研究背景 土壌中のヒドロゲルが水 分を保持することで土壌 が乾きにくくなる! 近年、ヒートアイランド現象や砂漠化といった環境問題 への対策として、屋上緑化や乾燥地緑化計画などが 盛んに行われている。 そこで、保水材としてヒドロゲルの利用が期待される。 ヒドロゲルとは 三次元網目構造を持つ親水性 のポリマーであり、自重の数百 倍の水分を吸収し、圧力をかけ ても離水しにくいという特性を 持つ。 ゲルの種類 化学架橋ゲル COO- 架橋剤 共有結合による架橋 膨潤ゲル COONa+ OSO3 - K+ O M+ COO- 吸水の仕組み 乾燥ゲル 物理架橋ゲル H H O 静電気的な結合や 水素結合による架橋 高分子網目内の負電荷反発 によりゲルが膨らむ。 また、網目内で解離したカチオ ン種を薄めようとする力が働き、 ゲルが吸水し、網目内に水分 を保持する。 ポリアクリル酸塩系 ~化学架橋ゲル~ 天然多糖類 ~物理架橋ゲル~ イタコン酸-PVA ~化学-物理架橋ゲル~ ポリアクリル酸ナトリウム 酸味料としても使用されている イタコン酸(IA) アルギン酸ナトリウム 褐藻類由来 洗濯糊の主成分 ローカストビーンガム ポリビニルアルコール カロブ豆由来 (PVA) 架橋剤 アクリル酸塩と架橋剤のラジカル重合に よる化学架橋ゲル 最もポピュラーな高吸水性ポリ マーであり、おむつにも利用され ている。 しかし、生分解性に乏しく、自然 環境への負荷が大きい。 κ-カラギーナン 紅藻類由来 Ca2+による静電気力やOH-の水素結合と いった物理架橋 さらに、複数の網目同士が複雑に絡み合う 相互侵入高分子網目(IPN)構造 天然由来の材料からなり、触媒や重 合開始剤を用いずに調製され自然環 境中で分解する。 しかし、機械的強度に欠けている。 ジビニル型架橋剤により化学架橋を形成す るIA 水素結合により物理架橋を形成するPVA 化学架橋と物理架橋からなるIPN構造 生分解性を有するIAとPVAを用 いることで環境に優しいゲルであり さらに機械的強度も期待できる。 ≪評価項目≫ IAにPVAを組み 合わせることに よって再膨潤率 の低下を遅らせ ることができた!! 吸水率 ~水中~ 吸水率 ~塩類溶液~ 強度 再膨潤率 保水性 コスト 環境への負荷 IA-PVA ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ IA ○ △ × × ○ ○ ◎ PVA △ ◎ ◎ ◎ △ ○ ◎ ポリアクリル酸塩系 ◎ △ ◎ ◎ ◎ ◎ × 天然多糖類 ◎ △ × × ○ × ◎
© Copyright 2024 ExpyDoc