ぶどう巨峰の窒素追肥と結実及び品質との関係

ぶどう巨峰の窒素追肥と結実及び品質との関係
1 試験のねらい
ブドウ巨峰の施肥改善試験(昭和51∼55年)の中で窒素の施肥時期について検討したところ,
6∼8年生の若木では落花直後の追肥が基肥に比べ花振るいが少なく,結実が安定していて,果
実の着色が良く赤うれ果の発生が少ないことが認められた。しかし,この試験の中では追肥の量
については詳細にできなかった。そこで,本試験では窒素の追肥量と結実及び品質との関係を調
査した。
2 試験方法
表層多腐植質黒ボク土に栽植された巨峰8年生樹(試験開始時)を供試し,昭和57∼59年の
3か年問試験を行った。試験区の構成は1樹1区,3反覆で,窒素追肥量は10a当たり成分量
を4kg(4N区),8kg(8N区)及び無施用(O N区)とした。追肥の時期は落花直後で,基肥
は58年11月に窒素成分量で10a当たり3kgを施したほかは無施用とした。
3 試験結果及び考察
窒素追肥量と新しょうの生育及び葉内窒素濃度との関係を示したのが図一1である。新しょう
の生育はo N区の場合は弱いが,8N区では開花期以後の伸長割合が大きく遅伸びするのが認め
られた。4N区は両老の中間の生育を示し,開花期以後の新しょう伸長割合は140∼170%であ
った。葉内窒素濃度は窒素追肥量に応じて高くなり,葉色も図一2に示すように追肥量が多いほ
ど濃くなったが,0N区は葉色が淡く,明らかに窒素不足であった。
窒素追肥量と結実及び品質との関係をみたのが図一3で,結実は開花期の気象条件によって変
動するが,開花期の気象条件が不良な場合は前年の窒素追肥量が多いほど不良であった。
果実の成熟の早晩については,4N区が0N区に比べて成熟が早く順調で,赤うれ果が最も少
なかった。8N区は成熟が遅れ,着色不良の赤うれ果が多かった。0N区は成熟が遅れて着色も
やや薄かったが,極端な赤うれ果は比較的少なかった。しかし,ON区は収穫の後半になって果
房の穂軸が黄変するものがみられた。収穫果房の果色と糖度は4N区が良くて,ON区と8N区
が劣り,特に,8N区は収穫全期間を通じて果色が悪かった。
4 成果の要約
巨峰の窒素追肥をみると開花期以後の窒素が不足しても,また,多過ぎても成熟の遅廷,赤う
れ果発生の助長,糖度の低下をきたすことが明らかである。その場合窒素不足よりも過剰の悪影
響が大きく,黒ボク土では樹勢が弱い場合でも窒素追肥量は成分量で4kg/10a程度が限界で,
開花期以後の新しょう伸長割合としては140∼170%程度が好適といえる。
(担当者果樹部松浦永一郎,青木秋広半,田中敏夫糾¥現栃木農業改良普及所 ¥¥現鹿
沼農業改良普及所)
一69一
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月/日昭586/6 ”1 的 納
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昭59ψ5〃7 納ψ31い2 開花期以後剛申長割合 葉内N(8月上旬)
新しょうの生育
図一1 窒素追肥量と新しょうの生育及び葉内窒素濃度との関係
葉
色
(
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カ
ラ
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ヤ
ト
)
一..‘oN .
第2花穂の先2枚目の葉
第2花穂着生節位の葉
一 1 1 1 1
〆1221ψ101930〆16301◎/l12〆221的101930%6301ゆ
調査日(月/日) 調査日(月/日)
図一2 窒素の追肥量別葉色の変化
%
100
結
実
困昭58
[コ昭59
果糖
色度
1 0
収穫割合
昭5810月3
昭59 9月27
918
血
穫50
7 14
亦
島
612
筆
ON 4N 8N ON 4N 8N −ON 4N 8N ON 4N 8N
結実(適十密) 収穫割合 赤うれ果 果 色
図一2 窒素追肥量と結実及び品質との関係
一70一
0N 4N8N
糖 度