原油安が促す連鎖的金融緩和

みずほインサイト
グローバル
2015 年 2 月 6 日
原油安が促す連鎖的金融緩和
欧米調査部主席研究員
欧州にアジアが追随、ひずみはドルへ
03-3591-1219
小野
亮
[email protected]
○ 原油安は4,420億㌦の国際的所得移転をもたらしている。所得喪失に喘ぐ産油国は資金流出や景気
悪化への対応に踏み出したが、原油安の恩恵を受ける消費国でも金融緩和が広がっている。
○ 消費国では、原油安によるディスインフレが緩和余地を醸成した。またECBによる「欧州版QE」へ
の反応として、自国通貨高を回避しようと連鎖的な金融緩和が起きている側面もある。
○ 欧州中心の連鎖的緩和は今後アジアに広がる可能性があり、ドル高圧力を一段と高めよう。FOMCは、
ドル高による米国経済・物価見通しへの影響を、より慎重に検討する必要に迫られている。
1.FOMC が声明文で言及した「国際情勢」
1月27・28日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)は、景気判断を前進させると共に、新たに「国際情
勢」に対する関心を示した。声明文での国際情勢への言及は、2011年~2013年に発生・深刻化したユ
ーロ圏の債務危機以来である。
声明文では、景気拡大の状況について「堅調なペース」(at a solid pace)との文言が使われ、「緩
やかなペース」(at a moderate pace)としていた前回声明文と比べて前向きな判断が示された。1
月に発表された米経済指標が相次いで市場予想を下回っている状況などを踏まえると、やや強気の判
断に聞こえるかも知れない。市場予想と実績とを比較したサプライズ・インデックス(CSI、Cumulative
Surprise Index)は、1月に入り大きくマイナス値をとるようになり、「不透明感の後退」という2014
年の特徴とは対照的な動きを見せ始めた(図表1)。また、今回のFOMCに向けて用意されたベージュブ
ック(地区連銀経済報告、1/14)では、「減速」という単語の登場回数が急増した(図表2)。
今のところ筆者は、これまでの高成長からの反動で、景気が踊り場を迎えているに過ぎないと考え
ているが、1月のFOMCもそうした見方を取ったと推察される。
景気判断の前進と共に、FOMCは新たに「国際情勢」(international developments)に関心を払う
姿勢を示した。FOMCが、海外経済や金融市場の動向について声明文で言及するケースは必ずしも珍し
くはない(図表3)。例えば、イラク戦争が起きた2003年には1月、3月、5月の3回にわたって「地政学
的リスク」(geopolitical risks)を指摘した。リーマン・ショック後の2008年10月の場合には、「多
くの海外経済における景気減速」(slowing economic activity in many foreign economies)が米国
1
の輸出見通しを悪化させていると指摘した。2011年3月には、北アフリカ・中東地域での民主化運動(ア
ラブの春)を受けた「原油の世界的供給に対する懸念」(concerns about global supplies of crude
oil)が、油価上昇の背景にあると述べている。さらに、ユーロ圏の債務危機時には、2011年9月から
2013年1月までの約1年半にわたり「国際金融市場の緊張」(strains in global financial market)
を、景気下振れリスクとして示し続けた。
声明文でFOMCが国際情勢に触れる場合、上記のようにネガティブな材料であることが多い。2003年
以降の声明文でポジティブなケースとして国際情勢について言及があるのは、家計や企業向けの信用
がタイト化する中で「しっかりとした世界経済」(a robust global economy)が景気の下支えとなる
との判断が示された2007年8月に限られる。
図表1 CSI
図表2 ベージュブックのキーワード
50
140
2012年
30
(登場回数)
120
100
10
"weak"
80
"slow"
60
▲10
40
▲30
2013年
▲50
4月
6月
8月 10月 12月
20
2014年
"uncertain"
0
2月
2008 09
(注)プラスは市場予想と比べて強めの指標、マイナスは弱めの
