バレイショ春作マルチ栽培における生育・収量特性と気象条件との関係

バレイショ春作マルチ栽培における生育・収量特性と気象条件との関係
○坂本
悠・森
亘・向島信洋 1 )・田宮誠司 2 )・草原典夫 3 )・中尾
一幸・渡邊
(長崎農林技開セ馬鈴薯・
1)
県央振興局・
【目的】
2)
北海道農研芽室・
3)
敬
長崎県農林部)
強い相関があり,1%水準で有意であった。でん
バレイショは長崎県における主要作物の1つで
ある。生産現場では2期作栽培が行われており,
粉価は気温との間に強い相関があり,1%水準で
有意であった。
春作マルチ栽培が最も多い作型である。
以上の結果から,生育・収量特性の中でも,特
当センターでは暖地2期作に適した品種の育成
に上いも重および上いも1個重について気象条件
に取り組んでいる。選抜・育成は春・秋作とも露
との相関が強いと示された。上いも重に対する気
地栽培で行なってきたが,春作は 2002 年より露
象条件の影響について図1および2の通りグラフ
地栽培からマルチ栽培に完全移行した。選抜・育
に示した。気温および日照時間と強い相関があり,
成の段階において生育過程の特性を把握するため
降水量ともやや相関があるが,特に気温との相関
の生育追跡試験についてもマルチ栽培で行なって
が強かった。また,上いも1個重に対する気象条
きた。そこで,春作マルチ栽培における生育・収
件の影響についても同様に気温と相関が強かった
量特性と気象条件の関係について検討し,さらに,
(図省略)。降水量の影響が気温の影響より弱いの
気象条件から収穫期を予測することが可能か検討
は,マルチ栽培ではマルチ内の土壌水分が安定す
した。
るためと考えられる。
そこで,上いも重と積算気温との関係から得ら
【材料および方法】
本試験は 2005~2013 年(2011 年を除く)に,
れる回帰式 y=-0.0002x 2+0.8293x-243.07 を利用
当研究室圃場(長崎県雲仙市)で実施した。供試
すると,長崎県農林業基準技術における目標収量
品種は長崎県内における主要品種「ニシユタカ」
340kg/a を確保できる積算温度は 897℃となる。
とし,種いもは県内秋作産の温蔵処理したものを
つまり,出芽期からの積算温度により簡易に目標
用 い た 。 2005 ~ 2010 年 は 施 肥 量 ( kg/a )
収量に達する収穫期の予測が可能となると考えら
N:P2O5:K2O=1.26:1.12:1.12,栽植密度 615 株/a
れる。また,目標収量から逆算した出芽期の計算
(畦間 65cm×株間 25cm),2012~2013 年は施
が可能となり,作付け時期の決定に利用できると
肥量(kg/a)N:P2O5:K2O=1.4:1.12:0.84,栽植密
考えられる。
度 666 株/a(畦間 60cm×株間 25cm)とし,被覆
資材は透明ポリフィルムを用いた。植付けは1月
下旬,被覆は2月上旬,収穫は塊茎肥大が開始す
る4月上旬から6月上旬まで概ね 10 日毎に行っ
た。気象データは当研究室設置の気象観測装置(日
本エレクトリック・インスルメント社製
1個重
0.94 **
0.39 **
0.87 **
でん粉価
0.72 **
0.29
0.69 **
800
y = -0.0002x2 + 0.8293x - 243.07
R² = 0.8744
700
上
い 600
も 500
重
400
k
g 300
/ 200
a
100
)
気温,降水量,日照時間を取り上げ,各条件の積
上いも重
0.93 **
0.67 **
0.87 **
(
AGC-100US)で測定した。気象条件として平均
表1 生育・ 収量特性と気象要因の相関係数
茎長
茎葉重
上いも数
気
温 0.70 **
0.27
0.65 **
降 水 量 0.50 **
0.33 *
0.61 **
日 照 時 間 0.61 **
0.26
0.59 **
** 1%水準,* 5%水準で有意
算値を用いた。積算期間は出芽期から各収穫日ま
上いも重
多項式 (上いも重)
0
0
での期間とした。生育・収量特性と気象条件との
500
1000
積算温度(℃)
1500
図1 積算温度と上いも重の関係
800
関係について相関分析を行った。
【結果および考察】
)
示した。茎長および上いも数と気象条件の間には
(
表1に生育・収量特性と気象条件の相関係数を
y = -0.0005x2 + 1.4026x - 221.47
R² = 0.7682
700
上
い 600
も 500
重
400
k
g 300
/ 200
a
100
相関があり,1%水準で有意であった。降水量と
茎葉重との間には弱い相関があった。上いも重お
上いも重
多項式 (上いも重)
0
0
200
400
600
積算日照時間(h)
800
1000
図2 積算日照時間と上いも重の関係
よび上いも1個重は気温および日照時間との間に
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