かんぴょうの苦味について

かんぴようの苦味について
1 試験のねらい
昭和57年頃から県内産地で苦味のある果実が生産され、これらの果実は製晶花されても苦味
が残るため、販売上大きな問題となった。そこで苦味発生要因を明らかにするため、昭和58年
から60年の3か年にわたり検討した。
2 試験方法
ω果実肥大期の温度の影響:しもつけしろを用い、59年は5月10日、7月2日及び8月6
日、60年は6月3日、17日、7月1日及び15日にそれぞれ開花した果実を1週間ごとに
苦昧調査を行った。また、苦味の指標化を目的にポリラェノール含量(ホーリンデニス法)と
苦味の関係にっいて調査した。
12〕窒素施用量の影響:窒素の多施用が苦味の発生に及ぼす影響を明らかにするため、しもつけ
しろを用い、窒素施用量をa当たり0,6及び14㎏の3段階を設けて検討した。
13)かんぴょうの乾燥温度の影響:宰燥温度を30,50一てg℃(通風乾裸機使用)の3処理
を設け、製晶化する時の乾燥温度と苦味の関係を検討した。、
3 試験結果及び考察
(1〕果実肥大期の温度の影響:苦味は果肉より表皮が強く、果令が進むにつれて少なくなった。
また・果肉の苦味は馳軍温が…雫越える・月申旬からなくなることが認めらへ表皮の
」苦味も8月、に入って22℃以上になると感じなくなったpなお、苦味の識別法を明らかにする
ため、一食晶工業指導所の協カを得てポリフェノール含量と苦味g関係幸調査したが判然としな
.かった。
12〕窒素檸用量の影響:開花後1週間まではいずれの区にも早肉D苦味が認苧られ・無窒素に比
べて6㎏と14㎏区では苦味がやや強かったが、7月24日(3週目)ではいずれの区も果肉
の苦味は認められなかった。したがって、苦味に対する多窒素の影響はないものと考えられれ
(3)かんぴょうの乾燥温度の影響:生果時の苦昧は製晶化すると減少するが、乾燥温度による差
は認められず、火力乾燥の影響はないものと考えられた。
4 成果の要約
かんぴょうの苦味発生要因について検討した結果、苦味は窒素の多施用やかんぴょうの乾燥温
度による影響はみられず、果実肥大期の気温の影響が大きいことが明らかとなった。なお、果肉
の苦味は最低気温が20℃を越える時期から感じなくなることが確認された。
(担当者 栃木分場 囲口章一・高野邦治)
一41一
表一1 果実の苦味と肥大期の最低気温(昭60)
果実の苦味調査
部位別
最低気温の平均℃
当日王週 2 3 当日ガ週 2 3
3
17
1
15
表皮部
糾
件
糾
十
果肉部
糾
冊
十
十∼一
表皮部
什
件
糾
果肉部
十
十
十
十
表皮部
十
十
果肉部
十
十
表皮部
十
十
果肉部
十
12,2
14,2
11,6
17,1
十ト
11,6
17,1
17,5
18,8
十
17,5
18.8.
19,9
20,4
19.9
20,4
20.9
22.9
十
注:苦味調査は非常に苦い……糾、苦味がない・・…・一
表一2 果肉の去味とポリフェノール含量の関係(昭59)
交
配
一果肉の苦味調査
月
日 当 日
1週 2 3 4 当日1週 2 3 4
十 十← 十 一
5.30 +
7. 2 +
ポリフェノール含量卿/1009
327
540
243
十 一」 一 一
8. 6 r
210 50 23
240 90 33
90 50 33
53
55
35
表一3 窒素施用量と果実あ苦味及び果実の大きさ(昭59)
N施用量
苦 味,=
果実の大きさ
果実のI部位
7月9日 7月ち4日
(kg/a)
表 皮 件
果 肉 十
表 皮 件
果 肉 十
表 皮 糾
果 肉 十
14
7月9日 7月24日
十
249 7.3609;
十
29 6.600
十
28 7,360
注:7月2日に開花した果実を供試しね
表一4 かんぴょうの乾燥温度と苦昧(昭59)
供
晶 種
ふくべ用
かんぴょう
試 材 料
乾燥
果実の大きさ 生果時の苦味
4.6509
温度.
30℃
50
+
70
天 日
一42一
製晶の苦味
十 十 計
8人
1人 0人 9人
6
8
8
3 0 9
1 0 9
1 0 9