指標が多いことを表す。各年4月から翌年3月まで。
(資料)Bloomberg、みずほ総合研究所
10
11
12
13
14
15
(資料)FRB、みずほ総合研究所
図表3 FOMC声明文における国際情勢に関する言及例
2003年1月、3月、5月
2007年8月
2008年10月
2011年3月、4月
2011年9月~2013年1月
2015年1月(今回)
地政学的リスクによる原油価格上昇などが、企業の設備投資や雇用の持続的な
抑制につながっていると言われている。
金融市場はこのところ不安定であり、家計や企業の一部に対する信用がタイト
化し、住宅市場の調整が続いている。しかし、今後数四半期にわたって景気は
緩やかな拡大を続ける可能性があり、雇用・所得の堅調な伸びとしっかりとし
た世界経済がその支えになる。
多くの海外経済の減速が、米国の輸出見通しを悪化させている。
夏以降、原油価格が大幅に上昇しており、ここ数週間は、世界的な原油供給に
対する懸念が背景にある。
国際金融市場の緊張が、景気見通し上の深刻な下振れリスクである。
金利政策をいつまで据え置くのかの判断については、様々な要因を考慮に入れ
る。これらの要因には、労働市場の動向、インフレ圧力やインフレ期待の指標、
そして金融・国際情勢が含まれる。
(注)このほか、日本の東日本大震災によるグローバル・サプライ・チェーンへの悪影響に言及した例(2011/8)もある。
(資料)FRB、みずほ総合研究所
2
2.産油国が被る 4,420 億㌦の所得喪失
FOMCが着目する「国際情勢」とは、原油安などによる国際金融市場への波及と、海外政策当局によ
る政策対応の度合いである。このうち原油安は、産油国から消費国へ4,420億㌦の国際的所得移転(産
油国にとっては所得喪失)を引き起こし、相対的に経済規模が小さい産油国にとって大きな調整圧力
となっている。
前回 FOMC( 2014/12) の議事 録によれば 、12月の時 点ですでに 多くの参加 者が「国際 情勢」
(international situation)が米国経済にとってのダウンサイド・リスクになり得ると見ていた。特
に注目されていたのは、2つのシナリオである。1つは「原油価格の下落と海外経済の持続的な弱さが、
国際金融市場に大きな負の影響をもたらす」というシナリオ。もう1つは「海外政策当局による対応が
不十分」というシナリオであった。
こうした点を踏まえながら、以下では、最近の国際情勢を整理してみよう。
今年1月末までの原油価格の動きをみると、期近物のWTI先物価格が、昨年のピークの1バレル110.53
ドル(2014/6/13)に対して、1月末には48.24ドルとおよそ6割近く下落した。国際エネルギー機関(IEA)
による原油消費量の実績と見通しを元に、今年1~3月期の平均原油価格が1バレル50ドルと仮定して試
算すると、原油価格が下がり始めた昨年7~9月期から今年1~3月期までの間に、累計4,420億㌦にのぼ
る国際的所得移転(産油国にとっては所得喪失)が発生していることになる(図表4)。
ここで問題になるのは、産油国の所得喪失がその経済規模に対して極めて大きいという点である。
OPEC加盟国では、所得喪失額が1,740億㌦にのぼり、年率換算すると名目GDP比6.6%に達する 1。原油
消費国には薄く広く恩恵が行きわたるが、産油国では調整圧力が顕在化しやすい。石油関連産業を中
図表 4 産油国の原油収入(ネット)
(注)原油生産から国内消費を控除したネット。
2015Q1 は価格が横ばいで推移するとの仮定に基づく。
(資料)IEA、みずほ総合研究所
図表 5 ロシアの政策金利
(資料)Bloomberg
3
心に経済活動が鈍化し、原油収入への依存度の強さに応じて財政にも緊縮圧力がかかる。
原油収入への依存度が高いロシアでは、対外債務の返済能力への疑念が燻る。ロシアは3,200億㌦
(2014/12)の豊富な外貨準備を保有しているが、ロシア危機(1998年)再燃への懸念などから資金流
出圧力が強い。通貨バスケット制から変動相場制への移行(2014/11/10)、主要政策金利の大幅な引
上げ(10.5%→17%、同12/16。図表5)、国内企業の対外債務支払い支援(同12/24)と、金融・通貨
当局は対策を相次いで打ち出している。
先進国側の産油国では、ノルウェーとカナダの中銀がそれぞれ予想外の利下げに踏み切った。ノル
