【研究課題】 北浦流域の窒素の動態に関する調査研究 【現況・課題】 北浦流入河川の窒素濃度は,平均値で6 mg/Lを超え,中には鉾田川のように10 mg/Lを超える河 川もあり,西浦(注)流入河川の平均2.5 mg/Lに比べて非常に高いレベルで推移している。 この大きな要因としては,北浦流域が農・畜産業の盛んな地域であり,家畜排せつ物を堆肥とし て農地に利用することが進んでいるため,流域に対し過剰の窒素投入が推定され,土壌への窒素の 蓄積とそこからの溶脱による汚染があると考えられる。 このため,本研究では,北浦流域において,堆肥や化学肥料等として投入された窒素の,土壌・ 地下水・表流水中での分解・形態変化及び蓄積と溶脱,並びに地下水・河川への流出等の動態を解 明する。 (注)環境基本法では,霞ヶ浦を「霞ケ浦」「北浦」及び「常陸利根川」に区分しているが,湖沼水質保全 特別措置法では,それらをまとめて,霞ケ浦としていることから,環境基本法上の「霞ケ浦」を限定し て指すため,ここでは「西浦」と記載。 【研究の内容】 1.土壌・地下水等に含まれる窒素成分の形態別測定や同位体比測定,脱窒活性の測定を行い, 分解・形態変化及び蓄積過程の把握を行う。 2.北浦流域でボーリング調査を行い,土壌中の窒素の鉛直分布調査や地下水位の測定,地下水 の年代測定を行い,溶脱・地下浸透過程の把握及び窒素の流出過程の把握を行う。 上記1,2により土壌・地下水・表流水中の窒素動態の解明を行う。 【期待される研究成果】 ・土壌・地下水・表流水中の窒素の動態が明らかになることで,環境中における窒素循環メカニズ ムを解明できる。 ・北浦流域における環境中の窒素循環メカニズムを解明することにより,北浦の水質改善の視点か ら環境中に許容できる窒素量「環境容量」を算定することが可能となり,農・畜産業に対して環 境容量に基づく窒素の投入可能量を提示し,更なる窒素削減を図ることにつながる。 【募集分野】 環境保全学・農芸化学等 ※問い合わせ先 霞ケ浦環境科学センター 副 セ ン タ ー 長 桑名美恵子 湖沼環境研究室長 菅谷和寿 TEL:029-828-0963
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