国際観光学科卒業論文(2013 年 12 月提出) 要旨 指導教員:小池鉄夫教授 「ご当地カレーにおける食育の利用に関する提案」 1820100238 深野 智美 〈論文構成〉 第 1 章 はじめに 1-1 研究の背景 1-2 研究の目的 1-3 本論の流れ 第 2 章 ご当地カレーの現状 2-1 ご当地カレーとは 2-2 展開の方法と種類 2-3 ご当地カレーの課題 第 3 章 事例からみる成功要因 3-1 札幌スープカレーの事例 3-2 よこすか海軍カレーの事例 3-3 事例からみる成功要因 第 4 章 食育の可能性 4-1 食育とは 4-2 政策からみる食育の取り組み 4-3 学校教育における“地域の食文化” 4-4 地域の食文化の分類 4-5 地域の食文化にかかわる実践事例 (1)福島県伊達市~豆っこ汁と地域の特産品~ (2)青森県弘前市~地域食材を生かした弁当作り~ 4-6 地域の食文化に関係ない授業との比較 第 5 章 まとめ 参考文献 〈要旨〉 1.研究目的 近年、まちおこしの一環としてご当地グルメを利用する地域が増え、メディアなどでも 多く採り上げられるようになり、一般的に広く親しまれるようになった。その中でも、カ レーは味のバリエーションの幅広さに加え、地元をアピールする為の食材を利用しやすく、 全国どこの地域でも参入できることなどから、ご当地カレーは日本各地に数多く見られる。 しかし、全国的に有名で、まちおこしとして成功している事例は殆どない。比較的参入し やすく、地域を選ばないカレーが成功し易くなれば、もっと多くの地域で食を利用した地 域活性化を行えると考え、ご当地カレーの成功率をあげるための提案を行う。 2.内容 1990 年代後半頃からまちおこしを目的として、日本の各地方の特産物を使用したカレー が続々と発売されており、それらを「ご当地カレー」と呼ぶ。展開の型や担い手も様々で、 地域固有の食材を利用し易く、味のバリエーションの幅も広いことなどから、全国各地で ご当地カレーの開発が行われている。その種類は数千種類にも及ぶ。しかし、参入し易い というメリットが、安易に開発を始め長く続かないという流れをつくり、つくってみては 成功せずすぐにやめてしまうといった改廃の激しい事業となってしまっている。そこで、 いくつかある成功事例のなかから、札幌スープカレー、よこすか海軍カレーの 2 つの歴史 より、共通点を探した。付け焼き刃ではない確立された味であることもそうだが、その他 の要因で最も重要であるのは、地元の人に支持されているという点であると考えた。まず は、地元の人に支持される味を長期にわたって作りあげ、地域内で広く受け入れられた後、 さらに地域外にも地域特有の食として受け入れられていくという流れが必要なのだ。では、 地域内で広く受け入れられるためには、どうしたらよいのだろうか。そこで近年、重要だ と認識され始めている食育活動に注目した。食育とは、様々な経験を通じて「食」に関す る知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育て ることが目的とされ、おもに子供が対象である。本来は家庭で行われることが望ましいが、 十分に取り組むことが困難とされる現状では、学校教育で行う必要性が考えられている。 食育を利用した場合の効果を明らかにするため、実際に行われた“地域の食”にかかわる 実践事例(本論では中学校の授業に絞る)を調べた。 3.結論 中学校の家庭科の授業において“地域の食文化”に着目した食育を利用することによっ て以下の成果が得られることが実践事例などから明らかとなった。 1)生徒たちの郷土・地域に対する思いが強くなった 2)授業で扱った地域の食文化を家族や地域外の人に知らせたいという気持ちの発生 3)地域の食を自身の問題として捉える主体的考えの形成 以上のことから、ご当地カレーの成功要因である、まずは地域の人々に受け入れられ、定 着するという課題に、中学校での食育活動を利用することが有効であると考えられる。
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