ウェー中銀は利下げ決定の理由を原油価格の急落にあるとして、次のように述べている(2014/12/11)。
「世界経済の持ち直しは緩やかで、先行きは極めて不透明である。国内景気の見通しは弱まっている。
石油産業の経済活動は軟化しており、原油価格の急落はこの動きを加速させる可能性がある。これは
経済全般に波及し、先行き失業率が上昇するだろう。」
カナダ中銀も、利下げの理由として「原油価格の急落が、景気とインフレに悪影響を及ぼすこと」
を挙げた(2015/1/21)。
3.ディスインフレと ECB
予想外の金融緩和は、原油安の恩恵を受けるはずの消費国にも広がっている。こうした動きは2つの
キーワードで捉えることができる。1つめはディスインフレである。原油安によるディスインフレが、
金融緩和の余地を醸成している。2つめは欧州中央銀行(ECB)であり、「欧州版QE」への対応として
スイスとデンマークの動きが目立つ。両国は急激な自国通貨高を回避しようと奮闘している。
原油安によるディスインフレを理由とする利下げの典型的な例として、アイスランド中銀の利下げ
が挙げられる(2014/12/10)。アイスランド中銀は、昨年11月に続き12月にも利下げを決定した。そ
の理由としてアイスランド中銀が指摘したのは「インフレとインフレ期待の大幅な低下によって実質
金利が上昇したこと」である。「景気循環と今後の見通しに基づいて妥当とみられる水準以上に実質
金利が上昇した」と述べ、実質金利の上昇を相殺するための利下げであると説明した。こうしたアイ
スランド中銀のロジックは、ディスインフレを理由に利下げに踏み切った他の中銀の多くが共有して
いる(図表6)。
1月22日、ECBは国債購入に踏み切った 2。月額600億ユーロという量的緩和の決定は、近隣のユーロ
非加盟国にとって、自国通貨高となり、強力な引き締めとなり得る。その対応を迫られたのが、スイ
スとデンマークである。
スイス中銀(スイス国民銀行、SNB)は、2011年9月11日から継続してきた最低為替レート政策(Minimum
Exchange Rate Policy, MER)を撤廃した(2015/1/15)。1ユーロ=1.2フランで為替相場を安定させ
るMERは、金融危機後、逃避先通貨としての投資家の選好や内外金利差の関係によってフラン高が進行、
デフレ・リスクが高まったことを受けて導入された政策である。資金流入圧力が強い下でMERを維持す
るには大量の外貨購入が必要となり、SNBのバランスシートは外貨で大きく膨らんだ(図表7)。ECB
が欧州版QEに踏み切れば、スイスへの資金流入圧力は一段と強まる。SNBは15日の声明文で「ユーロ安
4
によって対ドルで自国通貨安が進んでおり、MERの正当性がなくなった」と表明したが、ECBの政策決
定(1/22)でMERの持続可能性に疑義がもたれる前に、自ら撤廃の道を選んだとみられる。同時にMER
撤廃によるフラン高を抑制する目的で、SNBはマイナス金利の導入も決定した。
デンマークは欧州為替相場メカニズム(ERMⅡ)の下で自国通貨をユーロにペッグしている(1ユー
ロ=7.46038クローネ±2.25%)。その結果、スイスと同様の資金流入・通貨高圧力に曝された。これ
に対し、デンマーク中銀は2015年1月から4度の利下げを行い(1/19・22・29、2/5)、財務省の協力に
よって新規国債の発行停止も発表した(1/30)。国債市場の需給をひっ迫させ、中長期の金利低下を
促す手段として、国債需要を増やすという通常のやり方ではなく、国債供給を絞ろうというものであ
る。さらにデンマーク中銀による外貨購入額は1月、過去最大の1,065億クローネに達した(図表8)。
図表 6 2015 年入り後の金融緩和の動向
発表日
国
1月7日
ルーマニア
利下げ
インド
スイス
利下げ
MER 撤廃
利下げ
エジプト
利下げ
ペルー
利下げ
19 日
20 日
デンマーク
トルコ
利下げ
利下げ
21 日
22 日
カナダ
ECB
デンマーク
パキスタン
シンガポール
利下げ
欧州版 QE
利下げ
利下げ
通貨高誘導の緩和
デンマーク
ニュージーランド
利下げ
中立バイアス化
ロシア
利下げ
ブルガリア
デンマーク
利下げ
新規国債の発行停
止
15 日
24 日
28 日
29 日
30 日
金融政策
声明文における金融緩和の理由等
世界的な原油安と国内の持続的デフレギャップによりインフレ率は目標レ
