5節 基本計画(地域生活) [PDFファイル/280KB]

第2部
津南町障害者計画
第5節 地域生活の支援
1 日常生活の支援
(1)現状と課題
障害のある人が住み慣れた家庭や地域で安心して暮らすためには、居宅介護な
どの障害福祉サービスの確保とあわせ、多様なニーズに対応する生活支援体制を
充実させることが必要です。
生活支援の一つに経済支援が挙げられます。経済的な支援としては、一般的な
ものに、障害年金、特別障害者手当、特別児童扶養手当などの年金・手当制度が
あります。ほかに、自立支援医療や県単医療費助成事業などの公費負担医療制度
があります。町でも、重度障害者見舞金や人工透析患者通院費助成、精神障害者
入院医療費助成などの町単独事業を行っています。
しかし、障害のある人のうち就労している人は少なく、例えば共同生活援助(グ
ループホーム)に入居している人は収入が年金に作業工賃を加えた程度の人が多
く、減免制度はあるものの利用者負担金や食費などの支払いでほとんど手元に残
らないという実態にあります。
また、重度障害のある人の日常生活上の便宜を図るため、補装具・日常生活用
具給付事業を行っています。日常生活用具については町の事業であることから、
町民のニーズに応じて助成基準や助成対象品目を見直していきます。
知的障害や精神障害のため判断能力が十分でない方々の財産管理や悪質な消費
者トラブルから守ることなどの支援も必要です。障害のある人の財産管理を支援
する制度として、日常生活自立支援事業や成年後見制度があります。相談員や民
生委員と連携し障害のある人の人権・権利擁護に積極的な支援が必要です。
また、
平成 24 年4月から「成年後見制度利用支援事業」の対象者を障害のある人にも拡
大し、成年後見制度の利用支援を行っています。
しかし、全国的に後見人となる人の確保が課題となっており、後見制度の普及
が進みにくい状況にあるため、関係機関と連携しながら、制度の普及に努めて行
かなければなりません。
さらに、住宅のトイレや浴場の改修及び公共的建物、道路などのバリアフリー
化を進め、安全・安心な生活環境を整備することも大切です。公共的建物のなか
には構造上の問題や費用の面から改修が困難な所もありますが、障害のある人や
高齢の人が気軽に利用できる環境づくりが求められています。
- 52 -
第2部
津南町障害者計画
(2)今後の施策及び方向性
取り組み
①各種支援制度の周知
内
容
福祉サービスは知っていても、制度は知らなかっ
たという声があります。前節でも述べましたが、相
談支援のなかでの周知や、広報紙などにより周知に
努めます。
②福祉用具給付サービス
の充実
③権利擁護の推進
補装具・日常生活用具の補助対象品目の充実に努
めます。
町社会福祉協議会が行う日常生活自立支援事業
(地域福祉権利擁護事業)について、生活支援員の
確保を支援します。
成年後見制度の周知に努め、成年後見制度の利用
に向けた支援を行います。
④経済的負担の軽減
年金・手当制度の利用とあわせ、次の町単独事業
を継続し経済的負担の軽減に努めます。
・重度心身障害者見舞金
・精神障害者入院医療費助成
・人工透析患者通院費助成
・施設入所者送迎等交通費助成
⑤住宅改修費助成の実施
手すりの取り付けや段差の解消など住宅改修費
の助成により、在宅生活を支援します。
⑥公共的建物、道路などの
バリアフリー化の推進
公共的建物において、手すりの取り付けや洋式便
座の整備などバリアフリー化を進めます。また、冬
期間の出入り口確保に努めます。
道路においては、歩道の確保やバリアフリー化に
ついて国や県と連携しながら整備を進めます。
⑦防犯・防災対策の充実
現在行っている緊急通報システム(安心ホットラ
イン)の貸与事業について、民生委員などと連携し
利用促進に努め、ひとり暮らしや障害のある人だけ
の世帯などの防犯・防災対策を支援します。
- 53 -
第2部
津南町障害者計画
2 家族支援の充実
(2)現状と課題
障害のある人本人への各種サービスとあわせ、生活を支える家族の介護負担を
軽減させる支援策が重要です。平成 26 年4月現在、身体障害者手帳所持者のうち
65 歳以上の人が8割を占めています。
また、平成 26 年9月に行ったアンケート調査(65 才未満を対象)では、お答え
いただいた人の約7割が「自宅で生活している」と答え、そのうち約6割の人が
「今後も自宅で暮らしたい」と答えていますが、約5割の介護者が 60 歳を超えて
います。
そのため、障害のある人の高齢化とあわせ介護者の高齢化が進んでおり、介護
力の低下や介護者の交替など、将来に不安を持つ人が多くなり、今後ますます障
害のある人とその介護者への支援が必要になっています。
実際に介護者の高齢化によって、親・配偶者以外の親族などに介護が代わって
いくケースが増え始めていることから、新たに介護する人の確保や支援が今後の
課題となっています。
また、介護者の病気や外出など一時的に家庭での介護が困難な場合に、施設で
短期間預かる短期入所サービスのほか、日中のみ預かる日中一時支援事業があり
ます。
しかし、町内では短期入所サービスを受けられる施設が1か所であるほか、日
中一時支援事業を利用できる事業所が町内にないため、サービス提供事業所の確
保と利便性の向上を図らなければなりません。
また、障害の多様化により、家族であっても障害について十分理解できず、障
害のある人本人への接し方が分からず対応に困っているケースがあります。日頃
からの訪問相談活動の充実や家族教室の開催などにより、家族の不安軽減とあわ
せ孤立を防ぐ支援が必要です。
- 54 -
第2部
津南町障害者計画
(2)今後の施策及び方向性
取り組み
①新たな介護者の確保と
支援
内
容
介護者の高齢化による介護者の交替にあたり、新
たな介護者となる人の負担の軽減を図るため、各種
サービス調整や制度活用を図るほか、障害のある人
ご本人の相談に対応するため、相談支援事業所と連
携し、相談事業の充実を図ります。
②福祉サービスの充実
家族の介護負担の軽減を図るため、短期入所や日
中一時支援事業または生活の場の確保など、各種障
害福祉サービスの充実と利便性の向上に努めます。
③訪問相談活動の強化
家族の不安軽減と孤立を防ぐため、日頃からの訪
問相談活動を充実させます。
また、相談支援事業所とも連携し、巡回訪問相談
などの実施を検討します。
④家族教室の充実
家族教室の充実により、障害のある人を支える家
族の病気や障害への理解促進及び情報交換の場と
して、多くの人から参加いただけるよう努めます。
- 55 -