84 腹部超音波検査で描出可能であった悪性中皮腫の1例 ◎杉山 健一 1)、加藤 利佳 1)、下平 弘樹 1)、秋城 京子 1) 社会医療法人 栗山会 飯田病院 1) 【はじめに】 病変認めた。また両肺に多発結節認めた。(転移疑い) 悪性中皮腫とは胸膜、腹膜の表面を覆っている中皮細胞が 腹水(+)、縦隔にリンパ節腫大(-)、肝内に SOL(-) がん化した稀な腫瘍であり、発症の約 80%にアスベストが 3.病理所見(針生検) 関与している。ほとんどが胸膜に発生するため超音波検査 組織所見 炎症細胞が見られる中に、多稜形の細胞質に核不 で見つかることは少ない。我々は腹部超音波検査時に描出 整の見られる異型細胞が少数見られた。 することができた悪性中皮腫を経験したので報告する。 免疫染色 CK7;(+)、CK20;(-)、CAM5.2;(+) 【症例】 カルレチニン;(+)、WT-1;(+) 82 歳男性 発熱、咳、上腹部不快感で近医を受診し当院紹介 免疫染色の結果から悪性中皮腫、上皮型が考えられ最終診 【来院時現症及び検査所見】 断は悪性胸膜中皮腫の腹腔内進展及び多発肺転移。 体温 36.7℃ 両肺野に胸部ラ音(+) 【考察・まとめ】 会話中、喘鳴あるも呼吸困難感など自覚症状無し。 腹部超音波検査では腹膜由来の腫瘤である事は示唆できた 1.超音波所見 が、胸腔内の詳細な観察は行われず胸腔内へ続く腫瘤を描 肝臓右葉と腹膜の間に径 25×65㎜程の充実性腫瘤を認めた。 出することができなかった。アスベストの輸入ピーク期間 腫瘤は腹膜に接していて肝臓実質を圧迫。内部 echo は不均 と発症平均潜伏時 40 年から推測すると 2010 年以降今後、 一で明らかな血流はない。周囲には腹水と思われる少量の 患者数の増加が予想される。約 80%が胸膜に発生するため、 液体が貯留していた。腹膜由来の腫瘤が疑われた。 咳、発熱、特に胸水貯留の所見を認めた場合は胸膜の肥厚 2.胸腹部造影 CT 所見 等、胸腔内の観察をすることが重要であると思われた。 右胸膜沿いに長径 85㎜大の腫瘤及び肝表の腹膜に結節性 0265-22-5150
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