詳細な研究シーズ ( 100kb )

所 属
(学部・学科)
理学部・地球圏科学科
(ふりがな)
たぐち さちひろ
氏 名
田口 幸洋
研究分野
資源地質
研究概要
地殻内を循環する水が、資源(浅熱水性金鉱床、地熱、温泉、地下水)形成や、災害(地す
べり、水蒸気爆発などの火山災害 etc)にどのように寄与しているかを明らかにすることを
目的にしている.さらにそれらのデータを元に資源の永続的な使用のための評価や、災害
防止にも貢献することも目標のひとつである。
キーワード
地熱、温泉、金鉱床、断層、地下水、火山噴火災害
現在の研究テーマ 水の循環による地熱、温泉、金鉱床の生成と地下水の相互作用
【研究内容】
火山周辺の大規模な水の循環過程を明らかにするために、筆者は大きく二つの分野の研
究を行ってきた。一つは、活地熱帯の地下での高温流体の産状や地下熱構造、その進化を詳
細に把握することで、もう一つは、これらを直接観察することはできないので、それらが作
り上げた過去の遺物、金鉱床の成因に関する研究を同様な手法でおこなってきた。これらの
対比研究はそれぞれの成因の理解を相補的に深めてくれるものである。このような分野で
現在までに行ってきた研究を通して、以下の分野での産業界との連携から社会に貢献がで
きると考えている。
(1)火山周辺における酸性熱水の成因と利用に関する研究
地熱発電の探査・開発の過程で深部に存在する酸性熱水の存在が明らかになってきた。
しかし、これらは地熱発電の対象外であったため多くの注意が払われてこなかった。そこで、
これらの成因や産状を流体包有物、変質鉱物、熱水組成,火山発達史などの観点から検討し、
多くの未利用の酸性熱水の活用の道を明らかにする。
(2)火山性および非火山性地域の温泉の成因と持続的利用に関する研究
火山起源温泉の成因は,地熱開発により極めて明らかにされてきたが、温泉の開発と利
用をおこなっている分野には、それらの成果は十分に浸透しておらず、成因を無視した開発
が行われている場合がある。また、非火山性温泉は今後残された未利用エネルギー資源とし
て注目されているが、その成因はあまり検討が行われていない.その成因に重要な関係が
あるものとして,断層に注目して非火山起源温泉の生成のメカニズムの研究を行っている
両タイプの成因をより明らかにすることで、資源としての温泉の持続的利用をはかる。
(3)化石地熱系(浅熱水系金鉱床)の成因と探査に関する研究
活地熱系における熱水の通路と状態変化の成果を、浅熱水性金鉱床に適用し、金が濃集す
る過程を明らかにし、その成因を応用した地表からの探査技術開発をおこなっている。その
一つとして、鉱脈の割れ目をとおって上昇してきたガス成分を利用した探査の検討を行っ
てきている。
(4)火山岩分布地域による自然災害の原因、対策に関する研究
火山岩地域などで起きた水蒸気爆発や、地すべりなどの原因究明に、地熱帯周辺でおきる
現象の知識・理解が十分に活用されていない。地熱系の形成過程の研究で得られた知識を
十分に活かした詳細な原因究明と対策に関する研究を行っている.その例として,観光地
の地獄の成因をとりあげている.
【応用分野】
地熱資源開発、金属資源地質学、温泉科学、自然災害科学、地下水汚染,観光事業の安全対策
現在の研究テーマ 2 地下水の流動および地すべりの予測に関する水の化学
的挙動の解析
【研究内容】
地下水の流動および地すべりの予測に関する水の挙動を明らかにするため,福岡市周辺の
地すべり地,トンネル,およびため池を対象に研究をおこなっている.
【応用分野】
応用地質
技術相談・コンサルティングに応じられる分野
地熱資源開発、温泉維持開発、金鉱床探査開発、地すべり等火山地域の災害、地下水汚染、火
山地帯の観光事業の安全対策
利用可能な研究装置・資料等
岩石薄片作成装置,X 線回折装置、蛍光 X 線分析装置、顕微レーザーラマン分光分析装置、流
体包有物加熱・冷却熱測定装置、顕微赤外分光装置、原子吸光分析装置、イオンクロマト分
析計、質量分析装置(水,炭酸塩岩)
地域における社会活動
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 鉱物資源調査アドバイザーおよび巡検講
師,福岡県環境審議会委員・同温泉部会委員