二〇一五年度 青山学院高等部一般入学試験問題 国 語

二〇一五年度 青
山学院高等部一般入学試験問題
国 語
始まりのブザーが鳴るまでページをめくってはいけません。
ページから
ページまであるので、始まりのブザーが鳴ったらすぐに確認すること。
左記の注意事項に目を通しておいてください。
◎ 問題用紙は
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◎ 解答用紙のみを提出し、問題冊子は持ち帰ってもかまわない。
◎ 終了のブザーが鳴ったら筆記用具を置くこと。
◎ どの問題から解き進めてもよい。
◎ とじてある問題用紙をばらばらにしたり、一部を切り取ったりしないこと。
◎ 解答はすべて別紙の解答用紙に記入すること。
1
◎選択肢のある設問は、最も適当なものを選んでその番号を記すこと。
◎字数指定のある設問は、句読点や記号も一字とする。
【一】次の文章を読み、後の問に答えよ。
《著作物利用許諾申請中》
【二】次の文章を読み、後の問に答えよ。
《著作物利用許諾申請中》
1
【三】次の文章を読み、後の問に答えよ。
《著作物利用許諾申請中》
2
あ
き
いつくしま
つく し
【四】次の文章を読み、後の問に答えよ。
①
あるじ
よはひ
あ
隣の国安芸の 厳 島に詣でて、一年筑紫に下りしとき、宿りける坊の 主 を尋ねはべりければ、「一昨年身まかりぬ」と弟子なりける法
②
師の語りける。今思へば、その頃七十ばかりになん見えつる。恨むべき 齢 ならねど、また帰り来ぬ道は、いと悲しうなん。逢ひ見て物
おのづか
こけ
ふ
④
語などせしほどは、六年にぞなりにける。なにごともはかなき( ア )とのみなりはてて、皆帰らぬ( イ )となりにけり。かの坊
③
まがき
の泉水心をつくし、草木など植ゑ置きたり。
ぬ
なき人の手づから植ゑし草木ゆゑ庭も 籬 もむつまじきかな
⑤
たくみ
とよみければ、皆人袖をなん濡らしける。その庭の内に、 自 らいと大きなる石あり。苔むし、物古りたるうへに、いとおもしろき松ひ
あさがすみ
ともぶね
⑥
とり立てり。作りなさば、この外のことはさもありなん。これには、いかならん 工 の人もえ及ぶまじかりける。種しあれば岩にもやと
ながめられし。
かり
いそ ま
から ろ
かぢ
あ ま
いさ
かもめ
注
とま
注
みづか
こ
見えて、よそめばかりやといへる、さ
ふなよそ
ま
りて、清き磯間にたたずみければ、ほど近く海士の漁りする火見えたり。さてはあのわたりや、浦人の里ならんと尋ねまかりけるに、家
さご
注
べうべう
ふ
⑧
おのれ
すみ か
も
じ
⑨
(木下 長 嘯 子の文章による)
ちょうしょう し
といふことをよめといふ。
砂につけてぞ臥しける。彼が身に生まれたらましかば、いかがせん。 己 は住家と思へば、さまで憂からぬにこそ。やうやう月も澄み上
3
それよりまた舟に乗りて下りけるに、朝 霞 深く立ち籠もりて、わが友舟もありやなしやと、おぼつかなきまでたどるに、霞のうちよ
はる
り、雁の声かと聞こえて、唐櫓の音したるもをかしきに、舟人の声高く引きながめて、何事とえも聞きわかぬ唄うたひつつ漕ぎ来るも、
目覚むる心地す。
注
⑦
みなと
い
で しほ
霞やうやう晴れわたりてながめやれば、遥かなる沖に浮かぶ舟も、 鷗 ・千鳥などやうに
1
ることぞかし。その日暮れにければ、ある浦に舟を寄せて、今夜は月の出潮に、 湊 漕ぎ出でむと 艤 ひしけるほどに、 自 らは浜に上が
2
もはかばかしき柱は立てて作らず。唐櫓・楫などいふ物を打ち渡し、ただ一重にまばらなる苫を引きかけ、岩の角を耳にあて、身をも真
3
とよみ、あまたたびの波枕・楫枕、しをれこし 袂 干すまも覚えであくがれ行くに、門司の関にもなりぬ。
たもと
置く網のなかに沈める月影をおのがものとや海士の引くらむ
りて、渺々たる真砂に光りあひぬれば、玉を敷きたらんやうに見えける。ある人、
4
注
注
すげ
あし
苫…菅や葦で編んだ、家屋の上部を覆うもの
渺々…広く果てしないさま
問一 ①「安芸」は現在の何県か。
ア ︱ 影 イ ︱ 声
熊本
よそめばかりや…「鷗浮かぶ波路はるかにこぎいでぬよそめばかりや(遠くから見ると)おきの友舟」という歌による。
注
1
艤ひ…出航の準備
注
2
ア ︱ 道 イ ︱ 旅
問三 ③はどういう意味か。
2
昔のままの姿であるようだ
4
たた
親しみ深く感じられることだ
悲しみを湛えているかのようだ
5
3
奈良 広島 愛媛 福岡
問二 ②の( ア )・( イ )に入るのはどれか。
ア ︱ 人 イ ︱ 仏
ア ︱ 夢 イ ︱ 昔
3
ア ︱ 泡 イ ︱ 都
2
鮮やかに目に映ることだ
5
1
2
3
4
4
1
3
1
4
4
問四 ④はどのようなことが「おもしろ」いのか。
枝ぶりが見事であること
石の上に立っていること
たたず
年輪を重ねて苔むしていること
一人 佇 む人のように見えること
問五 ⑤はどのようなことが言いたいのか。次の( A )・( B )が対義語になるようそれぞれ漢字二字で記せ。
不安に思って探していると
( A )のものが( B )のものよりすぐれているということ
問六 ⑥はどういう意味か。
問七 心ひかれて後を追っていると
あてもなく漕ぎ回っていると
はっきりしなくていらだっていると
⑦ に入るのはどれか。
4
白く 多く 小さく 珍しく
問八 ⑧はどのような気持ちから言っているか。
3
漁師らしい生活にあこがれている
2
状況に流される生活に疑問を感じている
貧しくつらい生活を思いやっている
故郷を大切に守る生活を尊重している
5
1
2
3
4
1
2
3
4
1
1
2
3
4
⑨
に入るのはどれか。
4
問九 3
いさり び
旅先の情景にふれ、その土地ならではの趣を視覚的・聴覚的にきめ細かく表現している
海辺の月 浜の真砂 海士の涙 沖の 漁 火
問十 本文について述べたものとして正しいものはどれか。
2
初めての景を目にして揺れる気持ちを抑え、理路整然とした客観描写を貫いている
土地の人々の深い心のつながりを目のあたりにして、旅の心細さを歌に詠んでいる
都会人としての自分を省みながら、人間としてあるべき姿を孤独な旅の中に追求している
6
1
1
2
3
4