主体的な活動を重視した児童会活動をめざして

平成 24 年度群馬県小学校中学校教育研究会
小学校特別活動部会
特別活動夏季研修会実践発表資料
主体的な活動を重視した児童会活動をめざして
渋川市立橘北小学校
1
西田
麻規
学校・地域の実態
本校の位置する北橘町は、渋川市の東に位置しており、佐久発電所や竹の里として知
られる。本校は、児童数 231 名、学級数は通常学級8学級、特別支援学級2学級、計 10
学級である。通常学級8学級のうち、2、3年生が2学級の他は単学級である。児童は
大変素直で、何事にも一生懸命取り組める児童が多い。また、3世代同居の家庭も多く、
地域的にも落ち着いており、学校教育に対して協力的である。
<橘北小5つのシーズン>
本校は、「あったかな心と生きる
出会い・ふれあいのシーズン(4,5月)
力あふれる橘北小の子」を学校教
1年生・先生・仲間など誰ともなかよくなろう
育目標とし、「心ゆたかな子・いき
学びのシーズン(6,7月)
いきと学ぶ子・元気でたくましい
授業や家庭学習で学びのスタイルを身につけよう
子」の育成を目指して取り組んで
体験・冒険のシーズン(夏休み)
いる。また、1年を5つのシーズ
家庭や地域でいろいろなことにどんどん取り組もう
ンに分け、各時節にあった教育活
チャレンジシーズン(9~12月)
動があらゆる場面で展開されてい
スポーツや芸術、勉強にチャレンジしよう
る。
ステップアップシーズン(1~3月)
学んだことをしっかり身につけ、次の学年に進もう
2
テーマ(「主体的な活動を重視した児童会活動の取り組み」)について
本校の児童会組織は、児童会本 と9つの専門委員会(図書、環境、放送、園芸、飼
育、体育、保健、給食、福祉)から構成されている。
めざす学校像を受け、
「あたたかな笑顔あふれる学校」が、児童会目標となっている。
みんなが笑顔になるためには、学校生活の様々な場面で、望ましい人間関係が築かれて
いなければならない。そこで、児童会本部や各専門委員会の活動においては、児童の自
主性を生かしながら、互いに意見を調整し集団決定できる場面を意図的に設定すること
を心がけている。自分達が企画したことを実践できることの楽しさを、一人一人が実感
できるように、教員が指導している。
3
主な実践の様子
(1)児童会本部の活動:児童集会の企画運営、1年生を迎える会等の児童が関わる行事
の企画運営、生活目標の決定・推進等が挙げられる。以下、特
色のある活動を挙げる。
-1-
☆児童集会
①
毎月第2火曜日の朝行事に、全校児童が関わる集会を児童会本部が中心となって
行う。企画は、本部役員の自主性を尊重し、話し合いで提案された内容を、担当教
員が助言し、実施可能な内容にもっていく。
その際、児童会本部が中心になる児童集会においても、前述した“5つのシーズ
ン”を意識した企画を設けている。例えば、レク
で一例を挙げると、
“チャレンジシーズン”では、
「ジャンケン列車」を企画し、時間内にどれだけ
長い列車を全校で作れるかにチャレンジしたり、
“まとめのシーズン”では、先生方や学校、地区
に関するクイズを歌に盛り込んでみんなで手をつ
ないで踊ったりした。
昨年度をふり返り、最も全校児童に影響力を及
ぼした児童集会が、11 月の人権月間中に行ったも
のである。児童会本部の6年生の提案に、福祉、
図書の委員長が賛同し、3つの委員会が協同する
形で、それぞれの視点から人権の大切さについて
訴えることができた。
今後も児童の意欲を引き出し、実践につなげる
<児童集会の様子>
力を高めさせたい。
②
毎月第4火曜日の朝行事に、縦割りによる地区
別児童集会を実施している。「地区委員」とよばれ
る地区の高学年が中心となり、遊びの企画・運営
を行うもので、全校児童が楽しみにしている集会
である。上級生としての自覚や責任、下級生とし
ての役割などについて考えることを通し、人間関
係についても学べている。また、体験活動を、そ
