帝国通信工業の クーデター

‘99.4
業績不振、社長の不品
帝国通信工業の
クーデター
川崎市中原区刈宿335に帝国通信工業と
いう会社がある。会社経歴書によれば創立は
昭和19年8月1日。資本金が34億5300
万円、年間売上高187億円、従業員数481
名という規模の一部上場会社である。
営業品目は可変抵抗器・ICB製品、エレク
トロニックスイッチ・固定抵抗器・コンデン
サ・電力型抵抗器、抵抗モジュール・アッテ
ネータ・超音波機器、自動化および省力機器と
ならび、日本のエレクトロニクス産業を下支
えしてきた電子部品の会社だ。それゆえ、日本
のハイテク、エレクトロニクス産業が成長す
るとともに成長する、安定した長期優良株と
評価されている。
部品メーカーという性格上、帝通工には非
常に地味な印象があるのだろう、1994年
1月∼1998年11月までの新聞スクラッ
プを検索してみたが、帝通工関連記事はたっ
たの5件しかない。新聞記者にとってはあま
り面白くない会社らしい。とりあえず見出し
を拾ってみる。
◎窪田建設と建材販社 帝通工 住宅用タイ
ルが中心
94年1月17日 日経産業新聞
◎帝通工、映像機器向け振わず減益幅拡大
9月中間
96年9月25日 日本経済新聞
◎営業外黒字で経常増益確保 帝国通信工業
97年12月2日 日本経済新聞
◎赤穂工場が完成 帝国通信工業
98年3月20日 日本産業新聞
◎帝通工32%減益 9月中間株式評価損
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つまり、5年間に新聞に取り上げられたの
はたったの5回、1年に一度しか人の口端に
上らない、注目されない企業だ。
村上体制に不満轟轟、
高まる噴火の圧力
創業者一族の「三代目」という人種は世間の
注目を浴びていないことを良いことに、こっ
そりと、悪事を働くものらしい。
帝通工の村上 明社長は創業者一族の三代
目。俗に「初代がなりふりかまわず働いて身代
をつくり、二代目は初代の苦労を見ながら育
つので身代を大事に守るが、三代目は生まれ
ながらの社長候補、苦労を知らずに育つので
三代目で身代を潰す」などと言われるが、この
村上 明社長は「プライドが高すぎて度量が狭
く、社内では独断専行ぎみ」との評価という。
そのせいか実は社内では孤立しているのだそ
うだ。若い頃から些細なことにもビクビクす
る小心者の割に恋に恋するような所があり女
性関係で悩んでは友人の手をわずらわせたこ
ともあるのだ、という。
その性癖のせいか、この村上 明社長は愛人
との間に二人の子どもをもうけ、毎日愛人宅か
ら出社する有様。奥方とは離婚調停中である。
しかし、ここで困った事に気が付いた。
実は村上 明社長、奥方の所から愛人宅へ
はしったのはよかったが、奥方の居る本宅に
会社の株を全株置いたままになっている。今
‘99.4
村上 明社長
行、株式の不正取得等
村上 明社長に迫る
の危機!?
さら奥方に「株を返してくれ」とも言えず、
苦肉の策で考え付いたのが、株を紛失した事
にして自分の会社に新しく株を発行させるこ
と。役員会を開いた事にして株を発行させた
というのだから恐れ入る。事実、帝通工の某役
員が密かに調べたところ、役員会の正式な議
事録は見当たらないのである。
もし、これが事実なら株式の不正取得であ
り、いくら創業者の三代目の現社長だからと
言って許される行為ではない。一般の善良な
株主に対する信頼を著しく裏切るだけでなく、
立派な刑事事件であろう。
そこで、編集部は村上 明社長に対し取材の
申込みを行った。
事実の有無、事の是非につき、ご本人である
村上 明社長に会ったうえでお話をうかがいた
いと思ったからである。
しかし、当の村上 明社長とはさっぱり連絡
がとれず、取締役秘書室長の井関賢二氏が「社
にハッキリとものを言う人がいない」
。
「菊池 国雄前社長の時代は帝通工の社員とし
て胸を張れたが村上 明社長になってからは肩
身の狭い思いをしていました。スッキリしま
した。もっと書いて下さい」
。
「今、役員の中に動きがある。ヒョットすると
クーデターですな。次の社長は第一勧銀にな
るのではないかな。第一勧銀が手を挙げれば
富士も横浜銀行も手を挙げざるを得ない。
(ワ
ハハ)オタクも頑張って書いてください」
。
推測するに、帝通工内部にはマグマが相当
に溜まっていたらしい。
予定通り、編集部は再度の取材申込みをす
る。すると、また取締役秘書室長の井関賢二氏
が出てきて「社長のお応えはこの前と変わっ
ていません。
」と取材拒否である。しかも、井
関氏は「ワイズさんは前社長夫人の菊池ヨシ
子さんとはよくお会いになるのですか」と妙
な事を言いだす。
長にお話いたしましたが、社長はそんな事実
はないので取材はお断りしてくれ、と申して
それでは仕方ないので本人の確認はとれな
いが実名記事とする旨を井関氏に伝え、今回
おりました」という。
しかし、当編集部の調査では間違いがない。
の記事となったわけである。
この稿をマトメている最中に、また情報が
〆切も迫っていたので前号において社名と社
長名を伏せて書かせてもらい、再度、取材の申
寄せられた。
「帝通工には台湾、タイ、マレーシア、シン
込みを行うことにした。
すると、どうだ。前号を読んだという複数の
ガポールなどに支社がありますが、村上 明社
長は海外出張時に女性を買うんです。しかも、
人物から様々な情報が寄せられた。それらの
話によると、
「ワイズの記事はよく調べて書い
てある。まったくあの通りですョ。村上社長の
周りの人間は皆ンなイエスマンばかり。社長
その金が会社の社費から出ています。恥ずか
しい話ですョ。まったく・・・」
どうも、村上 明社長は品行に問題のある方
のようである。
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