水産の窓２３ − Ｎｏ．１６平成２３年７月２６日茨城県水産試験場鹿島灘はまぐり稚貝の発生状況（大洗サンビーチ∼波崎海水浴場）水産試験場では，鹿島灘はまぐりの稚貝発生状況を把握するため，毎年 5∼6 月の大潮日に，鹿島灘海岸の汀線域で調査を行っています。今年は，5 月 17∼20 日の 4 日間で調査を実施しました。調査地点は，大洗サンビーチから波崎海水浴場までの間に約１km 間隔で設定した 54 定点です。稚貝の採取には専用の腰カッターもしくはスコップを用い，表層の砂を約 5cm 厚で 1 ㎡採取しました。採取した砂は現場で目合約 0.7mm の網でふるい，網に残った稚貝の混ざった粗砂や貝殻を持ち帰り，試験場で生物を取り出して数と重量を計測しました。図 1 に，はまぐり稚貝の採取結果を示しました。54 定点中，平成 22（2010）年生まれの稚貝が確認されたのは 4 定点でした。夏海地先付近の 4 定点は，昨年同様，汀線が消失していたため調査を行うことができませんでした。全採取数は 12 個体（殻長 1.4∼8.3mm）で，近年では平成 18 （2006）年級群に次ぐ少ない採取数となりました。また，採取された定点も，大洗サンビーチ北・南，大貫，Ｎ＝12 鹿島港サンビーチ北サンビーチ中サンビーチ南大貫保護水面北標柱焼却場南保護水面南上釜沢尻ビィラトレディオ玉田野田勝下滝浜柏熊白塚大竹岡堀米下荒地濁沢別所釜武与浜組塚京知釜堺釜大志崎武井釜浜津賀荒井青塚角折荒野荒野前小山明石小宮作小宮作南下津（押合）平井図１日川浜柳川相生 HOLS北須田東須田西松下東松下土合押植衛生プラント前 JRC前舎利浜斎場漁港北汀線消失 0 採集個体数／m 2 4 2 6 岡掘米（大竹海岸）の 4 定点のみでした。鹿島灘はまぐり稚貝の定点別採取状況（調査日：2011 年 5 月 17∼20 日）東日本大震災の後，鹿島灘の砂浜海岸は，いったん平坦になり，その後徐々に変化が見られているようです。特に大洗サンビーチでは，砂の侵食と堆積が同時に起こり，なだらかな遠浅の地形に変化しました。今後は，砂浜海岸の地形の変化が鹿島灘はまぐりに及ぼす影響を，長期的に検討していきたいと考えています。（定着性資源部半澤浩美）遠浅になった大洗サンビーチ（平成 23 年 5 月 20 日撮影）