集合Xはn次元ベクトル空間をなす.ここで,{e1,…,en}を基底系,
{a1,…,an}を成分(あるいは係数) という.
実際に成分を計算するとき,“距離”の拡張概念である“内積”が重要となる.
ベクトル空間から内積空間へ
【内積;inner product 】
ベクトル空間X上に,任意の2ベクトルx,y ∈Xを実数値<x,y>へ対応づける
写像が定義されており,
分配則の成立
交換則の成立
定数の括り出し
非負性
:<x+y,z> = <x,z> + <y,z>
: <x,y> = <y,x>
:<ax, y> = a<x.y>
:<x, x> ≧ 0, <x.x> =0 ⇔x = 0
を満たすとき,<x,y>を内積といい,Xを内積空間という.
距離の公理:<x,x>=||x||2は,距離である. 直交性:<x,y>=0 ⇔
xとyが直交する.
コーシー・シュワルツの不等式:|<x,y>| = ||x||||y|| ⇔ xとyが平行(線形従属)である.
【射影;projection 】
y
ベクトルxが正規化(||x||=1) されているとき,
内積<x,y>は,xの張る部分空間へ落ちるY
の影の長さとなる.
x
<x,y>
直交パターン
直交する
直交しない
直交しない