平成 25 年度 家庭用品健康被害防止調査 冷感製品に含まれるイソチアゾリノン系以外の防腐剤等の実態調査 国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎、五十嵐良明 -------------------------------------------------------------------------------概要 イソチアゾリノン系以外の防腐剤を使用したポリビニルアルコール(PVA)製冷感タオ ル使用者に接触皮膚炎が生じたとの情報が寄せられた事から、PVA 製タオル 21 製品を対象 に、イソチアゾリノン系防腐剤とそれ以外の防腐剤の計 19 種類の防腐剤について実態調査 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 2-methyl-4-isothiazolin-3-one ( MI ) お よ び 5-chloro-2-methyl-4-isothiazolin-3-one(CMI)が 16 製品(15 製品: 7.9~173 μg/g-wet、 1 製品: 2.9~9.3 μg/g-dry)、2-n-octhyl-4-isothiazolin-3-one(OIT)が 1 製品(484 μ g/g-wet)、2-bromo-2-nitoropropane-1,3-diol(Bronopol: BP)が 15 製品(14 製品: 68~2303 μg/g-wet、1 製品: 160μg/g-dry) 、2-phenoxyethanol(PE)が 3 製品(99~3171 μg/g-wet) および安息香酸(Benzoic acid: BA)が 2 製品(1896~23043 μg/g-wet)から検出され、 それ以外の防腐剤は検出されなかった。BP、PE および BA が検出された製品について使用 前洗浄を摸した試験を行ったところ、BP および PE は洗浄によりほとんど除去された。一 方、BA は洗浄後でも残留しており、製品中に高濃度で使用されていた事が原因と考えられ た。ただし、BA の洗浄後の濃度は化粧品使用限度(1%)以下であり、その接触皮膚炎事 例もほとんど報告されていないことから、残留 BA が皮膚障害を起こすリスクは低いと考え られた。イソチアゾリノン系防腐剤が検出された PVA 製タオル製品の半分以上はイソチア ゾリノン系防腐剤使用の表示が無く、一緒に使用された別の防腐剤名のみが記載されてい たり、防腐剤の名称や防腐剤使用の記載が無かったりした。また、イソチアゾリノン系防 腐剤不使用と表示していた製品からイソチアゾリノン系防腐剤が検出されたり、表示され た防腐剤が検出されず別の防腐剤が検出されたりした。このように、表示と実際に使用さ れている防腐剤とに齟齬が生じている製品や、消費者が防腐剤の有無等を誤認する可能性 のある製品が流通している実態が明らかとなった。そのため、PVA 製タオル製品の製造・ 輸入・販売業者は、防腐剤に関する製品表示等の改善が必要である。 -------------------------------------------------------------------------------論文発表 Kawakami T, Isama K, Ikarashi Y.: Analysis of 19 preservatives in polyvinyl alcohol cooling towels used in Japan by high performance liquid chromatography with photo diode array detector, J. Environ. Anal. Chem., 2:122. Doi:10.4172/JREAC.1000122 (2015) -------------------------------------------------------------------------------- 学会発表 河上強志・伊佐間和郎・五十嵐良明:皮膚に触れる可能性のある家庭用品に使用されてい る防腐剤の実態-冷感タオルおよび衛生製品等における事例, 第 23 回環境化学討論会 (2014.5, 京都)
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