ンジの下限を下回る。地政学的緊張の増大と海外主要中銀の政策変更が、
不透明感を増幅
インフレの落ち着きによる金融緩和余地
スイスフランの過大評価は為替相場規制(Minimum Exchange Rate、MER)
によって緩和。主要通貨圏の金融政策は方向性が大きく異なってきており、
今後一層拡大する可能性が大。ユーロ安により対ドル為替相場は減価して
おり、MER は不要。一方、MER 撤廃による過度な引き締めを回避するため、
大幅な利下げを決定
ユーロ圏が直面している課題や新興国の景気減速など、世界経済の下振れ
リスクが増大。インフレ見通しにも影響
物価安定に向けた見通しの改善、国内のデフレギャップ、インフレ期待の
安定、まだら模様の世界経済、国際金融市場の不安定さなどが理由
引き締め的金融政策とマクロプルーデンス政策によってインフレは抑制
的。さらに原油を中心とする資源価格の低下がインフレ低下に寄与
原油価格の急落による景気とインフレへの影響への対応
(詳細はみずほ欧州経済情報 2015 年 1 月号を参照)
インフレの改善
景気は緩やかに拡大するが、インフレの見通しは従来よりも低下。世界的
な原油安の中、輸入インフレ圧力は縮小。国内のコスト圧力は残存してい
るが、消費者物価への影響は緩やか。政策対応によって物価安定を一段と
促進
通貨高、世界的な低インフレ、原油安によって輸入インフレは極めて弱い。
今年のインフレ率は目標レンジを下回り、マイナスになる可能性。
通貨安によるインフレの高まりはいずれ落ち着き、景気減速によってさら
なるインフレ圧力は抑制
外貨購入と利下げによって国内マネーマーケットとユーロ圏との金利格差
が拡大、国内金利の方が低い状態。しかし国債利回りの格差は、長期債に
関して国内金利が高い状態。新発債の発行停止によって、ユーロ圏との長
期債利回り格差を縮小し、外貨流入を抑制
トルコ
追加緩和の用意を
金融市場の最近の動きは、利上げサイクルにある中銀の警戒度合いを超え
表明
ている。ディスインフレが落ち着くよう必要な政策対応を実施
2月3日
オーストラリア
利下げ
バランスのとれた経済成長には一段の自国通貨安が必要
(注)ディスインフレ、ECB の金融政策、為替レートへの言及を太字で強調。2 月 3 日まで。
(資料)各国中銀、みずほ総合研究所
5
4.ドルに集中する歪み
欧州で始まった連鎖的な金融緩和にアジアが加わろうとしている。FOMCが金融正常化の姿勢を変え
ない限り、歪みはドルに集中し、ドル高が昂進することになる。FOMCは、ドル高がもたらす米国経済・
物価見通しに対するインプリケーションについて、より慎重に検討する必要に迫られている。
ブラード・セントルイス連銀総裁は、FOMC声明文に示された「国際情勢」への関心について、「い
つも行っている議論を単に示しただけで、それほどの重要性はない」と述べた(2/3、ロイター報道)。
確かに過去の事例で確認したように、国際情勢への言及は珍しくはない。しかし同時に、多くの場合、
そうした言及はネガティブな材料としてFOMCが強い関心を示している証でもあった。
また、1月以降の世界的な金融緩和は、ほぼすべてが予想外の政策決定であり、行き過ぎたドル高の
リスクが高まっている。この1カ月、国際金融市場の変動要因が、それまでの原油価格から中銀のサプ
ライズへと変わったという指摘がある 3。図表6で確認できるように、1月のサプライズは欧州中心であ
った。今後はアジア市場も、サプライズに加わることになりそうだ。中国人民銀行は、2月4日、すべ
ての商業銀行を対象とする預金準備率の引き下げを発表した。今後、他のアジア各国中銀が追随する
可能性が高い。
連鎖的金融緩和には通貨安競争という不安が付きまとう。オーストラリア準備銀行(RBA)による利
下げ(1/30)は、まさに通貨安を狙ったものである。RBAは声明文で次のように表明している。「豪ド
ルは、ここ数カ月ドルに対して大きく減価したが、他の主要通貨に対する動きはそうなっていない。
経済の基礎的条件に基づく為替レートの水準に関する多くの推計値と比べると高いままであり、特に、
主要な資源価格の大幅な下落に追いついていない。バランスのとれた成長を達成するには、一段の豪
ドル安が必要である。」
中国でも、人民元の対ドル・レートは、すでに1月下旬から、許容される元安水準の限界近傍に張
