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平成27年1月教育長定例記者会見
【質疑応答】
≪平成26年度広島県学力調査報告書について≫
N H K
今回の学力調査は以前にも結果は公表されているか。
教 育 長
昨年8月 29 日に速報版を公表した。
今回の分析3,4,7については,新しい観点で分析しているので,少し注目して
ほしい。分かりやすいのは,概要版の6ページにある分析4である。グラフがあるが,
これは「基礎・基本」定着状況調査の小学校国語の平均通過率である。棒グラフが県
全体の平均通過率で,横軸の1から 22 は,設問ごとに並べている。これを見ると,
設問1,2,3は県全体の平均通過率が高いことが分かる。折れ線グラフは,通過率
30%未満の子供たちの平均通過率である。棒グラフと折れ線グラフを見てもらうと,
県全体の平均通過率が高い設問は,通過率 30%未満の子供たちの平均通過率も高い
かというと,そうではない。
例えば,1番の問題は「半径」という漢字の読みだが,ここの平均通過率は,県全
体の平均通過率も通過率 30%未満の子供たちの平均通過率も非常に高い。しかし,
3番の「衣服」という漢字の読みについては,通過率 30%未満の子供たちの平均通
過率はぐっと低い。どうしてこんな違いが出るのかということを,こちらでもいろん
な分析を持っているが,学校の方でも議論してもらおうとしている。我々の分析では,
「半径」という漢字は国語の学習だけでなく,算数などのいろんな場面で出てくるの
で,非常に定着が良くなるのではないかと考えている。ところが,「衣服」という漢
字はあまり使わないので定着が良くない。そこで,日常経験や他教科との関連,つな
がりを考えて授業をすると,もっと定着するのではないかというようなことを議論し
てもらいたい。小学校は全科目を同じ先生が教えているので,通過率 30%未満の子
供は単にドリルをするより,教科の関連も意識して授業する方が学習効果が高いとい
う分析ができるのではないかと思っている。これは県全体の分析だが,各学校の中で
分析をしてもらうと,もっと授業が変わるのではないかと思う。
分析3,4,7は新しい観点で分析をしているので,さらに具体例を基に議論して
もらって,授業改善につなげてもらおうという,そういう資料である。本日の教育委
員会議の中で,教育委員からは,「非常に良い資料になりましたね」という評価をい
ただいているので,しっかりこれを各学校で使ってもらえるように,また,教育委員
N H K
会の中でも研修で説明をして,使ってもらえるようにしていきたいと思っている。
例えば,通過率 30%未満の子供はローマ字の読みが極端に低いと出ている。これは,学
力テストをしなくても日常で見ていれば分かると思う。そこで何も手立てをしていないから
こんなになっているのか。苦手だと思われる子には,例えば,休憩時間や放課後に教えると
か,きめ細やかに対策をしていれば,もう少し平均通過率が上がると思う。
事 務 局
そういった議論をしてもらうための資料である。ローマ字は比較的,通過率が高い。高い
から先生がかえって安心してしまって,何も手立てを講じようとしない。しかし,通過率
30%未満の子供たちはまだローマ字の平均通過率が低いということに着目していただいて,
普段の授業であるとか,また,授業と関連して,総合的な学習の時間やその他の教科である
とか,教科関連においてできることはないのか,そういった授業改善の議論がされたらあり
がたい。
教 育 長
そんな材料になっていけばと思う。
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≪課題発見・解決学習について≫
中国新聞
総合的な学習の時間が始まって,おおむね 10 年になる。「学びの変革」アクショ
ン・プランに「課題発見・解決学習」が入っているということで,総合的な学習の時
間で目標としていたのもそのあたりだと思うが,総合的な学習の時間の 10 年の評価
と,あえて「課題発見・解決学習」を打ち出した思いを伺いたい。
教 育 長
比較的本県は総合的な学習の時間はうまく出発したと思う。ただ,総合的な学習の
時間は,本当は,子供たちがこんなことが分からない,こんなことを知りたいという
課題を設定し,それに取り組む。また,教科横断的に,集約しながら課題解決に当た
っていくという設定だった。しかし,例えば環境をやるとか地域をやるとか,テーマ
設定を学校が最初に決めてしまって,その学習を行えば総合的な学習の時間であると,
短絡的な捉え方をされてきたのではないかと思う。本来の狙いである知識統合,いろ
んな教科を横断的に自分たちで課題・問題を見付けて,それを分かりたい,しっかり
解決したい,というような活動が十分でなかったのかもしれない。
学びの変革のところで言えば,総合的な学習の時間もそうだし,各教科もそうだし,
各教科を超えて横断的につなげていくようなことをこれからしっかりやっていきた
い。問題設定を子供発信にした方が意欲がわくので,学校側から問題設定をされるよ
りも,子供たちが,こういうことを知らない,こういうことはどうしてなのか疑問に
思っている,ということを学習の出発点にすれば,学びが主体的,能動的になると思
う。
中国新聞
教 育 長
中国新聞
教 育 長
指導される教員も新しい教え方になると思う。
なによりも教員がそうならないといけない。
教員に対しては,今後どのようなことに力を入れていくのか。
一つは研修である。それから,先導していくような教員を育てていかないといけな
い。その人たちが中心に,県内に広げていく。
学力調査報告書では,課題解決型の学習の重要性が示されており,それが,7,8
ページの分析7である。課題解決型の学習を積極的に取り入れた方が点数が高くなる。
30%未満とか 60%未満の子供たちに,できていないからとドリルをやらせることが
多いが,できていない子を見ているとドリルをやることはしんどいと思う。ドリルを
やらないと学力が付かないことはあるが,そこで嫌がる。それよりも,興味があるこ
と,日常と関連した方が定着が良いということが分析4でも分かっている。そのよう
に変えていくと,平均通過率 30%未満の子供の学力が上がっていくと想定されてい
る。
≪スマートフォンの使い方について≫
山陽新聞
教 育 長
山陽新聞
昨年 12 月に,岡山県教育委員会が子供のスマートフォンの使い方について,午後
9時以降は預かる等の取組を進めている,という記事を掲載した。広島でも呉市教育
委員会等で取組をされていると思うが,広島県教育委員会として子供のスマートフォ
ンの使い方について何か取組を行う予定はあるか。
今,調整しているところである。PTAや関係者と議論してきている。これは協力
的に一緒にやっていかないといけないので,そういう運動ができればと動いている。
今後しっかり打ち出せたら,全県的に展開していきたいと思っている。
年度内とかに決まるのか。
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教 育 長
早めにしていきたい。スマートフォンの有用性という面もあるにはあるが,子供た
ちの生活を圧迫してはいけないし,リテラシーの問題もある。そのあたりを踏まえた
ものにしていこうと思う。
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