平成 25 年度 家庭用品健康被害防止調査 冷感製品以外の製品に含まれるイソチアゾリノン系防腐剤の実態調査 国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎、五十嵐良明 -------------------------------------------------------------------------------概要 近年、いわゆる冷感グッズ中のイソチアゾリノン系防腐剤による接触皮膚炎が報告され ている。その一方、それらの製品以外の家庭用品中のイソチアゾリノン系防腐剤の実態は 不明である。今回、消費者が防腐剤に直接暴露され易い形態であるウェットティッシュ製 品について、イソチアゾリノン系防腐剤を含む 19 種類の防腐剤の実態調査を実施した。32 製品を調査した結果、イソチアゾリノン系防腐剤では、2-methyl-4-isothiazolin-3-one およ び 5-chloro-2-methyl-4-isothiazolin-3-one が 19 製品(0.46~48 μg/g-wet)および 17 製品 (t.r. ~52 μg/g-wet)から、benzisothiazolin-3-one が 1 製品(67 μg/ g-wet)から検出 された。パラベン類は methylparaben が 21 製品(tr.~834 μg/g-wet)から検出され、 ethylparaben が 20 製品(tr.~748 μg/g-wet) 、propylparaben が 6 製品(30~328 μ g/g-wet)、isobutylparaben および butylparaben がそれぞれ 1 製品(42 および 73 μ g/g-wet ) か ら 検 出 さ れ た 。 そ の 他 、 bronopol が 12 製 品 ( 4.7 ~ 254 μ g/g-wet )、 3-iodo-2-propynyl N-butylcarbamate が 11 製品(tr.~62 μg/g-wet) 、phenoxyethanol が 4 製品(65~1159 μg/g-wet)からそれぞれ検出された。これら以外の防腐剤については検 出されなかった。検出されたイソチアゾリノン系防腐剤濃度は、既にイソチアゾリノン系 防腐剤に感作されている消費者にとっては、製品の使用によって接触皮膚炎が惹起される 可能性が考えられた。しかしながら、製品にはイソチアゾリノン系防腐剤による接触皮膚 炎の注意書きなどは記載されていなかった。また、表示された防腐剤と実際に検出された 防腐剤が異なっている製品が存在した。このような製品は、既に特定の防腐剤に感作され ている事を認識し、それを避けて製品を購入している消費者にとっては、そのリスク回避 行動が無駄になるだけではなく、接触皮膚炎を発症した際の原因物質の特定が困難になる 可能性が考えられる。そのため、これらの製品における防腐剤に関する製品表示等の改善 が必要である。 -------------------------------------------------------------------------------学会発表 河上強志・伊佐間和郎・五十嵐良明:皮膚に触れる可能性のある家庭用品に使用されてい る防腐剤の実態-冷感タオルおよび衛生製品等における事例, 第 23 回環境化学討論会 (2014.5, 京都)
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