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秒読み相続増税(4)
続増税(4)税
(4)税理士でも
理士でも「素人」
でも「素人」
2014/12/25付 日本経済新聞 朝刊
「生前贈与のポイントは……」。17日、福井県県民ホール。約140人が税理士、服部誠
(55)に耳を傾けた。北陸の税理士団体が開いたセミナーで、実は聴衆の全員が税理士
だ。
税理士なら相続も詳しいと考えがちだが、年間の相続税申
告件数(5万件強)を全国の税理士数(7万人強)で割ると0.7
件。年間1人1件にみたない計算だ。税理士になるには5科
目の合格が必要だが、相続税法は選択科目。「10年ぶりに
相続税申告をしたよ」。こんな会話も税理士業界で珍しくな
い。
税理士向け相続セミナーが増えてい
る(大阪市中央区)
「最初に頼んだ税理士が悪かった」と悔やむのは兵庫県西
宮市の元会社役員、須川忠夫(仮名、62)。母を亡くした際、遺産4億円強のうち税理士に2
億円と評価された実家を須川が相続し、弟が残り2億円の金融資産を受け継いだ。老後資
金の不安から実家を売ろうとしたところ、複数の業者が提示したのは数千万円も低い価
格。困惑して別の税理士に再評価を依頼すると、約1億5000万円だった。土地は路線価を
基本に評価するが、形状や高低差なども考慮する。最初の税理士は路線価だけで判断し
ていたという。
相続専門の税理士法人プラス(大阪市)には別の税理士が手掛けた案件がよく持ち込ま
れる。申告後5年以内に間違いに気付けば、税金は戻る。代表の寺西雅行(52)は過去19
年間で350件超の還付を実行し、平均還付額は1件当たり約1500万円に達する。
相続を手掛けるには幅広い知識が必要だが、それだけでは十分ではない。「論より焼
香」。相続専門の税理士法人レガシィ(東京・千代田)代表、天野隆(63)の口癖だ。遺族は
言葉で心を閉ざしてしまうこともある。税額の説明の
前に「きちんとお悔やみを表すことから仕事は始まる」。
住宅街が広がる東京都世田谷区。小田急線経堂駅前のビル1階に「生前贈与 相談受
付中」ののぼりがはためく。会計事務所エスネットワークス(東京・千代田)が運営する営業
所「相続ハウス」だ。ガラス張りで明るい雰囲気のなか、相続税の試算や生前対策の相談
を受け付ける。先輩税理士に付いて働くのは遠藤由香(24)。税理士試験に3科目合格した
段階で入社した税理士の卵だ。土日に大学院で相続税法を学び、平日は現場で実務を体
験する。目指すのは幅広い知識を持ち、遺族に寄り添える税理士だ。
(敬称略)
家族を失った直後。税理士の不用意な
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