の場限りの活動に終わらせないように、体験を通
して感じたことや気づいたことを振り返り、伝え
られる場面を集会の最後に設けている。
<縦割り集会の様子>
☆なかよし宣言
年度初めに学級ごとに人権に関わる目標を決め、
「なかよし宣言発表会」において、
クラス毎に工夫をした発表を行う。宣言は教室に掲示し、学級目標同様、年間を通し
て意識して生活する。また、振り返りの時間を年間指導計画に位置づけることにより、
各学期末の学級活動の時間に振り返りを行っている。
-2-
<なかよし宣言発表会の様子>
☆「橘北小よい子の誓い」・「橘北小学校交通
安全よい子の誓い」
独自の伝統的活動として、始業式・終業
式において、児童会役員に続き、5つの約
束を全校で唱和するもので、本校の伝統に
なっている。最後に児童会長から、この誓
いを守って有意義な生活をする旨が述べら
れる。
橘北小学校よい子の誓い
交通安全よい子の誓い
わたしたちは橘北小学校のよい子です。
一
道路はいつも右側を一列に歩きます。
一
進んで、復習・予習をします。
二
道路には決してとび出しません。
一
本をたくさん読みます。
三
横断は安全をたしかめてからわたります。
一
体力づくりにはげみます。
四
自転車に乗るときは必ずヘルメットをかぶ
一
仲良く助け合います。
一 やさしい心の持ち主になります。
ります。
五
道路では絶対に遊びません。
☆リサイクル活動
前年度から実施している。各家庭や地域への呼びかけにより、段ボールや古新聞等
を回収している。前年度は、1年間の収益金だけで、校庭のすべり台が新品同様に生
まれ変わった。
(2)専門委員会の特色ある活動
☆環境委員会
児童が、自主的にお便りやポスターを作成したり昼の放送を
流したりして、全校児童や家庭、地域の人に呼びかけ、アルミ
缶回収を定期的に行っている。収益でバドミントンラケットや
ボールなど、児童の活動に役立つ物品を購入している。その他、
常時活動として、毎日水道使用量調査を行い、昼の放送で節水
を呼びかけている。
-3-
☆福祉委員会
アルミ缶回収同様、児童がお便りやポスターを作
成したり昼の放送を流したりして、全校児童や家庭、
地域の人に呼びかけ、ペットボトルキャップの回収
を定期的に行っている。これにより、リサイクルの
大切さを呼びかけるとともに、収益の全てを途上国
へのポリオワクチン寄贈団体へ寄付することで、自
分たちにできるボランティアや国際理解への一助を
果たしている。(平成 23 年度は 140 ㎏で 66 人分の
ワクチンに、これまでの4年間の実績では、285.4
人分のワクチンになった)委員会発表や昼の放送を
通して、児童が調べたことや全校に知ってほしい途
上国の状況などを発表した。また、各学級を回って
の朝の挨拶運動も常時活動として行っている。
4
まとめ
橘北小学校の児童会活動においては、各教員が児童の主体性を生かしながら実践に繋げ
る指導を工夫している。こうした活動の積み重ねが学校の潤滑油となり、「あたたかな笑
顔あふれる学校」に近づいていると考える。平成23年度は、高学年が単学級だったこと
もあり、代表委員会での話し合いでも、自分達がリーダーとしてよりよい学校にするため
にこうしよう、2つの委員会で協同してやろう、といった自主的な提案が、比較的容易に
実践できたこともよかった。また、様々な異学年交流を通して、上級生はリーダーとして
の自覚や責任を学び、下級生は後輩としての役割や楽しさを実感することで、互いに達成
感を感じたり、人間関係についても学んだりできたと考える。
ただ、児童は自分たちで考えようとし、実践への意欲ももっているものの、それを創意
工夫したり、担当の教員と相談したりするだけの時間が、なかなか確保できなかった。ま
た、集会や壮行会等の企画・運営が児童会担当であり、負担が大きいことも課題である。
教員間での分担もうまく行っていきながら、児童の主体的な活動を支援していける体制を
工夫していきたい。
-4-