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日本語教師会発表まとめ
アダム・ミツキェヴィチ大学
東洋研究所日本研究科
生島真穂
発表テーマ:漢字を美しく書くために
1.漢字学習・学生の書く字の現状
私が授業を持つ学生の手書きの字を見ると、上手な学生もいるが、読みにくいまたは漢字
を間違って覚えている学生が多いという印象を受ける。本学では漢字の授業が行われている
が、授業内容は意味学習が中心となり、きれいに書くという指導はほとんどない。もちろん
その他の日本語の授業、宿題などで漢字に対して注意を促す場合はあるが、間違った漢字を
注意してもなかなか直らないのが現状であり、ましてきれいに書くということに関しては、
きちんと指導しているとは言えない。これでは学生にきれいに書くようにと注意しても、実
際にどう書けばきれいなのか分からないのではないだろうか。漢字教材には字のバランスを
示した手本がないのが現状である。他の漢字教材を見てみても、バランスを示した教材はな
いに等しかった。そしてバランスを示した教材を見せたとしても、指導の時間を取らないと
きれいに書けないというのは、日本人なら経験済ではないだろうか。
2.漢字の副教材の作成と課題
そこで、少しでも学生にバランスを理解してもらうため、1年生の漢字の授業にバランス
の見本と悪い例を2,3示した副教材を作成し、宿題として練習するように課した。ペン習
字を真似て、筆ペンを学生に購入してもらいそれを使って練習することにした。
学習した漢字を3回ずつ指定の用紙に書き提出する、ということにした。学生の提出した
課題を見ると、やはり副教材を見てもバランスが見えていない学生が多いと気が付いた。ま
た、間違えて書いている学生もいた。ここでさらに見本をよく見るように注意を促す目的で、
字の書き方を間違えている場合とあまりにもバランスが悪い場合に、再練習する指示をし提
出してもらった。
3.期待できる効果
この練習を通して期待できる効果は、まず最初の覚え間違いを早い段階で直すことができ
ることだと思う。2,3年生の学生に1年生の学習漢字をの覚え間違いをい指摘しても、な
かなか直らないということが多いので、できるだけ早く気付かせることが大切だと考える。
ただバランスについては、再練習ではうまくなっても、また自己流の元の字に戻る可能性は
大きい。学習者が何に重点を置いて学習していきたいか、例えば漢字は読めて、意味が分か
ればいいという学習者もいるだろう。しかし、どのようなバランスで書けばいいのかという
見本を提示することも漢字学習の項目に含んだ上で、学習者の選択に任せるのがいいのでは
ないかと考える。
4.今後の課題
この副教材作成および添削指導は1年生から始めた。今後1年間続けてみて、学生の書く
字を観察していきたいと思う。また、2年生以上の学生の学習漢字についても参考として、
副教材を作成していきたい。
以 上