り付くようになっており、人民銀行による暗黙の元安誘導を示唆する(図表9)。
図表 7 スイス中銀の資産構成
図表 8 デンマーク中銀の外貨購入(ネット)
(資料)スイス国民銀行、みずほ総合研究所
(資料)デンマーク中央銀行、みずほ総合研究所
6
歴史を遡れば、大恐慌後の1931年、投機的な資金移動の餌食となってイギリスが離脱したことによ
って始まった国際金本位制の崩壊は、実際には世界的リフレーションの効果を持ち、世界全体にポジ
ティブ・サムの結果をもたらしたと言われる。2013年3月の講演でバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)
議長(当時)は「金本位制の拘束衣を脱ぎ棄てることで」(in shedding the strait jacket of the gold
standard)、各国が完全雇用に向けた金融政策の自由を得たと述べている4。各国中銀が競うように進
める足元の金融緩和も、世界的リフレーションをもたらし得る動きとみなすことができる。
しかし、特に主要先進国の中銀は「低インフレとゼロ金利の拘束衣」を着せられている状況にある。
金融緩和の有効性という評価軸から見れば、世界的リフレーションに期待するのは楽観的過ぎるかも
知れない 5。さらに米国の立場から見ると、FOMCが利上げへの姿勢を崩さない限り、海外中銀による連
鎖的金融緩和は、すでに急進しているドルの一段高をもたらす(図表10)。利上げ支持派が姿を消し
たイングランド銀行(BOE)が、利上げ路線の撤回を強く示唆するようになれば、なおさらである 6。
海外中銀による金融緩和の有効性と、その裏で進むドル高が米国経済・物価にもたらすインプリケ
ーションについて、FOMCは注意深く考察する必要に迫られている。金融市場参加者は、FOMCのフォワ
ード・ガイダンスが「決して破られない約束」ではないことを、改めて肝に銘じておく必要があるだ
ろう。FOMC声明文にはこう書かれている。
「完全雇用と物価安定に向けて、予想以上の進展が見込まれれば、利上げは前倒しになるだろう。
反対に、予想よりも進展が鈍ければ、現在想定されているよりも利上げは後ずれするだろう。」
図表9 人民元の対ドル・レート
図表10 実質実効ドル
(CNY/$)
(1973/3=100)
130
6.30
6.25
120
6.20
6.15
6.10
110
人民銀が定める変動幅
ドル安
100
6.05
6.00
90
5.95
80
5.90
2014/12
ドル高
2015/1
1980
2015/2
(資料)Bloomberg、みずほ総合研究所
90
2000
10
(資料)FRB、みずほ総合研究所
1
名目 GDP は IMF 世界経済見通し(2014/10)の 2014 年予測値を利用。
ECB による「欧州版 QE」ついては、みずほ欧州経済情報(2015 年 1 月号)を参照。
3
Bloomberg(2014)"Surprise! Investors Face Need to Expect the Unexpected on Rates," February 3
4
Barnanke, Ben S.(2013)"Monetary Policy and the Global Economy," At the Department of Economics and STICERD (Suntory
and Toyota International Centres for Economics and Related Disciplines) Public Discussion in Association with the Bank of
England, London School of Economics, London, United Kingdom, March 25.
5
一方、世界的リフレーションの成功は長期金利の上昇という問題をはらむ。1930 年代も、多くの国が債務不履行に陥った。
6
1 月の金融政策委員会(1/8)で利上げ支持を表明する政策委員がいなくなったことが、議事要旨(1/21)によって明らかとなった。
2
●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに
基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。
7