IW03 次世代におけるビックデータの活用 要旨 1.背景 近年、よく耳にし注目を集めているキーワードの一つに「ビッグデータ」がある。 ビッグデータとは、その名が示す通り本質的に巨大なデータを指す事が殆どである。し かしながら、定義を理解しその特性をうまく活用できている事例はいまだ少ない状況で ある。 2.ビッグデータの定義 そもそもビッグデータとはなんなのだろうか。単に大きなデータというだけではない。 この問いについては様々な意見があり、それぞれ異なる解釈・定義を行っている。そこ で我々の中で描くビッグデータ像を明確にした上で研究を進める必要がある。下記が 我々の定義するビッグデータである。 ① データ量が大きい (数テラバイト以上) ② リアルタイム処理が可能 ③ 世にあふれる非構造データ、非定型データ 3.データ活用の場面 現在の活用の場面として実際に行われている内容の紹介や注目されている分野を以下 に挙げる。 ① 医療・健康 (事前予防や個人に合わせた医療) ② 災害予測 (災害対策への強化) ③ 金融 (カードの不正利用防止、トレンド収集) 4.医療・健康分野 2014 年 4 月に当時の麻生財務大臣から「地域ごとの標準的な医療費のデータ化」を進 める提案があった様に、医療・健康に関する社会的なニーズは高まっている。加えて、 リストバンド状の高機能なウェアラブル機器や体組成計の普及からもわかるように個人 レベルでの関心も高い。今後の拡大も想定される事から当研究会では特に医療・健康分 野に着目して研究を進める。 5.医療・健康の現状 現在の医療・健康の情報化について報告する。先進国のひとつとして数えられる日本 であるが、医療・健康分野の ICT 化に関しては後進国の位置にある。この分野の先進国 であるデンマークやアメリカといった国と比較すると、ようやく医療データの電子化が 進みだした日本とは 10 年以上の開きがあるという見方がされている。 2014 Beacon Users' Group IW03 次世代におけるビックデータの活用 要旨 6.ビッグデータを用いた健康管理 何らかの生活習慣病を患っている人の多くは、その要因(塩分・脂肪分の取り過ぎ、 運動不足等々)を理解している。しかし、分かっていながらその要因を解消できていな い実態がある。一方で、要因が多すぎて何から手をつけて良いのか、何が一番の要因と なっているかが分からず的確な対応を取れていない人が数多くいる。この状況を打破す るため、前者についてはある程度強制力のある対応を。後者については、要因を細かく 分析し、より効果的な対処の提案をそれぞれビッグデータの活用により実現することで 状況の改善を図る。 7.データの収集 現状取得できないが健康管理上必要となるデータ、既にデータ化はされているが一般 に公開されていないデータ、既にデータ化されているがまだ活用されていないデータ等 様々ある。ビッグデータを用いた健康管理を行う場合に必要となる情報をどの要に取得 するのかを報告する。 8.ビッグデータ活用により変わる社会 前述の具体的な原因まで分かった上で、それでも自制ができない人は必ず存在する。 そこで我々は上記のような原因が分かっているにもかかわらず管理ができない人向けに 分析・提案の先にある新たな健康管理モデルを提案する。 このモデルでは、架空の人物の生活を対象とし、健康管理においてビッグデータをど のように活用するのかの一例を示し、ビッグデータの可能性の一端を紹介する。 9.まとめ 今回、ビッグデータの活用として、医療・健康に着目して研究を進めたが、活用はこ の分野に留まらず様々な分野で活用されていく事は明白であり、企業に於いては成長戦略 の核とも成り得ると考える。 しかしながら、何をビッグデータとして扱うかは業種により様々であり、自社に必要な 情報を見極め、早い段階でデータの蓄積を行う、又はデータ取得の手立てを行う等の前準 備が必要不可欠となる。このようにして集めた多種多様なデータを駆使し、分析・解析を 行うことで新たな発見が生まれ、新たな価値を創造する事が可能となる。 本研究報告が、ビッグデータについて考え始めるきっかけになり、積極的な活用により、 より良い社会を構築する手助けになることを望む。 2014 Beacon Users' Group
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